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2021-01

「シリアの花嫁」 - 2010.04.04 Sun

「扉をたたく人」で偶然知った女優ヒアム・アッバスさんの主演作ということで見てみたが、彼女自身はもちろん、映画も素晴らしかった。いまのところ、今年一番かも。

姉妹

アッバスさんが花嫁かと思っていたら、彼女は花嫁の姉の役だった。

シリアのゴラン高原はイスラエルに占領され、そこに住む人々は無国籍になってしまっている。
この映画の花嫁は、ゴラン高原からシリアへ嫁ぐ。シリアに入れば、イスラエル側のゴラン高原へは二度と戻れないのだ。
結婚式の日が姉妹の別れの日、と花婿へのビデオ録画で語る姉。
アッバスさんが話すと、すごく心に響いてくる。彼女のもつ、この力は、いったい何なのだろう。

結婚式のために家族が集まる。
ロシア人の女性と結婚した息子とは、口もきかない父親。
姉はといえば、夫とうまくいっていない。
父親は、結婚式のためにシリアと占領地の「境界」へ行かないようにと、イスラエル側に言い渡される。
そういった人間関係が描かれつつ、舞台は「境界」へ移り、ここで、ささいなことから、トラブルが起こる。
そう、トラブルなんて、くだらないことから発生することも多い。

境界

国家同士の争い、形式ばった馬鹿馬鹿しい主張に、個人ひとりひとりが翻弄される。
国家と個人。不寛容な体制の縛りと、個人の精神の自由は、ぶつかるもの。

父親と息子のあるシーンで、思わず号泣してしまったけれど、さらに、
最後に、妹がとった行動は。それを見た姉は。
勇気と誇りと、愛をもって。
ばかな男たちの争いや見栄を、女性たちは毅然として越えてゆく。越えていってほしい。運命は切り開くもの。
ラストのアッバスさんの表情の演技も素晴らしく、感動の極み。

(4月3日)

家族

THE SYRIAN BRIDE
2004年 イスラエル・フランス・ドイツ作品
監督 エラン・リクリス
出演 ヒアム・アッバス、クララ・フーリ、マクラム・J・フーリ、アシュラフ・バルフム、ジュリー=アンヌ・ロス

参考:シリアの花嫁@ぴあ映画生活
「シリアの花嫁」の映画詳細、映画館情報はこちら

好き度☆☆☆☆(4点。4.5点でもいいくらい。満点は5点)

● COMMENT ●

弊記事までTB&コメント有難うございました。

個人の所有欲が集団にまで及んで出来あがったのが国境ですよね。
だから、人間に所有欲がなくなったら、国境は要らなくなる。
ジョン・レノンが"Imagine"で
♪Imagine no possessions
と歌ったのはその意味だと僕は勝手に思っているんです。

大して意味のないかりそめの国境の間で右往左往する国連職員を観て、国境の意味に思いを馳せ、役人仕事に義憤を覚え、その間に発生する父子の和解に胸をなでおろし、女性の勇気に拍手を送りたくなる、そんな素晴らしい映画でしたね。
僕の採点は“非常に良い”というわけではないですが。^^;

>オカピーさん

所有欲が、なかったら。
国境は、俺の土地だ、いや俺のだ、ということですからね。
Imagineの曲解釈も、所有欲が争いを生む、と考えていいと思います。

世界で、こんなことが起きているんだ、と知ることができたのも収穫でした。


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