「アラビアのロレンス 完全版」
デビッド・リーン監督の名作のリバイバル上映。コロンビア映画85周年、同日本支社設立75周年記念作品。
デジタル音声のニュープリント・ヴァージョンを、新宿の映画館テアトルタイムズスクエアで観ることができた。

アラブ人を指揮するロレンス(ピーター・オトゥール)
私が観に行ったのは、正月休みに入った方も多いだろう12月28日の日曜日。朝いちばんの回にもかかわらず、席は、かなり埋まっていた。
DVDなどで見ることができるのに、映画館で観ようとする映画ファンが多いのは、うれしい。リアルタイムで観たのかもしれない年配の方の姿も。
説明などする必要がない、映画史における傑作の1本だろう。

私は見るのが4回目。映画館では初めてだ。
まず、何も映っていないスクリーンに、モーリス・ジャール作曲の「オーバーチュア」(序曲)が流れる。オペラのようにしたいという製作側の希望で序曲が入ったらしいが、いまどきでは珍しいオープニングに驚いた人もいるのではないか。
雄大な、この曲を聴いていると、これから大きなスクリーンで「アラビアのロレンス」を観ることができる幸福感に包まれた。
ジャールは作曲のために、音楽も人物も入っていないラフカットフィルムなどを見て、初めに「ダンダンダンダンダカダン」という、最初に来る、あの印象的な打楽器のメロディを思い浮かべたのだという。
名作には、たいてい名曲がある、というのは私の考えだが、「アラビアのロレンス」の音楽は、とてつもなく雄大でエキゾチック、まさに永遠の名メロディだ。

アラブの王子の動向を探るために、イギリス軍によって派遣されたロレンスが、重要拠点である都市を陥落、占領し、勇敢な行動をとったことから、アラブの民たちに英雄とまつりあげられるが…。
アンソニー・クイン(左)、オマー・シャリフ(右のほう)も好演
広大な砂漠、暑さ、自然の苛酷さ、その中の小さな人間。
アラブの民のためなのか、自分のうちの何かのせいなのか、戦いの渦に引き込まれていく、ひとりのイギリス人。
主役のピーター・オトゥールは、もちろん、まわりを固める、オマー・シャリフ、アンソニー・クインのアラブ人役、アーサー・ケネディの記者など、どの役もしっかり存在感があって素晴らしい。

CGなどないのであろう時代の実写のスケールは圧巻。もしも、いまの時代に再現しても、どこかで便利になっているに違いないから、苦労して汗と熱気とともに作ったような、これほどの雰囲気は出てこないはず。
こうした、スペクタクル映画は、もはや作られないのかなと思うと、映画の退化のようにも思えてしまう。

上映時間は、3時間47分。途中で、インターミッション(休憩)が入る! 上映時間が長い映画では、昔はインターミッションが入ることがあった。そうした映画には、よりいっそう大作の風格、スケールが感じられる。
もしかして、女優が出てこない映画なのだが、私がそういう類の映画が好きなのは、まったく異例。ほとんど唯一の映画?(…他を思い出さないだけかも。)

映画好きなら、この超名作を映画館で観てくるという経験をしてみても。
砂漠のなかにポツンと人間が
(12月28日)

LAWRENCE OF ARABIA
1962年(完全版は1988年)イギリス作品
監督 デビッド・リーン
出演 ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、アンソニー・クエイル、アーサー・ケネディ、アレック・ギネス、クロード・レインズ

参考:アラビアのロレンス/完全版@映画生活
「アラビアのロレンス 完全版」の映画詳細、映画館情報はこちら

評価☆☆☆☆★(4.5点。満点は5点)
[2009/01/11 07:12] | 映画感想(大きいスクリーンで鑑賞) | トラックバック(8) | コメント(10)
<<「ティンカー・ベル」 | ホーム | 遅めだけども年頭に当たりまして>>
コメント
へぇ〜
インターミッションありの映画なんて
観た事ないかもです。
でも昔の映画を見ていると2枚組みだったり
間になんか入ったりってありますもんね〜。
[2009/01/11 10:36] URL | miyu #- [ 編集 ]
>miyuさん
そうなんですよ、Intermission と画面に出て、休憩になるのです。
「十戒」や「ベン・ハー」もそうだったかも。

いまは、たまに長い映画があっても(「ロード・オブ・ザ・リング」とか)、休憩は入らないですよね。
[2009/01/11 17:37] URL | ボー #0M.lfYJ. [ 編集 ]
こんばんは。
デジタル・ニュー・ヴァージョンの劇場鑑賞ですか。それが如何に素晴らしかったということが、ボーさんの言葉の隅々から伝わってきました。
この映画は私も4〜5回観ていると思いますが、ボーさんのように正確な回数は覚えていません。何時もボーさんが○回目の鑑賞と、はっきり言われるのに驚嘆しています。
「オーバーチュア」とインターミッションのある大作は本当に見応えがありますね。特にこの映画は、大画面の利点をフルに活用した作品ですので、ボーさんが仰るように、機会があればまた劇場で観たいものです。
[2009/01/11 20:58] URL | アスカパパ #xq6o7d/. [ 編集 ]
>アスカパパさん
こんばんは!
以前「大脱走」をリバイバルしたときも観に行きましたし、過去の名作を映画館で、というときは、観たい場合が多いです。

見た映画は、タイトルと年、月をノートに書いてあります。(「日」までは書いていません。)
「アラビアのロレンス 09-1」などと。
同じ映画を見たときは、同じ行に「年・月」を付け加えるわけです。

大スクリーンで観ると、いっそう映える大作ですね。
[2009/01/11 21:33] URL | ボー #0M.lfYJ. [ 編集 ]
TB&コメント有難うございました。
最近は映画の中で美しい景色を観ても実写なのかCGなのか紛らわしくて本当に嫌ですね。
CGはどんなに美しくても絵だからつまらんです。書割りなら誰がどう見ても絵だから良いですけどね。

完全な名作なのに音楽がダメだったのは「ローマの休日」ですね。MMでなくてすみません(笑)。

オーヴァーチュアやインターミッション・・・懐かしいですね。若い人は解らんでしょうねえ。
僕は「ベン・ハー」のリバイバルが最初の経験だったかな。
[2009/01/12 00:33] URL | オカピー #jHSMZ1/Y [ 編集 ]
>オカピーさん
こんばんは!
美しい景色などでもCGかもしれないという気持ち…それは同感です! 便利さの弊害といいますか。

「ローマの休日」、たしかに。(笑)
音楽が思い浮かばなくても名作なのも、ありますよ〜。

上映時間が長い映画は、編集で短くされることが多いので、休憩が入る映画も滅多にないですが。
今回はインターミッションでトイレに行けて良かったです。(爆)
[2009/01/12 00:52] URL | ボー #0M.lfYJ. [ 編集 ]
シネラマです。
私は、リバイバルでしたが、1973年頃に、大阪はOS劇場のシネラマで観ました。

この映画と「2001」が、シネラマ方式では最高の効果でした。

あの、オマー・シャリフが地平線の彼方から陽炎に揺られながら現れる有名なシーンでは、本当に砂漠で喉が渇くような実感に襲われたものです。
[2009/01/14 09:12] URL | lalaki #8Q1O96zA [ 編集 ]
>lalakiさん
1970年代だと完全版ではないですね。あまり変わらないかと思いますが。
左右に広い画面は、砂漠の広さを実感もさせてくれます。
今回も感じましたが、オマー・シャリフは良かったですね。
(リーン監督の「ドクトル・ジバゴ」では主演ですし。)
[2009/01/15 00:26] URL | ボー #0M.lfYJ. [ 編集 ]
お邪魔いたします
レビューを興味深く拝見致しました。

“こうした、スペクタクル映画は、もはや作られないのかなと思うと、映画の退化のようにも思えてしまう。”

そうですよね。コンピューター上で擬似スペクタルが出来てしまうこの世の中は、映画的に貧しくなってしまったのでしょうね。

ボクも今作のレビューを書いておりますので、何卒、トラックバックをさせて下さいませ。
[2009/07/31 09:39] URL | マーク・レスター #- [ 編集 ]
>マーク・レスターさん
いらっしゃいませ。ありがとうございます。
昔ながらの、手作りのような感じの映画づくりについての熱気は、減退しているような気がしますね。
ただ、低予算でCGが使えない場合は別かも。(笑)

ポータブルDVDでの観賞で、感想を少しずつ書いていく、というのは面白いアプローチだなと思いました。
どうぞ、また、遠慮なく我が家に足をお運びください。
[2009/07/31 21:39] URL | ボー #0M.lfYJ. [ 編集 ]
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://bojingles.blog3.fc2.com/tb.php/1427-32df8d73
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
[映画『アラビアのロレンス/完全版』を観た]
☆私のフェイバリットの一つである。  17年前、ニュージーランドへワーキングホリデーに行った時、映画館で観た。  長い映画なので、途中で寝たし、何よりも、英語のヒヤリングの全くない私が、字幕なしで非常に感動した、個人的に不思議な名作である。  いや、不...
[2009/01/11 09:07] 『甘噛み^^ 天才バカ板!』
アラビアのロレンス
 コチラの「アラビアのロレンス」は、実在したイギリス陸軍の軍人\"アラビアのロレンス”ことトーマス・エドワード・ロレンスを描いたヒストリカル伝記ムービーです。ロレンスの自伝がベースになっているんだそうです。  オリジナルの製作は1962年。まず、そこが驚異的...
[2009/01/11 10:31] ☆彡映画鑑賞日記☆彡
「アラビアのロレンス」
JUGEMテーマ:映画  一度は観たいと思っていたこの作品。DVDも持ってはいたのですが、このたび完全版が新宿高島屋のテアトルタイムズスクエアで上映されると聞き「あの大スクリーンで観られるなら…」と楽しみにしていました。2009年の一本目、そしてお正月にふさ...
[2009/01/11 13:11] ハピネス道
映画「アラビアのロレンス |完全版| ニュー・プリントバージョン」を採点
映画「アラビアのロレンス |完全版| ニュー・プリントバージョン」をテアトルタイムズスクエアで観ました。採点は★★★★★(5点満点中5点)。満点に決まってます! この映画の醍醐味の一つが映画「007は二度死ぬ」の撮影監督でもあるフレデリック・A・ヤングのシネ...
[2009/01/11 13:27] ディレクターの目線blog
アラビアのロレンス
 長い。約3時間30分。貫禄充分。厭きさせない。  理由その1。この映画ほど横長画面を有効に活用した作品はない。広大な砂漠。俯瞰に捕らえたアラブ軍は画面の左から右に砂漠を疾走する。敵軍を蹴散らし村落を縦断する駱駝隊の群れを執拗に捕らえ続けるカメラ。やがて右...
[2009/01/11 21:01] アスカ・スタジオ
『アラビアのロレンス/完全版』(ニュー・プリントバージョン)
テアトルのCLUB C会員向けの試写を観るために、京橋テアトル試写室に行ってきました。 起きぬけに体が異様にだるくて、のんびりしてたら上映開始ギリギリに試写会場に到着するといった大失態。 でも、試写会場、半分も埋まってなかったような気がする。おかげで余裕をも...
[2009/01/12 23:54] cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー
完成! 「アラビアのロレンス
 今作が放つ、     【 開始30分における、空前絶後のパワー 】  と、       【 ヒーローが狂い腐っていく、負のパワ...
[2009/07/31 09:40] ポータブルDVDによる 車内鑑賞レビュー
映画『アラビアのロレンス完全版』を観て〜アカデミー賞受賞作品
9-2.アラビアのロレンス完全版■原題:LawrenceOfArabia■製作年・国:1988年、イギリス■上映時間:227分■鑑賞日:1月3日、テアトル・タイムズスクエア(新宿)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:デヴィッド・リーン□脚本:ロバート・ボルト□製作...
[2009/09/27 23:56] KINTYRE’SDIARY
或る日の出来事


映画感想など&マリリン応援ブログ。記事中では大きなネタばれナシ。コメントはネタばれOKなのでご注意を。トラックバック(TB)は承認制。こちらからのTBが不具合で送られない場合はご了解ください。コメントできないときはメールでご連絡を。


日本マリリン・モンロー・クラブ 会員募集中!

このブログのトラックバック・ポリシー (2009年1月10日、修正)


黒猫マリリンはカーソルで、かまってやってね!
鳴いたり、手を出したりするよ!
白猫ノーマ・ジーンはクリックすると、しゃべりに来るよ!





過去の記事の一部には「ブログランキング参加中〜」という文面がありますが、現在はすべてのランキングから離脱しています。該当するすべての文章を削除することは大変なので、そのままにしてあります。よろしくご理解ください。

映画感想の評価について。
☆☆☆☆☆(5)…GREAT!文句なし!
☆☆☆☆(4)…FINE!かなり、いいぞ!
☆☆☆(3)…GOOD.観て損はないかな。
☆☆(2)…NOT SO GOOD.ちょっとなあ…。
☆(1)…BAD!いいかげんにせい!
という感じ。★を0.5点とします。星5つは、ほとんどつけませんから、4.5点なら最高と言えます。 自分にとって面白いかどうかが重要で、世間の評判や、意義がある映画である等々は重要視しません。好きだなあと思ったら3.5点に星が到達、という感じ。



goo Pink Ribbon 2009 ブログパーツについては、こちらを参照。






前回までの2択の結果は、こちら
プロフィール

ボー・BJ・ジングルズ

  • Author:ボー・BJ・ジングルズ
  • HP「シネマ停留所」の管理人でもある。♂。単純に映画が好き。綺麗な女優が好き。マリリン・モンローさんは、わが永遠のミューズ。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード