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2020-12

「処女の泉」 - 2010.09.10 Fri

イングマール・ベルイマン監督の有名な作品。


ストーリー、ネタばれです。

娘を犯して殺した男たちに、娘の父親が復讐する。
話は単純だが、そこに「信仰」が絡んでくると、重みが違ってくる。
私はこの映画の登場人物のような信仰はもっていない。だから、映画の人物が感じる罪などの気持ちについては、同じ感じ方はできない。想像するしかない。

娘が、ろうそくを捧げにキリスト教の教会に行く途中で犯され殺されてしまうことは、親にしてみれば、娘は神のために出かけていったのに、なぜ神は娘を守ってくれなかったのか、と思うだろう。神に疑問を抱き、「神の不在」(映画でも時々あるテーマですね)を感じるかもしれない。

処女の泉1

純粋に男たちを信じて、一緒に昼食をとろうとした娘カーリン。その善意、疑わない心は裏切られ、悪に征服される。
娘と同行していた養女インゲリは、隠れて事件を見ていた。彼女は子どもをはらんでいる。父親は説明されない。
彼女は自分と違って、親にかわいがられている娘をねたんで、北欧神話の戦いと死の神オーディンに、カーリンに災いがあるように祈っていたのだが、それが、こんな形で実現しようとは。
インゲリについて考えれば、「嫉妬」「裏切り」、強い者には勝てずカーリンを助けることもできないという「あきらめ」「弱者」「大衆」など、さまざまなことを重ねて見ることができそうだ。

男たちに復讐する父親は、悪行に加わっていなかった彼らの幼い弟までも、憎しみの勢いあまって殺してしまう。
やりすぎである。当然、父親は後悔し、悩む。
父親が、男たちと出会い、彼らが娘を殺したと知ったのは、神がいるとすれば、その導きではないかとも思える成り行き。
それとも、神の「いたずら」か。復讐の末、父親は罪なき者まで殺して苦しむことになるのだから。

処女の泉2

そして最後には、奇跡のように泉が湧き立つ。
インゲリは、泉の水をすくって何度も何度も飲む。救いを求めるかのように。
無慈悲に娘の命を見殺しにしたとも思える神ではあっても、父親は信仰から離れることはできない。自分は罪深く、いま、奇跡のような泉まで目の当たりにしている。
ひどい目にあっても、信仰は残る。いや、ひどい目にあうからこそ残るのか。
もしも実際には神がいないとしても、多くの人間には、少なくとも、頼るものが必要なのだろう。

無駄な部分がない、引き締まった内容。罪、復讐、信仰などを描き、人間というものを見つめる問題作。

注:コメントで「処女」と書くと、たぶん運営サイトの強制NGワード(書いたら載せません!言葉)に引っかかるので、書かないようにねっ。

(8月29日)

JUNGFRUKALLAN
1960年 スウェーデン作品
監督 イングマール・ベルイマン
出演 マックス・フォン・シドー、ビルギッタ・ぺテルソン、グンネル・リンドブロム、ビルギッタ・ヴァルベルイ

参考:処女の泉@ぴあ映画生活

好き度☆☆☆☆(4点。満点は5点)

● COMMENT ●

弊記事までTB&コメント有難うございました。

30年くらい前に当時ぼつぼつ出来始めたミニシアターで観たのですが、とにかく映像の美しさに度肝を抜かれました。添付された写真もベルイマンらしくコントラストが強くて綺麗ですね。^^
話も表面的には解りやすく、後期のベルイマンよりは大分とっつきやすいので足りない頭を絞る気になりました。

確かに「信仰」については不信心の仏教徒もどきには解らないところが多いわけで、解らない映画になんで最高評価を付けるのかと文句を付けられたことがありますが、凄いものは凄いとしか言いようがありません。^^;
圧倒されたという意味で、わが生涯のベスト2の映画であります。

>オカピーさん

ベスト2ですか!
信仰がなくても、深いものがあるとは思えますね。
簡単な話の中に、人間の根源的な部分を語っているのが、すごいのではないかと。
加えて、語り口も、映像もいいですし。
やっぱり、「すごい」ですよね。

こんにちは。

映画の教科書。それも古典という思いを受けます。
ベルイマンが、神について語っているのは間違いないと、私は思っています。
この映画を観る度に、それが、神の存在を肯定しているのか、或いは、神の存否について、問題を投げかけているのか、未だにいろいろと考えさせられる映画です。

>アスカパパさん

こんばんは。
そうですね、古典、教科書といってもいいと思います。
まだ監督が若い頃に作っているのが、おみそれしました、というしかないです。(苦笑)
監督がどういう思いで作っているのかは、よくわかりません。(もっとも脚本は別の人ですけど。)
ひどい目に遭うから神なんかいない、のか、それでも神はいる、のか、どちらにも取れてしまうふうなんですよね。

漢字で「しょじょ」と書くと引っかかるという話を聞いて、平仮名で書いてたら「しおじいの泉」とか、凄く懐かしい物を連想してしまった。

>ふじき78さん

「ジョジョ」なら大丈夫ですし「しょじょじのタヌキばやし」もOKです。
「しおじい」は一瞬考えてしまいましたよ。なんのことか思い出したけど~。

ボーさん、こんばんは。
あっ、強制NGワードってFC2ブログにあったんですね。

この作品に関しては、考えれば考える程迷宮に嵌り込んで行くところがありますよね。
神話的でありながら、ものすごく下世話な人間の卑賤さを描いていたような。
一転して、『夏の夜は三たび微笑む』は黄金時代のハリウッドコメディ的でもあって素敵でした。
ボーさんの感想も聞きたいです…。

>とらねこさん

こんばんは。
たしかNGワードが…。今も同じなのかどうか分かりませんが。

そうなんです、わからないうえに、見てから時がたっていますので、なおさら、なんといっていいのやら。
「夏の夜は~」は、それこそ20年以上前に見ています…ので、ほとんど記憶がありません! ベルイマンが、こんな映画を?とは思いましたが。見直したい気分もありますね。

あんな、全自動泉涌かし死体があったら、いい値で売れるんじゃないかなあと下世話な事を考えてました。

>fjk78deadさん

砂漠地帯なんかでは、いい商売ができますね。


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映画評「処女の泉」

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