「ピンキー」 - 2010.08.29 Sun
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ジーン・クレイン、エセル・ウォーターズ (c) Twentieth Century Fox |
肌の色が白く、見かけは白人だが、実際は黒人の娘が受ける人種差別。
黒人である身分を隠して北部で看護の勉強をしたピンキーは、南部の祖母のもとに戻ってくる。
彼女は祖母から、祖母の恩人の看護を頼まれる。余命少ない恩人はピンキーに財産を残す遺書を書くが、恩人の親戚はピンキーが薬を盛ったなどと噂を立てて、やがて相続は裁判で決着をつけることになる…。
たとえ、肌の色が白くても、黒人ならば差別する。見ていて腹立たしくなってくるが、そうした現実はあった、または、あるだろう。
ピンキーという名前は、かわいい感じで、小さいとか、小指を表したりするが、ピンク色ということでもある。
考えすぎかもしれないが、黒人にそうした名前をつけるのは、黒人でありたくない、という気持ちが無意識にでも入っているのではないだろうか。
黒人差別を正面から扱った問題作。
恩人役のエセル・バリモアは、ドリュー・バリモアの大伯母。
ジーン・クレインは、マリリンも出演した「人生模様」(1952年)で、「賢者の贈り物」のエピソードに主演している。
また、「紳士は金髪がお好き」(1953年)から派生したような映画「紳士はブルーネット娘と結婚する」(1955年)にも出ている。
(8月7日)
PINKY
1949年 アメリカ作品
監督 エリア・カザン
出演 ジーン・クレイン、エセル・バリモア、エセル・ウォーターズ、ウィリアム・ランディガン
好き度☆☆☆(3点。満点は5点)
● COMMENT ●
>kiyotayokiさん
ジーン・クレインさん、23歳でしたか!
見かけが白人でも、黒人だとわかれば、とたんに差別する…。人間って難しいものです。
弊記事までTB&コメント有難うございました。
見かけは白人である黒人。
これは人間は何により差別するかという命題を与える手段でもあったのでしょうね。
つまり、人は見かけで差別するのは勿論のこと、そうでない部分・・・例えば血であったり家系であったり・・・からも差別するのだ。個性から人間は評価されないものだ、というのが主張でしょう。
当たり前と言えば当たり前のことですが、人間のある限り永遠の命題ですね。
カザンも後年赤狩りの時に大問題を起こしてしまいますが、映画作家としては僕は大変優れた人だったと思います。特に50年代の仕事は圧倒的でした。
>オカピーさん
そうなんですね、何も知らなければ白人だと思って付き合うのでしょうに、黒人だと知ったら、それだけで対応が変わってしまう。
そういう傾向は減ってはいるのでしょうけれど。
カザンの作品は、ガシッと骨があって(?)、おもしろいですね。
お久しぶりです。
私は、ミス・エムが全財産譲渡の遺言を残すほどのピンキーだったか?。と疑問を抱きましたが、後刻、そんな些細な事より、もっと大事な事をエリア・カザンは訴えているのだと、感じ取りました。
例えアカの他人であっても、血の繋がった近親者よりも深い、ピンキーの愛をミス・エムは認めたのだと。
エリア・カザンの秀作「エデンの東」を想起する私でした。
>アスカパパさん
たしかに、ピンキーの看護ぶりのどこが格別よかったのか、という面は描いていないですね。
観客が想像するしかない省略部分、でしょうか。昔、尽くしてくれた世話係の女性の孫だから、ということも、どの程度か分かりませんが、あるかもしれません。
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そして23歳でこういう難しい役にトライした主演のジーン・クレインにも拍手を送りたいですね。
たとえ売名の意識があったとしても、相当な覚悟が必要ですものね(^^ゞ。