「八月の鯨」 - 2013.03.28 Thu
1日1日を大切に、希望を持って。
大好きな映画。
見るのは3回目だが、大きなスクリーンで観たのは、はじめて。

海に近い別荘に住む老姉妹の暮らしを描いたもので、大きな事件はなく、釣った魚を持ってきてくれた男や、大工さん、おさななじみの友人と、お茶をしたり、夕食をとったり。
妹は、目が不自由になったこともあって、皮肉屋になり、対人関係に少し難が…。
ゆったり、ていねいに、大切に、つむがれていく、1日。
日々の暮らし、穏やかさ、ささやかな幸せ、心のうちの寂しさ、思いやり。
太陽の光、海の輝き、そよぐ風…。
入江に鯨がやってくるのを待ち望む、その期待は、人生への期待、希望だ。

資料によると、リリアン・ギッシュさん90歳、ベティ・デイヴィスさん79歳、アン・サザーンさん78歳、ヴィンセント・プライス76歳、ハリー・ケリー・ジュニア66歳。
デイヴィスさんよりも11歳も年上のギッシュさんが妹役を演じている。彼女が可愛い顔立ちだからだろうし、何よりもキャラクター的に、皮肉屋はデイヴィスさんのほうが合っている。
本作が105本目の出演作となるギッシュさんと、100本目の出演作となるデイヴィスさんの2人が核となり、その周囲を、これまた見事な俳優陣が固めている。
1910年代からサイレント映画期のスターとして活躍したリリアン・ギッシュさんが、90歳で再び主役、しかも素晴らしい映画となるのだから、映画の神様は彼女を祝福しているに違いない。
私はギッシュさんの映画はあまり見ていないが、「狩人の夜」(1955年)というスリリングなカルト作にも出演していて、これは特異な一作だと思うので、機会があれば見てほしい。
マリリン・モンローさんのファンの私からすると、なんといっても、ベティ・デイヴィスさんは「イヴの総て」(1950年)だが、その37年後にも変わらない素晴らしい演技を見せてくれる。

ところで、私が好きだったミュージシャンに、リンドバーグというバンドがある。今は活動していないが…。
彼らのアルバム「LINDBERG VII」(1994年リリース)のなかに、ずばり「八月の鯨」という曲が存在し、歌詞の一節には、
八月になれば 鯨が入江にやってくる
彼女は待ってる 海辺の小さな家で 永遠の夏を
などとあるのだ。
作詞の渡瀬マキさんは、たぶん間違いなく、映画「八月の鯨」を見て、この詞を書いたのだろうと思い、驚くとともに、うれしかったことを覚えている。
(3月20日 岩波ホール)

リリアン・ギッシュさん。1919年「散り行く花」にて。
この記事の分類「映画感想(私にとっての永遠の名作)」についての説明は、こちら。
THE WHALES OF AUGUST
1987年 アメリカ作品
監督 リンゼイ・アンダーソン
出演 リリアン・ギッシュ、ベティ・デイヴィス、アン・サザーン、ヴィンセント・プライス、ハリー・ケリー・ジュニア
参考:八月の鯨@ぴあ映画生活
好き度☆☆☆☆★(4.5点。満点は5点)
(c) 1988 Alive Films,Inc.and Orion Pictures Corporation.All Right Reserved.
● COMMENT ●
今この記事に気がつきました!
WOWOWで観ました(ブログを始める前ですから
かなり前ですが(^^ゞ)
90歳と79歳の女優が主演の映画を作るハリウッドって凄いなって
思った記憶があります^^
>ゆったり、ていねいに、大切に、つむがれていく、1日。
そうなんですよね。衝撃的なこととかなかったんですが
二人の演技に惹き込まれて行き、ラストもいい余韻が残った
映画でした!岩波ホールで上映があったんですね。
ギッシュさん、こんなに綺麗なかただったんだ~(@_@)
ボーさんはリンドバーグ、お好きだったんですね。
その曲は知りませんでした。でも、タイトルといい
歌詞といい、渡瀬さん、絶対にこの映画鑑賞していますよね(^_-)-☆
リンドバーグってまた活動再開してませんでしたっけ?
ps.は~い♪お友達がやってきましたよ~(笑)
>ひろちゃん
WOWOWでやったことありましたか。
公開当時は岩波ホールで大盛況だったみたいです。
一般的には、メリハリのある映画が好きなんですが、これは、いいなと思いました。
やっぱり、俳優の「年季」というものは、あるんだなあと実感します。
私なんて、ただ年とるだけなのに。。。あはは。
ギッシュさんは、サイレント映画でも可憐なスターで人気があったようですよ。
リンドバーグは、1年だけ再結成して、ライブも私は観ました! おととしあたりか…
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