「ブラック・スワン」 - 2011.06.11 Sat
エンドロールを見ながら、そう思っていた。
本作の監督ダーレン・アロノフスキーの過去作「レクイエム・フォー・ドリーム」に通じる悪夢感が、見る者の心に迫る。
バレリーナが初めての主役を得るが、その大役のプレッシャーに潰される過程。
ひとりの人間の生き様、精神分裂・崩壊を、ミステリアスかつホラー的にも、にくらしいほど見事に描いた傑作だ。
ナタリー・ポートマン嬢の清楚なキャラクターが生きた。つまり、黒鳥を舞うには、色気が足りないよ、という役なのだ。
(ものは言いよう、みたいなもので、色気がない場合に「清楚だ」と言ってほめるようなこと…ではない! 私は、昔っからナタリー好きですよ。)
とにかくも、まさに、ハマり役なのだった。
精神不安定な演技も、監督の演出力とあいまって的確で、これで賞を取らなかったら、どうなのよ? っていうくらい。
とくにアカデミー賞が好みそうな種類の演技内容のような気もするし。…なんとなく。
自己分裂気味なところを、鏡を使ってあらわしたところも、うまい。
鏡には自分が映る。その像が本当に自分なのか…違うものが映っていないか…そういう使い方はよくあるものだけど、本作は、これ以上ないと思えるほどに、うまい。
幻覚か真実か。あやふやなまま、引っ張ってゆく。
ヴァンサン・カッセルがバレエの偉い人(なんていうんだか?)を演じるのに大丈夫かと思ったが、違和感はなかったし。
ウィノナ・ライダーの名前があって、あとから、あ! あの役だったのか! とわかった。(観ているときに気づけよ、って感じですか?)
本作、完璧主義もいいけど、ほどほどにしておかないと、つらい。という結論ですね!?
文句なしに見事だが、「好き度」で評価するならば、たとえば私の場合なら「ブラック・スワン」は「エンジェル ウォーズ」には勝てない。
ロードショー中に5回観た「エンジェル ウォーズ」と違って、「ブラック・スワン」は何回も観たい、というものではないからだ。
しかし、ナタリー・ポートマン嬢には、素直に敬服する。
彼女の主観を含め、ほとんどの場面に彼女が出ずっぱり、だったのではないだろうか。(正確には覚えていないけど。)
確実に、彼女の代表作の1本になる。
(5月22日 ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋)
All the pictures (c) 2010 TWENTIETH CENTURY FOX. All rights reserved.
BLACK SWAN
2010年 アメリカ作品
監督 ダーレン・アロノフスキー
出演 ナタリー・ポートマン、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー、ヴァンサン・カッセル
参考:ブラック・スワン@ぴあ映画生活
「ブラック・スワン」の映画詳細、映画館情報はこちら
好き度☆☆☆☆(4点。満点は5点)
● COMMENT ●
お久しぶりです♪
この映画見終わった直後はボーさん同様「すごいものを見た!」と思い、感動でしばし動けなかったです。
でも、時間が経ってみると、なんとなく感動が薄れてしまったような・・・
上手く言えないんですけど、見ている側の極度の緊張が解けたことによる震えや脱力感も感動にすり変えている部分もあったのかなぁ・・・ なんて・・・
でも、それはもちろんナタリーの演技と演出の上手さのおかげだと思います!
「さかなくん」と「もう中学生」、たしかに、どこか似ている! じつは2役かも!?(笑)
ウワー
>maru♪さん
そうですね、とくに、あの終わり方。ヒロインのたどる結末の衝撃の影響は強かったと思います。
心理サスペンスの緊張が続いて、最後には彼女の運命に圧倒されちゃうんですね。
そこまで観客を引き込む、映画のパワーがすごいともいえそうです。
こういう話だ、と知ってしまった後は、衝撃度の分の印象は減るのだと思います。
おはようございます。
>すごいものを観た。
とおっしゃり、私は
>凄まじい、
と思いました。又、ボーさんも
>何回も観たい、というものではない
とおっしゃり、私も「二回見たいとは思わない」と思ってしまいました。それは見たばかりだったので極端な発言になってしまいましたが、今ではもう一回見て細かいところをチェックしてみたいような気もしますが、凄まじさゆえにクタクタになってしまったのは確かです。
言葉は違っても、同じように感じたのですね。そして、以前から好きだったポートマンがさらに好きになった点も一緒かしら(笑)
こんにちは♪
もう予告に入れてくる作品が多すぎて、、、公開前に
粗方内容の予測がついてしまうのがちょっと残念です。
キャストはみんな持ち味を活かせた役回り。。。
白鳥ママ、怖かったですね~)^0^(
ナタリーさん~
清楚で知的で美人・・・言うことなしの女優さんですよね
私はウィノナ・ライダーさんも好きなのですが、本作では端役でちょっとがっかりしました。
ナタリーさんの演技を見て、ますます彼女のファンになりました♪
>kiriyさん
感じた総合印象(?)は、かなり同じですね。
私も見直すという意味ならば、もう一度見てみたいとも思います。
彼女が追い込まれてクライマックスへと一気に進むのが、息つくひまもない印象で、すごいなと感じます。
ナタポーで近年、印象に残るのは、ゴヤは見た!みたいなヤツ。(タイトル調べもせず、すいません!)
>kiraさん
予告編、さんざん見ましたね。でも私は、あんまり考えないで、ボーっと、その名のとおりに見ているので、あんまりネタばれしていた気がしません。(←おばか)
黒鳥になる、というあたりはバレてたのかな…。
ママも心配のあまり、なので気持ちはわかる、というところでしょうか。
>マーちゃんさん
誰が「レオン」の少女が、これほどになると予想したでしょうか?(…誰か、したかも。)
ウィノナさんは、まだまだ主役級でがんばってほしいですよね! これからですよ。
ナタリーは、「マイティ・ソー」とか、新作公開が続くみたいで、楽しみです!
続けて2回観ました
やっと話題作を観ました。
悪夢がとてもリアルにこちらに迫ってきて、
神経が疲労するような作品でしたね。
鏡の使い方も上手く、ホラーっぽい演出が
すごく面白さを引き出してました。
それに2回観ても、どこが現実で妄想なのか、
分からないのよね~
完璧主義は、たいていの芸術・スポーツの表現者は
そうなんじゃないでしょうか。
つらいけれどもそこを乗り越えた者だけが極致に立てるのかも。
>YANさん
2回見ちゃいましたか!
ほんと、これ悪夢ですよね。
精神がおかしくなっちゃうほど、がんばらなくても…と思うけど、しょうがないんでしょう。
環境や性格にも、よって…。
ナタリーが受賞したのは喜ばしいことです。なんたって私の彼女ですからね~。(ん?)
完璧さを求めるがために ほころびが出る
たしかに 役のポジションは ライバルを蹴落とし 何時間もの練習で技術をみがきます ねたみ 嫌がらせは つきものですけど
ナタリー演じる ソリストは 母の期待に答えようとライバルに負けまいとあまりに役に没頭し過ぎ 精神状態が不安定でしたね。それが いかに こわいことか 知りました。
昔 70年代 作家の三島由紀夫や川端康成は 作品を極めようと日々 構想を練っていましたが あまりに "日本の美"が なんなのか "完璧さ" を考えすぎたために 割腹自殺や ガス自殺しました。 詰めすぎると一般の精神感覚がなくなってしまうんですよ。
この ブラックスワンにしても それと同様 精神がまともじゃなくなっていく様子が こわかったです。
>zebraさん
何かを極めようとする人は、のめりこむ度合いによっては、精神に影響が及ぶことがあるのですね。
単に仕事に集中するだけでも疲れてしまうことがありますし…。
やはり、完全は求めないとか、どこかで息抜きするとかしないと、大変ですよね。
こわい映画でした。
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「さかなくん」が鏡をのぞいたらそこには自分の姿ではなく「もう中学生」の姿が
キャー