「スペル」 - 2009.11.29 Sun

おもしろすぎて文句なし。
見終わったときに、思わずケータイから投稿したくらいだから。(これが証拠。2週間も前だ。感想を書くのが遅い! 気に入った映画は気軽に書けないということもある。しかし、書いてみれば、長くなってしまった!)
「私を地獄へ引きずりこんで」という原題からして、ユーモアにあふれる。(DRAG ME TO HELL の「DRAG」は、引っ張るということ。)
私なら、その邦題にするか、ちょっと変えて「私を地獄へ連れてって」とする。それでホラー好きな観客が観に来ないと思うのだったら、配給会社は考えなおしたほうがいい。ましてや、監督がサム・ライミだ。それだけで映画ファンには、じゅうぶん。
邦題の「スペル」のほうが、かえって意味が分からない、という人がいるはず。「ん、つづり?」なんて思うかも。
原題のユーモアを生かさないで、どうするのか。
しかも映画本編では、このタイトルが、それにふさわしいタイミングで出てくるのだ。
私たちが英語に弱い日本人なのが、なんとも残念なところ。
文句なしと言っておきながら、つい、はじめに文句を言ってしまったが、それは邦題についてだけで、たいしたことではない。
有楽町のTOHOシネマズ日劇で、上映予定作品にホラーがあり、え、大作を上映するのにふさわしい日劇でホラー映画? と不思議に思ったのが、この作品を知った最初だった。
監督がサム・ライミと分かったので、「スパイダーマン」シリーズで広く名も知られているからね、と少し納得したが、主演がアリソン・ローマン? だれだっけ? と、今度はその部分で大丈夫なのかと思っていた。
だが、このアリソン・ローマンが絶妙なキャスティングだったのだ!
どこにでもいそうな女の子のアリソンだからこそ、観客が容易に彼女に感情移入できる部分があるし、なんといってもB級テイストにふさわしい。(ほめ言葉です。)
彼女が演じるクリスティンは農場出身で、昔は太っていてミス・ポーク(ブタちゃんですね)に選ばれた過去もある。がんばって銀行に勤めるようになり、出世目前。
だが、彼女の彼氏は、母親に、もっといいとこの娘と交際しなさい、なんて言われていたりする。それを偶然知ってしまったクリスティンは、なおさら仕事をがんばって成功しなくちゃ、と思うのだ。
そんなとき、上司の期待に応えて、ある老婆の頼み(家の差し押さえの延期)を断ったばっかりに、恨みを買って理不尽に、呪文(スペル)によって呪いをかけられてしまう。
悪霊だか何だかに3日間おどされ続け、その翌日には殺されるという運命におちいった彼女が、どんな目に遭い、どう戦うか。

老婆とクリスティンの戦いの場面には、笑いがいっぱい!(この画はマジなところですが)
(c) 2009 Curse Productions, LLC
当然ながら彼女を想う彼氏も巻き込まれるが、ジャスティン・ロングが演じるこの彼氏、彼女に誠実で、いい感じ。
お金のことで頼りになった場面では、私は泣けるほどだったよ。(しかし、このシーン、アイスクリームをやけ食いしているという笑えるクリスティンでもあった。)
呪いをかけるジプシーの老婆、ローナ・レイヴァーが、いかにもホラーっぽいうえに、気色が悪かったり。
素晴らしいのは、笑えることだ。ホラーと笑いは相性がいいものだと思う。ただ怖いのもいいが、笑えるホラーは、もっと面白い。
クリスティンと老婆の直接対決は、ギャグまじりで笑う場面だ。
クリスティンの情け無用の反撃は、身を守るためとはいえ、仕方がないを通り越して、いっそ気分がすっきりするほど。
エンディング近くの最終決戦(?)では、ド迫力のタンカを切るクリスティン。かっこいい。かと思えば一転、危機になったりするのも笑えるし楽しい。
姿の見えないものの影と音におびえ驚くクリスティンの気持ちは、そのまま観客の気持ちになる。
びっくり、おどかし型のホラーとして楽しめる部分だ。
悪魔的なものの象徴として出てきているのだろう、ハエも大活躍。(笑)
さらに、心霊相談、霊媒師、降霊会、とくれば、もうワクワク。怖いもの見たさ。
ヤギさんの邪悪さも、とりつかれ空中踊りも、サイコーだった。
過剰な呪いに打ち勝とうと努力するクリスティンを応援しながら観ていくうちに、ついに驚きのラストへ。
私は本当に驚いた。
先読みして映画は見るものではない。びっくりしてこそ楽しい。
ええっ!と思わせてから、あっというまに終わる、その速さ、まとめ方。
これが素晴らしい。この鮮やかさに鳥肌が立った。
先読みしてしまった人が不幸といっていいほどの高揚感を私は味わったのだった。ああ、うれしい! 幸せ。

命をかけた最終決戦(?)に挑むクリスティン。
(c) 2009 Curse Productions, LLC
オープニングタイトルと音楽、エンディング音楽も、ムード満点。
シンプルにして円熟、楽しく怖い、サム・ライミ監督の傑作ホラー。
見事でした!
(11月15日 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ)
DRAG ME TO HELL
2009年 アメリカ作品
監督 サム・ライミ
出演 アリソン・ローマン、ジャスティン・ロング、ローナ・レイヴァー、ディリープ・ラオ、アドリアナ・バラーザ
関連記事:「スペル」(2回目)
参考:スペル@映画生活

評価☆☆☆☆★(4.5点。満点は5点)
● COMMENT ●
こんばんは^^
特に観たいなあとも思ってなかった映画でした。
笑えてラストが鮮やかなホラー!
これはぜひチェックします、ありがとうございます♪
>ひろちゃんさん
時間がかかるから、長いのは書きたくないのですが、好きだと書きたいことが出てくるので…。
5はマリリンくらいにしかつけないので、4.5は最高点といっていいです。
映画は、おもしろいのが、いちばん!(といっても、おもしろさには個人差がありますけどね)
>まおさん
好みなのかどうか分かりませんけど、笑えるから、いいかなあ~?
この映画を見るのでしたら、このコメント欄では、他のものは読まないようにしてください。ネタばれがあるかもしれないので。
何も知らず、何も考えずに見ることを、おすすめします!
評判が良いですよね~♪
「なんか、面白かったね、るんるん。」と言う感じ。
私も彼氏の優しさにホッとして、何か余計な深読みをして、そんな部分でドキドキしてしまったので、思わず、ラストに「良かった!」なんてね(笑)
こんばんは★
TBありがとです。upしたんですねー
これほんと気にいっちゃった♪
二回みちゃったほどですからベスト10入り間違い無しです♪
やぎの使い方もうまいしあそこで乗り移っちゃったアシスタントの男性の顔も怖くなっちゃって、、、(笑)
わたしも悪魔払いとかああいうシーン大好きでワクワクしちゃいました。
主人公が可愛すぎずに田舎臭い感じあるからまたいいし、ジャスティンロングもグッジョブ、なキャストでした♪
>kiriyさん
そういう点、宣伝方法は、どうなのかとも思います。(どんなだったか、よく知らないですけど。)
彼氏に被害が及ばなくてよかったとは思いますが、彼女が「悪魔払い失敗しちゃったの。このボタンどうしよう」って相談していればっ!
封筒も正しいままで、違う展開になったのに~!(たぶん)
>migさん
migさんも高得点でしたね! こんな面白いの、めったにないですよねー。
私も2回目行っちゃいましたし。(2回目は日劇でしたが、六本木ヒルズのほうが音響は良かったような。)
降霊会のヤギ、いいキャラです!
とりつかれた男のダンスも笑える~。しかも音楽が悪ノリしてます!(爆笑)
思い返してみても、キャスティングはベストでしたよね。
いま頭に浮かんだ場面ですが、車にひかれそうになったジイちゃんが、呪うような悪態をつくのも素晴らしい…。よくできた脚本です!
映画館で観ないと、音響による体感の満足感を受けられない映画でもありますね。
ボーさんは随分お気に召したようですね~
“笑えるホラー”“ビックリ、おどかし型のホラー”って初めての体験だったので(多分)、私は戸惑いながら観たのですが、素直に笑って怖がれば良かったのかな?(笑)
ちょっとキツイと思ったのは、お婆さんの汚さです(汗)時々吐き気がしたわ~
>由香さん
はい、完璧にお気に入りです。
自分が乗れない映画というのは、ありますよね。それは、しかたがないです。
私が次と次に書く映画は、そうなんです。たいして乗れなかった…。(て書いたら注目してくれます?)
銀行で入れ歯、のシーンは、ちょっと汚いと思いました、私も。ねちょっ、と音もしますからね!
あとは大丈夫でしたけど。
「スペル」大絶賛ですね。
結構、ところどころ驚いちゃいましたね、と同時に笑いも(笑)
いかにもB級っていう感覚が素晴らしい。
ラストはそうじゃないかな~と思いながらも、結構、あの演出には驚きましたよ(笑)
>チェズさん
これは、ハマリましたねー。
笑えるB級的ホラー(…のくせに、じつはA級)というのが最高です。
ラスト、そうじゃないかなという考えは、私の頭からは、ふっ飛んでいました。ラッキーでした。
僕も観たいな~と思ってるんです。
お話のほうも面白そうだし、主演のアリソン・ローは、ミシェル・ファイファーが怖~いお母さんを演じた「ホワイト・オランダー」を観て以来注目してる女優さんだし。
もう公開されてだいぶ経ちますが、まだ、やってるんでしょうか。
>kiyotayokiさん
見るなら映画館で観たほうがいいんじゃないかなと思います。音響も大事ですから。
いまはシネマート新宿で終日、夜1回のみシネマート六本木で上映しているようです。
面白かったです
ボーさんが4月1日のみ婚約していた彼女を見ましたよ。
洗練され過ぎず、どこにでもいる感じが良かったですね~(^^;
でも、すごく根性があって、全然めげないところがえらい!
お墓をあそこまで1人で掘っちゃうなんて、腕力も相当なもの。
とにかく本作は楽しめましたよ★
笑えるホラー、いいですね。
>YANさん
4月1日のみ? はて?
庶民派で、いいでしょ。お墓を1人で、というのも、すごいでしょ。
こんなに面白い、ホラ吹きホラー!
最高☆イェイ!!
ほぼ同感です!
観ながら「うわ~~!イヤ~~!」と身悶えして騒いじゃう描写がテンコモリ(≧▽≦)
>シンプルにして円熟、楽しく怖い
激しく同感です! そうそう「シンプルにして円熟」なんですよね~
ほぼ同感、と書いたのは、私はラスト読めちゃったからです★
もうコレはこうなると考えて間違いないでしょって感じで。
でも読めなかったほうがより楽しめたろうな(とちょっと羨ましかったり)
なんで邦題「スペル」になんてしたんだろう?
「私を地獄に連れてって」の方がバッチリですよねぇ?
>わさぴょんさん
激しく最高!
ラスト読めましたかー。私は何も考えず、流されて観ているのか、先読みは、あんまりありません。
配給会社の邦題ネーミングづけは、難しいとは思いますけど、カタカナの、なんとなく受けがよさそうな、などという安易な考えは止めてほしいですね。
弊記事までTB&コメント有難うございました。
絶対これですよね!
僕の記事のまとめ(いつものジョーク・駄洒落)もこれでしたもん。
「スパイダーマン」シリーズを評価してこなかった僕はこちらのほうが全然面白かった。
ライミはやはり陰気ではダメなのよ。
>オカピーさん
「スパイダーマン」は私は「1」「2」は面白く観ていましたが、それでも「スペル」のほうがライミの「本道」のように見えました。本当に楽しんで、やりたいことをやっているみたいですから。
アリソン・ローマンと言えば、
当時、20代中頃の彼女が14歳の少女に挑んだ違和感のなさ!現在、幾つになったかわからんですが(汗)、今回の役どころもキャリアを目指しながらも初々しさを感じさせる、この純朴な少女っぽさが彼女の持ち味だと思いましたです。
ちなみに、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』ですが、これは逆にナイス邦題と讃えたいですね。なんつっても「はらわた」ですよ~、「はらわた」。
これほど内容にきっちり忠実な邦題も珍しいです。(笑)
>小夏さん
若く見えますよね。うん。その後は、どんな映画に出ているんでしょうねえ。
「はらわた」って、忠実な邦題だったんですか。「魚のはらわた」なら、ごく普通なんですけど。
んー、じゃあ「死霊の盆踊り」は忠実?(笑)
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書き始めると意外に長いって言う時ありますよね(^_-)-☆
評価4.5って高いですね^^
私はホラーは苦手なんですが、初めてホラーで笑わせてもらいました(笑)
面白かったです♪