「縞模様のパジャマの少年」 - 2010.11.28 Sun
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(c) 2008 Miramax Film Corp All rights reserved. |
大戦中、ドイツ軍の将校一家がベルリンを離れて、新しい任地へおもむく。
家の裏のほうには行ってはいけない、と母親に言われている8歳のブルーノだったが、ついに冒険に飛び出し、鉄条網に囲まれた土地を見つける。
そこで、同い年のひとりの少年と出会って…。
以下、ネタばれあり。
立場、生まれが違っただけで、こんなに人生に差が…。
家庭教師のユダヤ人差別も、あからさま。こういう教育があったんだなあ、と恐ろしく思う。
収容所の服を着てしまえば、ユダヤ人かどうかなんて分からない。
実際には、そのように区別がつかないものを、よりわけて差別する、抹殺するなんて。
ただし、疑問は多い。
鉄条網の向こうと、こちら側とで向かい合って会話できるほど、規則は緩かったのだろうか。
仕事をさぼって外側の誰かとしゃべっていたら、ドイツ兵の監視に見つかるのが普通ではないか? すべての日々について、ドイツ兵の怠慢か?
それに、悲劇を生むための過程が、都合がよすぎる。まるでラストの悲劇に合わせて、少年たちが行動しているよう。
それにしても、ドイツ軍将校の息子が、あそこであんなことに…。インパクトをもたせるための皮肉がすぎるような気もする。
また、母親が泣き崩れているのは、事情をすべてわかっているのか? あの場で? どうやって? 煙突でも見ていたか?

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(11月23日)
THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS
2008年 イギリス・アメリカ作品
監督 マーク・ハーマン
出演 エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、アンバー・ビーティー、デヴィッド・シューリス、ヴェラ・ファーミガ
参考:縞模様のパジャマの少年@ぴあ映画生活

好き度☆☆★(2.5点。満点は5点)
● COMMENT ●
現実は
ホロコースト入門編
これ、原作が児童文学らしいので、現実の厳しい描写や史実よりも象徴的な描写を選んだと思われます。フェンスをはさんで向かい合う少年という構図がわかりやすいですよね。ホロコーストの非人道的な部分をイメージさせやすくする仕掛。製作にあたっては米国資本が入って、受けがよい描写や結末を要求された経緯があったとも聞きますので、ラストのガス室の演出もああなったのでしょう。これまでホロコーストものを観たことのない若い世代にはこれをまず観て欲しい、そしてもっと厳しい現実を知る、という観方でよいのかな。長文にて失礼しました。
衝撃はありました
まさか少年がああいう結末を迎えるとは
観る前は全く想像してなくて、ショックでした。
着ている物でしか区別できないのに、差別して抹殺する・・・
ホロコーストや戦争がいかに残酷で愚かなものか、
それはよく伝わって来ましたね。
>ノルウェーまだ~むさん
そういえば、収容所のあたり、行かれたのでしたっけ。
使えない子どもは、すぐに抹殺なんて、ひどいものです。
全体的に、リアルにするよりも、わかりやすく描いた、ということなのでしょうね。
>takさん
なるほど、児童文学ですか。
製作上の意図も入ったわけですね。
たしかに入門編としては、機能する映画だと思います。
第二次大戦から、時も経って、知らない人、知られていないことも多くなってきているかもしれないですからね。
>YANさん
私も、ああなるとは思いませんでした。
でも、なんだか、わざとらしいというか、わざと、そんなインパクトの強い話にしたような…。
へそ曲がりゆえ、お許しを!
戦争、ホロコーストの悲惨は、伝えてくれたと思います。
TBありがとうございました
自分の記事にも書いたのですが、確かに2人が有刺鉄線越しに会話することすらありえない感じはしますよね・・・
でも、あのラストへ導くためには必要だったんですよね。
あのラストも賛否両論あるとは思うのですが、問題提起としてはスゴイところ突いてきたなと思いました。
>maru♪さん
そうでしょー。あの対面の仕方はないでしょう、と思いました。まずは。
しかも、将校の息子があんなことになるとは、話ができすぎてる! なんて。
なおさらショッキングな話にして、インパクトを与えていますけれど。
問題を風化させないために、語るべき事ではありますね。
No title
よく考えてみると鉄条網の向こうと、こちら側で会話なんて出来ないですよねぇ。
でもあのラストに持って行くには仕方ないですね。
戦争やホロコーストの悲惨さは伝わってきました。
>yukarinさん
それはないだろー、と思ってしまったら、これはしょうがないわけで。
そんなところから、無理やり感が、ぬぐえず…。
意義は分かりますけどね~。
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そうなんです。現実はそう甘くなかったようです。
資料によると14歳以下の働き手になれない子供はまっすぐガス室行き、なので生体実験用の子供でお菓子ももらえて大事にされていた子ってことなのかな。
後期には、こどもも大人と同様に働かされていたみたいだから、こっそり遊んだりは出来なかったと思います。
縞模様を着せてしまえば、人種は分らないという痛烈なメッセージを込めた象徴的な映画だったのでしょうね。