「ワイルドバンチ」 - 2010.06.13 Sun
テレビでは何回か見ていたが、やはり映画館のスクリーンだと、いいなあ。
かっこいいと書いたが、それは、泥臭い、男くさい、かっこよさ。
出てくる男たちは、みんな渋い。そうでもないのは、ジェイミー・サンチェスが演じたメキシコ人の若者、エンジェルくらいなものだろうか。

(c) 1969 Warner Bros. Seven Arts. All Rights Reserved.
オープニングタイトルが出るとき、画面が止まってモノクロの模様に処理されるのが、まず、かっこいい。
文字が出るたびに、それが繰り返される。
ぜんぜん覚えてなかった。こんなに、かっこいいことしてたんだ!
テレビの画面で見たときは、小っちゃいから印象に残らなかったのかもしれない。
このオープニング、ドラムが響く音楽も、かっこよさを効果的に盛り上げる。
そして始まる大銃撃戦。通行人が巻き込まれる。きれいごとではなく、こんなこともあっただろう。
この映画、女性も容赦なく撃たれる。
ペキンパー監督お得意のスローモーションを織り交ぜるので、ある種の美しさまで感じてしまう。
銃撃戦は決して美しいものではないのは分かっている。
私だって実際の銃撃戦や、人がバタバタ死ぬのは嫌いだ。しかし、これは映画。映画の中なら面白いし、美しささえあるのだ。
この泥臭さは、マカロニ・ウエスタンに近い感じもするし、主役が追っ手に追われる「お尋ね者」なのは「明日に向って撃て!」を思わせる。偶然にも「ワイルドバンチ」と「明日に向って撃て!」は、どちらも1969年の映画だ。
汽車を襲ったせいで、そこから馬で追跡されたりするのも同じだったりするが、「明日に~」がモダンな感覚の映画なのに対して、「ワイルド~」はあくまでも泥臭い。

(c) 1969 Warner Bros. Seven Arts. All Rights Reserved.
渋い俳優たち。ウィリアム・ホールデンが、一団のリーダー、パイク役。若い頃はハンサムな二枚目役も多かった彼も50歳を超えて、じつに渋い。
パイクのよき相棒ダッチ役は、アーネスト・ボーグナイン。酒と女が大好きな荒くれ者、ゴーチ兄弟には、ウォーレン・オーツとベン・ジョンソン。昔からの仲間、サイクス爺さんは、エドモンド・オブライエン。
マパッチ将軍を演じるエミリオ・フェルナンデスも貫禄。敵襲のなか、簡単に逃げるのを拒んで悠然としているなんて、うそみたいだけど納得もできるくらいなのだ。
ただ、ひとつ、マシンガンの扱いが分からずに、そこらじゅうに弾丸の雨を降らせるところは、破壊のすさまじさをスローモーション交じりで見せようとしたのかなと、ちょっと、わざとらしい気がした。
若い仲間の身柄引渡しを要求しに、4人の男が将軍のもとへ歩いていく場面の、かっこよさ。
決闘などに行くときに、男たちが横一列に並んで歩いていくのは、ほかの映画でもあるが、この映画がいちばん、かっこいい。
今回ふと思ったのは、ゴーチ兄弟は、あの結果で納得だったのだろうか、ということ。
パイクが、あそこで撃たずに違う行動をとったら、どうなったのか。
そこを考えるのは野暮かもしれないが。

(c) 1969 Warner Bros. Seven Arts. All Rights Reserved.
パイクが背後から女に撃たれるところも印象に残った。パイクも撃ち返す。
女性だからって、ぜんぜん扱いが甘っちょろくない。このリアルさときたら。
ラストのオチも小憎らしい。生き残るのは…?
(6月6日 MOVIXさいたま)
THE WILD BUNCH
1969年 アメリカ作品
監督 サム・ペキンパー
出演 ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン
参考:ワイルドバンチ@ぴあ映画生活
好き度☆☆☆☆(4点。満点は5点)
● COMMENT ●
弊記事までTB&コメント有難うございました。
>オカピーさん
本能なんでしょうか。(笑)
本作のスローモーションの考察、記事で拝見しましたが、たしかにそういう構成なんです。
ちゃんと意思をもって、やっているように感じられますね。
こんにちは♪
うーん、私は西部劇はダメみたいなので退屈になってしまいました。
でもそうそうたるメンバーは観て良かったです。
銃撃戦に反応はしました^^;
>yukarinさん
映画館に行っちゃいましたよ。来週は「第三の男」なので、またもや行っちゃいそう。
興味をひかれないジャンルは、しょうがないですよね。
「午前十時の映画祭」で選ばれたわけですから、映画ファンなら見ておいていい作品ですね。
オープニングから渋い!
>ゴーチ兄弟は、あの結果で納得だったのだろうか
最初から結構反抗的だったふたりですよね。仲が悪かったと思いきや、いつの間にか心は一つって感じになっていて、そこはこう「男の生き様ってこういうもんだぜ」というのが一致してたのかな。
四人並んで歩くシーンはこの作品が一番カッコいいというのも同感です!
>宵乃さん
最後に、いさぎよく散るというのは、日本の武士道などにはよくあると思いますが、アメリカにもあるんだなあと(笑)。
自分なら、いやですけどねー。状況が、そうさせるのか?
大量スローモーション銃撃戦死(?)、本作が有名です。
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僕も戦争は大嫌いですが、余程残虐な描写でもしない限り戦争映画にはわくわくしますよ。勿論西部劇のガンファイトなんかも断然しびれちゃいます。
そういうことに文句を言いたいなら、最初から見なければ良いんですよ。
スローモーションには文句を付けることが多い僕ですが、本作は格好良いですね。
スローを流行らせた罪は大きいかもしれませんが(笑)。