「パッション」(1回目) - 2013.10.10 Thu
デ・パルマ監督初期の頃の作風が、とくに終盤に炸裂するサスペンス・スリラー。

お得意のスローモーションや回転撮影はなかったけど、分割画面に始まって、殺人、真犯人の謎、罠?、立場の逆転、らせん階段、殺人、背後にしのびよる影、刑事、夢? たたみかけてくる。
デ・パルマだなあ。
最後は、いろんな解釈の余地がありそうで楽しい。
直近では2002年作品の「ファム・ファタール」に近いテイストといえるだろうか、デ・パルマには、こういうのを作りつづけてほしい。
今回はちょっと淡白(年のせいか?)なのもあって佳作の部類かなと思うけど、作るうちに、あれ? これ、傑作じゃね?というのが生まれるかもしれないからさ。
(今回の分割画面ったら、いまいち必然性が…? と思ったけど、ドビュッシーの「牧神の午後」って、セクシュアルなイメージがあるらしく、ふたりの関係に少しはダブるか?)

好きでない人には、なんだ、これ?
好きな人には、にやにや、にこにこできる、大好物なデ・パルマ味。
リュディヴィーヌ・サニエ、クリスティン・スコット・トーマス主演で、アラン・コルノー監督の遺作となった「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」(2010年、劇場未公開)のリメイクだという。
このオリジナルは見ていないので、今回どの程度アレンジされているのか分からないが、かなり、デ・パルマ監督向きの素材だったのであろうことは想像に難くない。

ノオミ・ラパスさんとレイチェル・マクアダムスさん。
上司に屈辱を味わわされて復讐する女性、という話と知って、ノオミのほうが年上で上司っぽいイメージなので、てっきりレイチェルのほうが復讐するんだと思ってたら、あれ、反対か。
と思ったら、やっぱり、そうか。と思ったら、逆だったか!(笑)
レイチェル、可愛いはずなのに、憎たらしい上司役のせいか、あんまり可愛く見えない。もしや、演技力のせいなのか!? だとすれば、すごいぞ!
ちゃんとヌードになってくれたら、もっとよかったのにな~。

ふたりが担当している仕事が、スマホの広告。Panasonicの名前が出ていたけど、現実には、ちょうどPanasonicはスマホ事業から撤退したところらしいですね…。
レイチェルが上司、ノオミが部下、ノオミの部下にカロリーネ・ヘルフルト、レイチェルとノオミの間でフラフラしている男(笑)にポール・アンダーソン。
映画に出てくるのは、この4人の関係がほとんどで、分かりやすい。

音楽が、ピノ・ドナッジオというのも、うれしい! なにしろ、デ・パルマ作品では、「キャリー」(1976年)、「殺しのドレス」(1980年)、「ミッドナイト・クロス」(1981年)、「ボディ・ダブル」(1984年)などを担当していて、デ・パルマとくればドナッジオなんだから!
IMDbでは5.4点、Rotten Tomatoesでは5.6点という低評価だが、かつての、あのときの、あの、デ・パルマ好きなら問題ない!
日曜の夕方、みゆき座の184席、50~60席ほどは埋まっていたような…。

地下駐車場で、クルマのドアが開かなかったり、バッコンバッコンぶつけてたのって、レイチェルが何か仕掛けたんじゃなくて、単なるノオミのストレスのせい…なんですよね? そう考えたら、なんか苦笑してしまうんですが。
そういうとこも含めて、デ・パルマは、いいんです。
好きだから、そう思えちゃうんだろうね。
もう1回、観ようかなー。連休は行けないけど、次の週末19、20日まで、上映してるかな?
(10月6日 TOHOシネマズ みゆき座)

PASSION
2012年 フランス・ドイツ作品
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 ノオミ・ラパス、レイチェル・マクアダムス、カロリーネ・ヘルフルト、ポール・アンダーソン、ライナー・ボック
参考:パッション@ぴあ映画生活
好き度☆☆☆★(3.5点。満点は5点)
(c) 2010 SBS FILMS - FRANCE 2 CINEMA - DIVALI FILMS
● COMMENT ●
興味はあるのですが...(笑)
>又左衛門さん
う~ん、私はレイチェルは好きですよ~。
この映画のときの画像だと、いまいちなのもありますけれど。
「ファム・ファタール」は好きです。レベッカ・ローミンさん、めちゃめちゃ色気があったですし。
デ・パルマはヒッチコックうんぬんといわれますが、デ・パルマはデ・パルマでしかないと思っているので、これもデ・パルマらしいといえば、まさにそうなので、OKです。
ノオミさんじゃなくて、ほかの女優でやってほしかったというのは、じつは本音ですけども!
こんにちは!
今回もしかして初の悪女ですかねえ?
それでも可愛らしかったですね~
ノオミさんはこれ「サイド・エフェクト」でのルーニー・マーラさんと似たような感じなので、むしろルーニさんでよかったような気も。
>makiさん
キャストを知ったときは、ノオミさんのほうが意地悪な上役としか思いませんでしたが(笑)。レイチェルさんの悪女も楽しいです。
ルーニーさん、そういうふうだったんですか。「her/世界でひとつの彼女」で見たばかりですが彼女も活躍していますね~。
こんにちわ
オリジナルのレビューも先ほど拝読しました。
やっぱり【パッション】のあのラストはデ・パルマのオリジナルだったんですね。そう思った!
犯人が最初から分かってる割にはドキドキ出来ました^^
ボーさんと同じく、当時のデ・パルマ監督作品の魅力に堕ちたワタシですので本作も勿論好きです。
レイチェルは脱ぐのNGの女優さんですね。(残念(笑))
日本でいうと清純派アイドルみたいな感じかな。
実は女が好きだった。。。というアシスタント役の女優さんがヨカッタと思います。(*'ω'*)
>mia☆miaさん
おー、オリジナルのほうまで読んでいただいて、ありがとうございます。
ラストのほうは、デ・パルマ風味が濃厚でしたよね。
昔のデ・パルマ好きだというのは、うれしいですねえ。
レイチェルさん、脱いだらいいのにね~。もっと好きになるのに(笑)
アシスタントの子もよかったです。ヘルフルト…ドイツの方ですね。
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ヒッチコックなら絶対使わないタイプですよ。「ファム・ファタール」より酷いんじゃないかな?
もっと他にいなかったのか?
ノオミ・ラパスも「ミレニアム(ドラゴン・タトゥーの女)」以降、随分頻繁に出てますが、正直言って影が薄い。例外的に「ミレニアム」が嵌ったのであって、他は誰でもできる役。