「数えずの井戸」 京極夏彦 - 2012.12.22 Sat
「嗤う伊右衛門」「覘き小平次」に次ぐ、日本の有名怪談のアレンジ再生小説の第3弾。
おもしろかった。
京極堂のシリーズのように「うんちく」がないから、ストレートにグイグイ読める。(いや、うんちくがつまらないというわけではない。)
毎度の分厚い本も、なんのその、もっと厚くたって、すいすい読めるのである。

番町皿屋敷について、発行元の中央公論新社の特設サイトの説明をひくと…
お菊は、「四谷怪談」のお岩と並んで知られる「女ゆうれい」。
岡本綺堂による戯曲「番町皿屋敷」で有名になった皿屋敷伝説は、実は全国に伝わっています。
バリエーションは多々ありますが、十枚揃いの家宝の一枚を割った罪で惨殺された「菊」という名の女中が、投げ込まれた屋敷の井戸の縁に夜な夜な化けて出て、「一枚、二枚......」と九枚まで皿を数え、「一枚足りない」と恨めしげに呟く......という怪談を、なんとなく知っている方は少なくないでしょう。
『数えずの井戸』も、それらの伝承と同様、彼女が井戸端で皿を数えるようになるまでを描いています。
京極さんの話からも少々。
「…井戸の周りを二人の男女がぐるぐる回っていて、回っているうちに分身の術を使って数が増えちゃって(笑)、いったい何人いるんだと数を数えるんだけど数え切れない、そういう話ですからね…」
「…登場人物のほとんどが同じ人物の複写…」
物語は、主な登場人物を「数えること」をどう感じているのかを交えながら紹介していき、(上記の京極さんのコメントを考えれば、)欲と無欲、憎しみと無垢、狂気と正気など、表裏一体の人間の多面性を描きつつ、最後の怒涛の終末へとなだれ込む。
(12月18日 読了)
● COMMENT ●
京極氏の書くホラー系小説って・・・
>小夏さん
うらみ、つらみがにじみ出るような場面は、なかったような…。
なんと? 私が鈍いだけと仰るのか。左様かもしれぬな。
いや、だいじょうぶです、おもしろいですよ!
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実は苦手だったりします。
「巷説百物語シリーズ」はOK、「嗤う伊右衛門」でギリギリってとこ。
(「嗤う~」は活字フォントからして怖いし。笑)
「数えずの井戸」も、何気にかなり怖そうなんですけど。
どうなんでしょ、その辺。