「落下の王国」 - 2008.11.01 Sat
そして彼も、また…。
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(c) 2006 Googly Films, LLC. ALL Rights Reserved |
原題は“The Fall”で、落ちることを意味する。オープニングから、そのイメージはあって、鉄橋から落ちたらしい人がいる。主人公の女の子も果樹園で働いていて、ハシゴから落ちた。
人生そのものをfall(転落)するかどうかのピンチを救うものは何なのか。私はそれが、この映画のポイントだと思った。
それは、やはり、やっぱり「愛」なんだよねえ。好きだ、という気持ち。好かれている、という幸福、自己肯定。
それは何も恋愛に限ったことではない。
「好き」という想い。
人間の世界、愛や思いやりで満ちればいいのに。
絶望と悲しみの中で悲劇を作り出していく語り手、それを必死に救おうとする聞き手。その息苦しいような葛藤の場面には、グッときた。
監督がターセムと聞けば、「ザ・セル」を思い出す。好きな雰囲気の映画だったので、今度の新作も観たいなと思っていた。
だが、人生に絶望した男がどうなるか、という話の部分はよかったけれど、その他は、どうも…。
この映画、世界をロケして、美しい景色を見せたということだが、私には、それほど響かなかった。美しい景色を感じる心がないのかも! 映画を観にきたのであって、景色を見に来たわけではない、と言い訳しておこう。
また、男が物語るストーリーは単なるヒネリのない復讐劇だし、ほとんど男ばかりなのが美しくない。(…そこかい!)
主役の女の子の自然さは、とってもいい!
映画のなかで演じようという、へたな物心がつく前に、撮影しちゃったようですね。
へんなところでユーモアがあったりして、あのときの言葉はウソだったのだ、じつは、手でウソの印を作っていたのだ、といって、前は見せていなかった男の手元を再び映像で見せると、たしかに印を作っている! というのは笑えた。
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風景に感動しなかったら、監督の意図は、かなりの挫折ということになるのかな? ごめんね~。(笑)
衣装が石岡瑛子さんというのは書き留めておくべきだろう。「ザ・セル」も、そうだったよね。
(10月26日)
THE FALL
2006年 インド・イギリス・アメリカ作品
監督 ターセム
出演 リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル
参考:落下の王国@映画生活
評価☆☆☆(3点。満点は5点)
● COMMENT ●
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>とらねこさん
感想を書く人は、きれいと思う方の割合が多いだけという可能性もありますよね?
あら、ジングルズさんと感想は真反対のようですね~。私は「落下~」の方が好きです。
ザ・セルは現代アートの寄せ集め、落下は世界遺産の寄せ集めっていう構造は同じですけど、物語が変化していく原動力が少女の想いっていうのに、ちょっと感動しちゃいました。
少女の「ロイをたくさん観た」っていうセリフも、なんか心に染みましたね。
>かもめんさん
私は男の語る物語の部分が、たいしておもしろくなかったと感じたのですよね。
主人公の女の子は抜群です!
彼女の自然さは、ものごころつかないゆえの貴重な部分でもあるような。
ロイをたくさん観た…えーと? もう忘れてます!(苦笑)
毎朝毎晩、野良猫にフーッと威嚇されながらもご飯をあげている身としては、少しでいいから愛を感じさせて欲しいと願っております(^^;。
この映画、やっと観ましたが、映画館で観たかったなぁと、つくづく。
TB致しました。
しかしですよ、最後のスラップスティックのアクション・シーンは、全て本物だけに、CGの超絶アクションより絶対凄いですね。
>kiyotayokiさん
「fall」に引っ掛けて、ちょっと狙ったかのような文章でしょ?
野良猫、なかなか警戒を解かないのでしょうねえ。それだけ厳しい人生、いえ、猫生なのかもしれません。
映画館でですかー。私は景色に陶酔しなかったので、テレビ画面だとしても、よかったかも。
>オカピーさん
そうですか。どうも私は景色には鈍感だったりして。
無声映画時代のドタバタは、生身でやっているのが、すごいですよね。
映画との関連は、あんまり分かりませんでしたけど。
のちほど伺います!
少女が良かった
タイトル通り、いろんな落下がありましたね。
物理的な落下、精神的な落下、地位の落下・・・
主人公の絶望による落下から、
少女の一生懸命で純粋な「好きだから生きていて欲しい」という
思いで救うところが良かったですね~
あの少女の自然さは、映画であまり見た事ないですよね!
演じようとせずに、あの長い映画を撮るってすごい事だわ~
>YANさん
「落下」が原題ですからね。落下のオンパレード。「秋」じゃないですよね。
少女の思い、人の気持ち、がいいですね。
演じようという小手先の技術が入る前に、素朴な、そのままの姿で、銀幕に残す。それが、うまくいった例なのでしょう。
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これ、面白く思えなかった人が多いようなのですが、映像がそれほど美しくない・・と言ってる人は珍しいですね。