fc2ブログ
topimage

2023-12

「フロスト×ニクソン」 - 2010.10.28 Thu

ウォーターゲート事件により退陣したニクソン元大統領に、インタビューを試みるテレビの司会者フロスト。

フロストにとっては、ニクソンから真実の言葉を言わせたいということよりも、フロスト自身の名声を上げたい思いのほうが大きかったのではないか。
イギリス出身の彼が、アメリカという大きな舞台で活躍したい気持ちは、彼の言葉に表れていた。


ニクソンとフロスト
ニクソン(左)対フロスト(右)。
(c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


以下ネタばれ気味に。
3回に分けて行われたインタビュー、初めのうちは百戦錬磨のニクソンに翻弄されて、いいところがなかったフロスト。
ある夜、ニクソンがフロストに電話をかけてくる。そのあとフロストは、資料を懸命に調べ出すのだ。

このターニングポイントは何なのだろう。ニクソンは、なぜ電話をかけたのか。そのことがフロストに火をつけたなら、ニクソンにとっては余計なことをしたものだ、ということになる。
電話をしてまで徹底的に敵をたたこうとした? それで沈没する相手もいるし、逆の相手もいる。
ニクソンは電話をしたことを覚えていないと自ら言っていたが、果たして?


人々に応えるニクソン
にこやかに現役みたいに手を振ってます。うしろで見ているフロストは苦笑い?
(c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


ニクソンを演じたフランク・ランジェラは、ニクソンの政治家としてのしたたかさをうまく出して適役。顔は似ていないけど。
フロスト役のマイケル・シーンも、一見、軽そうなテレビショー司会者に合っていた。

軽薄なテレビの男と、なめてかかったニクソン側は、思いがけない落とし穴にあった、という感覚だろうか。
ただ、ニクソン自身は、心のどこかで、洗いざらい話してしまいたい、という気持ちがあったのではないだろうか。
結局、話してしまっても、完全に政界への復帰の道が閉ざされただけで、ほかには、たいしたダメージはなかったのでは?
それまで彼が自分の口から言わなかっただけで、ほかの世界中の人には、なんとなく、わかっていたことなのだから。

映画としては、政治がどうの、というよりは「対決」のエンターテインメントになっていて面白い
舞台で演じた主役ふたりが、そのまま映画に出演したので、演技としても安定したものが楽しめた。


腹心はケビン・ベーコンだ
ニクソンの腹心の部下を演じたのは、ケヴィン・ベーコン。好演。
(c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


(10月23日)

FROST/NIXON
2008年 アメリカ作品
監督 ロン・ハワード
出演 フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、レベッカ・ホール、ケヴィン・ベーコン

参考:フロスト×ニクソン@ぴあ映画生活
「フロスト×ニクソン」の映画詳細、映画館情報はこちら

好き度☆☆☆★(3.5点。満点は5点)

● COMMENT ●

弊記事までTB有難うございました。

ランジェラが日本でも有名になったのは「ドラキュラ」で、どうもその頃のイメージが強いですが、あれから30年も経って、随分立派な役者になってニクソンを堂々と演じていますね。
何だか別人のようです。僕も髪の毛がすっかり薄くなりました(笑)。

映画のほうは当方も割合評価の高い☆☆☆★を出しましたが、その割に文章では色々文句を言っています。
二人の丁々発止の対決は見応えがある一方で、疑似ドキュメンタリーの手法を一部に用いたのが気に入らなかったんです。あれで却っていつの時点の視点なのかぼけてしまった感がありましてね。
僕の周囲はそんなことは大したことではないと仰る人が多いですが、どうも性格的に気になるもので(笑)。

>オカピーさん

コメントありがとうございます。
ランジェラというと、私も映画名としては「ドラキュラ」を思い出しました。
貫禄のある演技してますねえ。

ドキュメンタリーっぽいのは、関係者のインタビューが、たまに入るところですね。
あれは私は、なくてもいいのではないかと思いましたが、周囲の人々がどう思っていたかを少し補完したい、ということかなと考えました。
いつの時点の話か、というのは気になりませんでしたよ。

洗いざらい放してしまいたい気持ちは、絶対あったと思います。
でも素直に認めたくないから覚えてないなんて。。。

今作、もっと退屈かと思ってたのに、意外に引き込まれました♪

>わさぴょんさん

責められつづけて沈黙するのは、つらいですからねえ。
しゃべってしまえば、気が軽くなるぞ、吐いちまえよ。と刑事にカツ丼でも差し入れられたのでしょうか。(笑)
ウォーターゲート事件に詳しくなくても、楽しめました。


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://bojingles.blog3.fc2.com/tb.php/1984-4ee760e0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

フロスト×ニクソン

監督・製作: ロン・ハワード キャスト デビット・フロスト☆マイケル・シーン リチャード・ニクソン☆フランク・ランジェラ ジャック・ブレナン☆ケヴィン・ベーコン キャロライン・クッシング☆レベッカ・ホール スイフティー・リザール☆トビー・ジョーンズ ...

乗客にニクソン

「パッセンジャーズ」 「フロスト×ニクソン」 

フロスト×ニクソン [DVD]

原題:FROST/NIXON公開:2009/03/28製作国:アメリカ上映時間:122分監督:ロン・ハワード出演:フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、ケヴィン・ベーコン、レベッカ・ホール、トビー・ジョーンズ、マシュー・マクファディン、オリヴァー・プラット、サム・ロックウェ...

フロスト×ニクソン / FROST/NIXON

1977年にTV番組で実際に繰り広げられた全4回にわたる伝説のインタビューを、 ロン・ハワード監督が再現した本作。 アカデミー賞作品賞他、監督賞、主演男優賞作品賞、脚色賞、編集賞でノミネートを受け...

大統領の敗北~『フロスト×ニクソン』

 FROST/NIXON  ウォーターゲート事件により、アメリカの歴史上初めて任期途中で辞任した 大統領、リチャード・ニクソン(フランク・ラ...

フロスト×ニクソン

アカデミー賞5部門にノミネートされた話題作。主演はアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたフランク・ランジェラ。そして相手役として『アンダーワールド:ビギンズ』が3月14日から公開されるマイケル・シーン。監督はもう数々のヒット作を生み出したロン・ハワー...

映画評「フロスト×ニクソン」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2008年アメリカ映画 監督ロン・ハワード ネタバレあり

映画レビュー「フロスト×ニクソン」

フロスト×ニクソン (フランク・ランジェラ 主演) [DVD]◆プチレビュー◆決闘に例えられた伝説のTVインタビューは知的心理戦。F・ランジェラのニクソンに思わず唸る。 【75点】 ウォーターゲート事件で辞任したニクソン元大統領に、英国人のTV司会者フロスト...

フロスト×ニクソン 【お互いに 全てを賭けた 戦いの】

『フロスト×ニクソン』 FROST/NIXON 2008年・アメリカ=英=仏 1977年、実際にあったTVショーの裏側。  ウォーターゲート事件で辞任したリチャ...

『フロスト×ニクソン』 (2008)/アメリカ

原題:FROST/NIXON監督・製作:ロン・ハワード脚本・原作・製作総指揮:ピーター・モーガン出演:フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、ケビン・ベーコン、レベッカ・ホール、トビ...

フロスト×ニクソン

まるでボクシングのような舌戦。 ニクソン元大統領が任期中に起こした「ウォーターゲート事件」や「ベトナム戦争」等の事をを司会者デビッド・フロストがインタビューを行い、ニクソン本人の口から事件の真相を炙り出そうとする物語です。 ウォーターゲート事件の詳細や...

フロスト×ニクソン

46点 2008年のアメリカ映画で、 監督は「ビューティフル・マインド」、「ダ・ヴィンチ・コード」のロン・ハワード、 主演はマイケル・シーン、フランク・ランジェラです。 ウォーターゲート事件によ...

「山形スクリーム」 «  | BLOG TOP |  » マリリン in VANITY FAIR NOV.2010

おなじみの映画ブロガーさんの多いgooブログもTBを廃止。多くのブログがTB廃止の事態になってきた。こうなると、TBから記事をたどることができないブログが多くなる。ブログのURLをお気に入りなどに登録して、何を書いているのかなと、いつも見回りに行くしかない。

マリリン応援+映画雑文などのブログ。
下のほうにアクセスランキング、ツイッターがあります。



このブログのトラックバック・ポリシー (2009年1月10日、修正)

過去の記事の一部には「ブログランキング参加中~」という文面がありますが、現在はブログランキングから離脱しています。該当するすべての文章を削除することは大変なので、そのままにしてあります。

映画感想の「好き度」について。
☆☆☆☆☆(5)…GREAT!文句なし!
☆☆☆☆(4)…FINE!かなり、いいぞ!
☆☆☆(3)…GOOD.観て損はないかな。
☆☆(2)…NOT SO GOOD.ちょっとなあ…。
☆(1)…BAD!いいかげんにせい!
という感じ。★を0.5点とします。星5つは、ほとんどつけませんから、4.5点なら最高と言えます。 自分にとって面白いかどうかが重要で、世間の評判や、意義がある映画である等々は重要視しません。
好きだなあと思ったら3.5点に星が到達。


クリックで救える命がある。

小鳥頭
忘れっぽい人の同盟。
クリックしたら説明があるかもしれない
(忘れた)。


プロフィール

ボー・BJ・ジングルズ

  • Author:ボー・BJ・ジングルズ
  • HP「シネマ停留所」の管理人でもある。♂。単純に映画が好き。綺麗な女優が好き。マリリン・モンローさんは、わが永遠のミューズ。

ブログ内検索

最近の記事

最近のコメント

最新トラックバック

カテゴリー

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング(30日分累計)

Twitter

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード