「雨に唄えば」(5回目) - 2010.03.14 Sun
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降る雨もなんのその。恋の喜びを 体いっぱいで表現。超有名な場面。 靴も服もグショグショ。普通なら、やらない。 |
大きなスクリーンで観ると、色彩の綺麗さや人物の存在感が違うと、この映画では感じた。
「映画」とは、この「大きさ」なのだ!
DVDやテレビで見るものと、映画館で観る「映画」とでは、観賞する人間が受け取るものが違ってくると思う。
存在感の大きさでいうと、終盤にあるダンスシークエンスの「ブロードウェイ・バレエ」のみに登場するシド・チャリシーだ。
ジーン・ケリーを誘惑するような踊りを披露する彼女。テレビ画面で見ていたときには感じなかった「はっ!」「おおっ!」「どきっ!」のインパクトがあるのだ。
これだけでも、観に行って得をした。
ジーン・ケリーにとっては「踊る大紐育」(1949年)と同じスタッフと組んで作った作品で、お話は、映画がサイレントからトーキーに変わる時期の映画づくりの現場が舞台。
サイレント(無声)映画のときは、悪声でも問題なかった主演女優が、セリフをしゃべらなきゃいけなくなったり、声の録音に苦労したり。
「ショウほど素敵な商売はない」(1954年)でも私にはおなじみのドナルド・オコナーは、「メイク・エム・ラフ」で、お得意のアクロバティック・ギャグ・アクション(?)の至芸を見せる。こういうナンバーは笑って拍手して見たいけど、日本の観客は静かーーに真面目に、たぶん、にこりともせずに見ている人も多くて、私も我慢して、ニヤニヤとだけはしながら静かに見ている。もしかして、みなさん、おもしろくないんですか!?

左から、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ、ジーン・ケリー。ジーン・ケリーはデビーにダンスの特訓をさせたという。
デビー・レイノルズは、「スター・ウォーズ」(1977年)のレイア姫キャリー・フィッシャーのお母さん。
彼女のナンバーで私が好きなのは「オール・アイ・ドゥ・イズ・ドリーム・オブ・ユー」。女の子いっぱいで歌う曲だ。
ジーン・ケリーへの自己紹介で、「舞台女優の卵」と言っていたのに、いきなり歌って踊るシーンが出てくるから、観ているほうも、えっ?と新鮮に驚いちゃう。
さて、大スター、ジーン・ケリーの最大の見せ場は、やはり、12分ほどに及ぶ「ブロードウェイ・バレエ」。「巴里のアメリカ人」(1951年)でも18分間のバレエシーンが圧巻だったが、こうしたダイナミックでエネルギッシュかつドラマティックなバレエ的なダンスが彼の魅力のひとつだ。
以上のトリオ(この3人で歌うナンバーもある)のほかに、忘れてはいけないのが悪声の女優役のジーン・ヘイゲンだ。
恋がたきであり仕事のライバルである相手を蹴落とそうとして、性格が悪いように見えるが、女優なら、そのくらい普通のことと考えたっていいし、とにかく、彼女あっての、この映画である。

ジーン・ヘイゲンとマリリンの共通点、それは「アスファルト・ジャングル」(1950年)に出演していること。そして、「雨に唄えば」のヘイゲンの日本語吹き替えを、マリリンの声の吹き替えで有名な向井真理子さんが担当したこと!
実際のジーン・ヘイゲンは美声。悪声のヘイゲンをデビー・レイノルズが吹き替える、というシーンも、本当はヘイゲン自身の声を使っていたようで、つまりヘイゲンが悪声でしゃべった声を、自分自身で吹き替えているのだが、映画ではデビー・レイノルズが吹き替えていることにしている、という、ややこしいことになっている。
そして、シド・チャリシー(チャリース、ともいう)。バレエ的なダンスシーンを撮ることになって、プロダンサーの彼女が起用された。
出番は少ないものの、グリーンのドレスで妖艶、強烈な印象を残す。
いったい、いつの間に103分の上映時間が過ぎたのか、不思議でしょうがないほど、時間を忘れて楽しめる名作ミュージカルだ。
(3月13日 MOVIXさいたま)

シド・チャリシーの色っぽ~いダンスは見もの。大画面でこそ映える。
SINGIN' IN THE RAIN
1952年 アメリカ作品
監督 ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
出演 ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ、ジーン・ヘイゲン、シド・チャリシー
好き度☆☆☆☆(4点。満点は5点)
● COMMENT ●
♪Goood mornin' , Good mornin'♪
>モペットちゃんさん
私は5回目の観賞でしたけど、前回から、だいぶ間があいたこともあってか、新鮮でした。
やっぱり大きな画面だと、すばらしいです。
あとで、この記事は映画感想に変身しますので、そのあと追加コメントも歓迎です!(強制してはいませんよ。)
ジーン・ケリー、そんなに怖いんですかっ!?
No title
ボーさんの言われる通り
大画面でシド・チャリシーを是非確認したい
といっても広島では、なんと8月末
今はレインマンやってます・・
>dora21さん
存在感が違いますよ。お好きな映画でしたら、一度、映画館で観てみるのは、おすすめです。1800円じゃないですし。
8月としても、近いところ(かどうか分かりませんが)で上映があるだけラッキーですよ!
ほかの映画でも、観たいものが来たら、行ってみることを検討してみてくださいね。
No title
笑える所が本当にしっかり笑えて、歌もダンスも最高~、今はミュージカルがすごく好きになりましたが、そうでなかった時に「好き!」だと思えたミュージカルです。
やはり、大画面を意識したダンスシーンとか映画館だと良さそうですね、いいなあ。
そして、ジーン・ヘイゲンとマリリンの共通点、そんなところにあったのですね!
気づくとまた確認に見たくなりますね(笑)
>まおさん
神奈川の2館では、5月に上映がありますよ! 行ってらっしゃーい。
ミュージカルがそんなに好きでもないときに、好きと思えるとは、これは、やっぱりすごい映画だと改めて思えますね!
ジーン・ヘイゲンが演じた、ちょっと甘ったるいキンキン声の感じが、向井さんの演じるマリリン声と、うまく合ったんですねえ~。
ほな、追加を…

「自分は若くて、経験も浅かったので、G.ケリーのダメ出しが厳しかった、

みたいなことを語っていました。
そう言われてみると、

数年前、コメディ・ドラマで彼女を見かけました。
大サービスで“グッド・モーニン♪”と1フレーズ唄ってくれて、観衆は大喝采


>モペットちゃんさん
デビーちゃんはダンスがうまくなかったなら、なんで起用したんでしょうね。売り出し目的か?
つらい練習に陰で泣いてたら、フレッド・アステアが通りかかって、レッスンしてくれた、なんて話も。どこまで本当か分かりませんけどね~。
歌のラストで、3人ばったりしてるのは、「やれやれ終わったー」かもしれない?
厳しくて、いい思い出がないかもしれないけど、その映画が、いちばん世間の記憶に残って愛されているなら、まあ、いいでしょうね。
いいなぁ~
それにしても、なんで「メイク・エム・ラーフ」で笑わないんでしょう?初めて見る人は、ドナルド・オコナーの”ワシャ、電池切れたら死ぬんじゃ”っぽいダンスにドン引きしちゃったとか(笑)あれはあれで楽しいのにねぇ・・・
シドちゃんの”メガネ吹き吹き&メガネぽいっ”を大画面で早く見たいです・・・・エエ曲多いですしねぇ・・・
>unikoさん
ぜひ、公開時は観にいってください!
電池切れたら死ぬんじゃ、って表現、最高ですねー!
あっけに取られてしまうのかもしれません。
少ない出番でインパクトのある、シドチャリちゃんのパフォーマンスも大画面必見です。
No title
私、シドのファンでして。。先々週(?)に八幡で
見てきました。。
本当に迫力が違いますよね。。大画面は(*^。^*)
デビーが可愛いカンジだから
セクシー系のシドは、得な出方したと思いますっ。
本当に素敵な映画ですよね^^
突然、現れてすいませんm(__)mでは。
>北小路 恵さん
シドさんのファンですか! 素敵な女優さんです。
この映画祭に「雨に唄えば」が選ばれてよかったですよね! MGMミュージカルから「巴里のアメリカ人」でもなく「バンド・ワゴン」でもなく…。
たしかに、デビー・レイノルズのかわいさが、ずっと画面にあった終盤に、シドさんの色っぽい存在がドカンと出てくるのはインパクトがあります。得です!
また、遊びにきてくださいね~。
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何回見たか、数えた事ないんですが、空で台詞言えちゃうかも?!
“Yes,Yes,Yes.”
“No,No,No~”
のところが、何度見ても笑えます。
撮影裏話を知った後は、ジーン・ケリーが“怖い人”に見えてしまって…(プロとして、やはり完璧を求めた方だったらしいですね)。