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2020-02

「浪華悲歌」 - 2008.11.25 Tue

溝口健二が原作・監督、依田義賢が脚色、山田五十鈴が主演。71分の作品。
これはチェックしたいと思った。
映画検定1級に出そうな映画だよね!



親父が借金、兄の学費が払えない家。アヤ子(山田五十鈴)は中年男の愛人になり、それがうまくいかなくなると、他の男の間を、うまく渡っていこうとするが…。

溝口映画で時々感じるのだが、男が情けなかったり、本当は弱いのに偉そうにしていたりするのに対して、女は泣かされつつも強く生きようとする

山田五十鈴さんは、先日見た「どん底」が強烈で印象にあったのだが、本作のときは19歳。なんだか、すごい女優さんだ。
溝口監督の演技指導は厳しかったようだが、そのかいあってか、ろくでもない男たちの中で、せいいっぱい生きている女という役柄が見事に輝いている。

オープニングの音楽が、ハリウッド映画といっても違和感がないモダンさ。ビリー・ワイルダー監督の映画で、こんなふうなフレーズがなかったか。
アヤ子が会社で電話交換手の仕事をしているのだが、交換手と社員が話ができるのを、うまく使っている。
浮気された妻と愛人が、しばらく経ったら、いがみ合わずに仲良く話している場面は、女同士の連帯感のようで面白い。
志村喬さんが刑事役。こんなに昔から俳優してたんですね。

警察の厄介になって戻ってきた妹に冷たい家族。お前みたいな不良は、きょうだいでも何でもない。だって。
その気持ちはわからないでもないが、そんな家族のもとからは、出ていったほうがいいさ。
DVDジャケット
誰も味方がいない家を出たアヤ子。出会った医者が「何してんねん、こんなとこで」と声をかける。
「野良犬や。どないしたらええかわからへんねん」
「病気ちがうか」
「まあ、病気やわな。不良少女っちゅう立派な病気やわ。なあ、お医者はん、こないになった、おなごは、どないして治さはんねん」
「さあ、そら、ぼくにもわからんわ」
真っ直ぐに歩いていく彼女のラストシーン。きっと彼女は強く生きていくと思いたい。

(11月16日)

1936年作品
監督 溝口健二
出演 山田五十鈴、志賀廼家弁慶、梅村蓉子、竹川誠一、大倉千代子、進藤英太郎、志村喬

参考:浪華悲歌@映画生活

評価☆☆☆★(3.5点。満点は5点)

● COMMENT ●

もっとしなやかに、もっとしたたかに。

「なにわ・えれじい」と読むのでしょうね。

19歳の山田五十鈴!
これは是非見てみたい!!
(私、ちょっとロリコン入ってますし。。「ローズ・イン・タイドランド」よかったです!)

私は中学・高校と、通天閣の見える浪速の学校で
まさに「ジャリん子・チエ」の世界でしたが、
周りの女子高のスケバン(女番長・オリジナル世代)は、
こういうことなら易々とやりそうでした。

現在、私のいるマニラのフィリピーナも、易々としたたかに
渡っておりますよ。
こっちでは口減らしに野良犬化されることも多いですが、
捨てる神あれば拾う神もあり、昭和の日本もそうだったのでしょうね。

これから本格的な不況です。
このような立場の女性も増えることでしょうが、日本女性もしなやかでしたたかに
(藤田敏八の映画みたいですが)生きていってほしいものです。

コメントありがとうございました。

山田五十鈴の「不良少女という立派な病気」には、私も参りました。同年代の女優では、田中絹代と並ぶ左右の両輪と言えないでしょうか?。
>映画検定1級に出そうな映画だよね!
受験資格もない私に大きなことも言えませんが、小津監督や溝口監督の古い作品は確かに映検1級向けかもしれませんね。
数年前の大学共通一次入試センター試験でも、小津監督の「一人息子」が出題されていたのには驚きました。
ps.
寄る年波で記憶力が落ち、映検受験は断念しました。

>lalakiさん

なにわえれじい、ですね。
山田さん(と書くと誰だか分かりませんが。笑)、よかったです。
彼女の娘の瑳峨三智子さんが1935年生まれですから、なんと、この映画の前に18歳くらいで産んでいるんです!
早熟~!?

(あ、「ローズ・イン・タイドランド」最高でしょう!? そういえば、あの子は最近どうしたのかな。)

したたかな女は魅力的ですね。実際に相手にするのは、どうかと思いますけど!

>アスカパパさん

山田五十鈴さんの映画は、いままで、ほとんど見ていなかったのですが、やはり、さすがと感じます。
時代的には田中絹代さんと同じですね。日本映画黄金期の始めに現われた女優さんでしょうか。

映画検定1級は、私も受ける気はなくなりました。むだに難しすぎます。カネを取られるだけですよ。

センター試験で小津監督の映画が出たのですか! それはすごいというか…。

トラコメ有難うございました。

僕がこの作品を初めて観たのは、まだレンタルも衛星放送もない頃、自主上映によってでした。
東京中を駆けずり回って映画を見る毎日でした。
今は確かに古い映画を簡単に観ることができる。だから、逆に有難味がなくて古い映画に対する愛情が感じられない鑑賞者が多くなっているような気がしますよ。

で、その時は音声が半分聞き取れず、実力もなかなか判定できませんでしたが、今回のWOWOW放映版は十分満足行く状態でした。有難やあ。

ただ、場面が時々飛ぶ印象があるのが気になりました。調べてみましたらオリジナルは80分で9分くらいフィルムが散逸しているらしく、ある人が脚本と照らし合わせてみると、やはり抜けている場面があるということです。
しかし、まあ想像できる範囲の抜けなので極端に評価が変わることもないでしょうし、映画史に燦然と輝く作品であることは十分に伺えますね。

山田五十鈴の19歳は、凄いですよね。
ハードボイルドな迫力なんだなあ。
周囲がメロドラマばかりの時代に目立ったでしょうね、溝口の二作品(「祇園の姉妹」と本作)。

>オカピーさん

かんたんに昔の映画を見ることができて、ありがたみがない。
まったく、そう思います。
たとえばマリリンの映画でさえ、テレビで放送されなければ、見ることができなかった時代が、たぶん20数年前まであったわけで。

状態はよくなっても、今回の放送でも聞き取れないところ、まだ、ありましたね。時々、字幕をつけてほしいと思いました。(笑)
抜けている部分があったのですか。古い映画ですしね…。

他の映画がメロドラマばかりの時代、というのが実感できていないのですが、そうなら、目立ちますよね。リアリズムの映画といわれるのも理解できます。価値がありますね。

嵯峨美智子さん!

う~む、そうですか、この映画の前に出産されてたのですか。

嵯峨美智子さんといえば、私らの世代では、アンチ・ヒロインというか、ピカレスクというか、正に母である山田五十鈴さんが演じたこの役が、そのまま嵯峨さんの人生に繋がったような印象さえあります。

まさに、かなり前に話題にされていたジョニー・デップの映画のように、誤解や揶揄されることも多かったですが、ロックン・ローラー的で刺激的な、正にしなやかでしたたかな人生の方でした。

そしてなんと、最期は私のいるフィリピンで亡くなられたのですよ。
フィリピーナ達のいるこっちの世界の方が水にあっていらしたのかも・・・などと想ったりします。

>lalakiさん

嵯峨美智子さん、私はよく知りませんが、たしかに1992年にフィリピンで亡くなっているようですね。

何か出演映画を、見てみたくもあります。

男女平等

アヤコとススムは、隣同士の部屋で、話し声が筒抜けの部屋で取り調べを受けていました.取り調べを受けたアヤコは『彼と一緒になりたくて、金を取った』このような曖昧なことを言っただけで、真実を何も話そうとしませんでした.おそらく、それを聞いていたであろうススムは、『あの女に躍らされていた.自分は何も知らない』このように供述したのですね.
『彼は、何も知りません.全部、自分一人でしたことです』アヤコがこう言って、元々は兄の大学へ通うお金が欲しくてやったことである、と言う真実を話したならば、ススムの方もアヤコを理解することが出来たのではないでしょうか.
第三者に、警察管に、余計なことは話したくない、家庭の恥を話したくない、話してもどうにもなることではない、このような意識は誰にでもあると思います.実際に話してもどうにもならないかも知れませんが、けれども、アヤコの場合は政治犯ではないので、真実を話したとしても、彼女の不利益になることは何もありませんでした.
『あれは可愛そうな女だ.新聞に書かないで欲しい』警察署長はこう言いました.真実を話したならば、ひょっとしたら誰かが力になってくれたかも知れません.彼女は恋人のススムには、辛い真実を話すことが出来たのですが.
アヤコの家庭は、父親は当然として、妹も兄も卑怯な考え方の人間でした.妹にしても兄にしても、父親がお金を作ることが出来ないのは分っていたはず、少し考えれば、誰がどの様にしてお金を作ったのか分ったはず.自分の都合の悪いことは考えようとしない、何でも自分の都合に合わせてしか考えない人間でした.
こう考えれば、アヤコは警察で家族をかばおうと真実を話さなかった.そして、自分と結婚したい男なら自分をかばってくれるはず、こう考えて、あの様な供述をしたのだと思います.
今一度、アヤコの家族を考えれば、一つ目は父親の横領したお金に困った、つまり父親が刑務所に入ればすんだ話であり、彼女が体を売って父親うかばう必要など無い話です.二つ目は兄の大学資金、この場合も兄が大学を辞めればすむ話で、彼女が詐欺をする必要など無かったことなのです.
アヤコは、かばう必要のない人間だった家族をかばい、恋人同士と言う、互いにかばいあって生きて行くべき相手をかばわなかっただけではなく、卑怯な術に利用してしまったのです.そして、おそらく頼りになってであろう警察に頼りませんでした.彼女が真実を話せば、新聞記者が記事にしなかったか、あるいは真実が記事になったはずです.
まとめれば、アヤコはかばう必要のない家族をかばい、全く当てにならない家族を頼って家に戻った.正しくは、恋人のススムをかばい、当てにならないかもしれないけれど、最後の手段として警察に頼るべきであった.つまり、警察で真実を話すべきであった.
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アヤコは不良少女として描かれました.結果的に彼女は、誰からも理解されない少女になってしまいました.誰からも理解されない人間が集まって不良グループが出来、警察に捕まっても、仲間をかばうために真実が言えなくなる、これが不良の実態ではないでしょうか.
つまりは、警察に真実を言うことが出来るうちは、不良ではないのです.アヤコは警察に真実を言えたのに、言わなかったので不良になってしまったのですね.

>ルミちゃんさん

ありがとうございます。
「赤線~」「祇園~」と同じくです。


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