fc2ブログ
topimage

2023-05

「かぐや姫の物語」 - 2013.12.15 Sun

月から来た娘は、自分らしく生きることを許されなかった。

人間らしい生き方って、なんだろう。
他者との関係、社会との関わりのなかで、人は思うがままに生きられるのか。

生まれ、

桜の花を目の前にした喜びから、あることによって気分が一転、落ち込んでしまうシーンに代表される、かぐやの表情の豊かさ。喜び、悲しみ、あきらめ。
こんなにも、その感情の動きを生き生きと、私の脳裏に刻みつけていった、かぐや。

物語にぴったり合った、絵のタッチが生きている。
絵の表現力、想像力のすごさは、とくに「夢」のような、ふたつのシーンで印象づけられる。

かぐやは野山を駆け巡り自然と親しみ、近所の年上の男の子をほのかに想う、活発な女の子になった。
しかし父は、彼女を京の都で貴族の娘のように育てようとする。それは娘のための豪華な衣装や大金を、天から授かったためでもある。
天の意思が「姫にお金をかけて立派に育てよ」ということだと受け取っても、おかしくはない。

だが、かぐやは都での高貴な暮らしは好きではない。
求婚に来た5人の男にも無理難題を押しつけて追い払ってしまう。
…自分が願ったようには生きられない。

育ち、

さて、ここで考える。
平安の昔とは限らず、自分が願ったように生きられた娘は、どれほどいたのだろうかと。
どういう身分の家に生まれるかは選べない。生まれたからには、その家の制約に縛られる。
政略結婚の道具になる、一生農民で終わる、などなど。
不自由だっただろうな。かぐやのように反発した娘もいたに違いない。

月からの迎えの一行を見ると、典雅な音楽をかきならし、いかにも穏やかで、なんだか仏教の神様っぽい…。
月の人たちは、かぐやが地上に生きるなら、やはり、優美な暮らしをさせることを望んだだろうなあ、と思えるのだ。本人の希望とは関係なく。

ここに残りたいと強く思っても、地球での記憶を消されてしまう、かぐや。まるでマインドコントロール。
でも、かぐやのことは地上の人々は忘れない。
せいいっぱい、この地で生きた、あなたのことを、私たちは忘れないよ。

(12月7日 イオンシネマ 大井)

そして、

2013年作品
監督 高畑勲
声の出演 朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子

参考:かぐや姫の物語@ぴあ映画生活

好き度☆☆☆☆(4点。満点は5点)


(c) 2013 畑事務所・GNDHDDTK

ブログパーツ

● COMMENT ●

こんばんは

ボーさんもこの作品を気に入られたと聞いて、なんだか嬉しいです。

そろそろ、今年のベストを選出する時節になりましたよね。
アニメ作品ばかりをベストに入れてしまうのは本来、あまり好きではないんですけれど…
今年は、ベストに入ってしまいそうなアニメ作品が多々あり、嬉しいような困ったような気持ちです…。

>とらねこさん

こんにちは!
はい、「風立ちぬ」もそうでしたが、予告編、何分もあって、音楽だけ流して。よかったんです。
「あまちゃん」の宮本信子さんが声の出演なのにも引かれました。

私はアニメ映画はそれほど観ていないので…これはマイベスト10に入るか、どうでしょうか、お楽しみ!?

ハイリスクな女 かぐや姫

かぐや姫・・・見てませんでしたが、中学のころ「蓬莱の珠の枝」という、かぐや姫の一節部分が国語の時間であったのを覚えてます。

しかも古文の読み仮名になってましたので 勉強がダメな自分にはまったく読みこなせませんでした・・・

ただ かぐや姫を嫁にするには 「ハイリスク・ハイリターン」の試練がつきものだってことはわかります。

まさにオーシャンズ・シリーズ (11、12、13)みたいに でかい報酬にはでかい危険を乗り越えないといけない・・・そんな解釈ですが 間違った解釈でしょうか・・・ちなみに ボーさんは 学生のころ 国語、古文は得意でしたでしょうか?

最後に かぐや姫の育ての親であり翁役の声の地井武男さん 亡くなったのは残念です。 生きてる間に映画公開されてたら 感無量だったでしょうにね。 ご冥福をお祈りします。

>zebraさん

蓬莱の~といえば、そういう宝物を持ってくれば結婚しちゃる、という無理難題を吹っかけた、かぐや姫。
結婚回避の方法なのかなとも思えますね。
いい女を得るには大変な試練が要る、というのもありでしょう。
古文はよく分からなかったです。漢文も同じく。

声の録音を先に済ませてからアニメを描いたらしいので、地井さんが録音したのは、わりと以前のことなのかもしれません。
この翁のせいで、かぐやは、なりたくもない「貴族」にさせられた、というのはありますけどねえ…。

私はこの作品ダメでした…。童話のかぐや姫が思いの他好きだったみたいで、なんか生臭くて受け付けなかったんです。
原作の「竹取物語」では、自分が月に帰る身だとわかっていたので、無責任に結婚なんてできないと無理難題を言って断ろうとしてました。お爺さんも映画ほど姫の気持ちに鈍感じゃなくて、すごく嫌がってるのは理解してるけど理由を教えてくれないから、じゃあもっといい相手をと頑張ってる感じで。
映画のお爺さんを見ていたら、大っ嫌いな”(ロミオと)ジュリエットの父親”を思い出してしまいました…。

>宵乃さん

先にあるイメージと違ったりすると、だめだったりしますよね。

こちらの翁は、娘の気持ちを考えていないです。自分が、いい身分をゲットして喜んで(人からどう見られているかは置いといて)、娘だって上流の暮らしをしたいだろうと思いこんでいる。そういう人、いるのかなあ、いるんだなあと考えちゃいますね。

ボーさん、こんにちは!

これは1年半も前の作品だったんですね(^^;
ボーさんの評価は良さそうですね。

かぐや姫は自分が願ったようには生きられなかったけど、
最後に「喜びも悲しみも彩に満ちていた」と言ってましたよ。
ボーさんが書いている、生き生きとした感情の動きこそが
生きる事の醍醐味だと言いたいのかなと思いました。
かぐや姫もずっと地球での記憶を持ち続けているかも・・・

>YANさん

こんにちは!
ありがとうございます。
公開から1年半も経ちましたか…。
これは年間マイベスト6位でした。
生き生きと生きる、いいですよねえ。そうありたいのですけど。
絵も素晴らしかったし、また、いつか見てみたいなと思います。


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://bojingles.blog3.fc2.com/tb.php/2630-c9dda724
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

高畑勲監督『かぐや姫の物語』"人の情けをはぐくみて、まつとしきかば今かへりこむ"

※注・内容、ラストに触れています。高畑勲監督による誰もが知る(しかし本当のお話を知らない)「竹取物語」を題材とした9年ぶりの長編アニメ『かぐや姫の物語』美術監督に男鹿和雄、人物造形/作画設計・田辺修、

かぐや姫の物語

切なくて悲しくて美しい!  

かぐや姫の物語

 『かぐや姫の物語』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。 (1)高畑勲監督が、製作期間8年、総製作費50億円を費やして作ったアニメだということで、映画館に行ってきました。  本作は、原作の『竹取物語』にかなり忠実に従いながらも(登場人物を若干増やしていますが)、な...

『かぐや姫の物語』 高畑勲の「罪と罰」とは?

 【ネタバレ注意】  2013年、高畑勲監督は実に14年ぶりとなる新作映画を発表した。  『かぐや姫の物語』は、まさに高畑アニメの集大成ともいうべき大傑作だ。これまで世界中を泣かせ、喜ばせ、感動させてきた高畑勲作品のあらゆる要素がここに結実している。  72歳で長編アニメからの引退を宣言した宮崎駿監督よりも、さらに年上で78歳になる高畑監督が発表したこの長編は、心して観たい作品であ...

かぐや姫の物語/朝倉あき

スタジオジブリの巨匠・高畑勲監督が14年ぶりに手がけた劇場アニメーション映画最新作は「竹取物語」を題材にかぐや姫の運命を水彩画のような繊細なタッチで描き上げた物語です。 ...

いのちの記憶~『かぐや姫の物語』

 光る竹の中から、小さな女の子を見つけた竹取の翁(地井武男)は、家に連 れ帰り竹取の媼(宮本信子)とともにその子を育てる。たけのこのように急成長 した少女は、都に移り住み 「かぐや」 という名の美しい姫となった。  高畑勲監督、14年ぶりの作品。正直、この日本を代表する映画監督に対し、 宮崎駿ほどの思い入れはない。作品の全てを観ているわけでもないし、本作 の公開を知った時も...

『かぐや姫の物語』

生きているという手応えさえあれば、幸せだった。 日本最古の物語「竹取物語」を大胆に新解釈することもなく、ただかぐや姫の心情を中心に描くことで見事に大人の、そして家族の ...

かぐや姫の物語 ★★★★

数々の傑作を生み出してきたスタジオジブリの巨匠、高畑勲監督が手掛けた劇場アニメ。日本で最も古い物語といわれる「竹取物語」を題材に、かぐや姫はどうして地球に生まれやがて月へ帰っていったのか、知られざるかぐや姫の心情と謎めいた運命の物語を水彩画のようなタッ...

『かぐや姫の物語』

□作品オフィシャルサイト 「かぐや姫の物語」□監督・原案 高畑 勲 □脚本 高畑勲、坂口理子 □キャスト(声) 朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、          田畑智子、立川志の輔、上川隆也、伊集院 光、宇崎竜童、          ...

「かぐや姫の物語」かぐや姫が望んだものに気づいた先にみたお金では手にできない本当に望んだ身近な幸せ

「かぐや姫の物語」は高畑勲監督の最新作で原作「竹取物語」を忠実に描いた作品で、私たちが良く知る竹取物語のかくや姫の視点から観たストーリーである。ありふれた実に有名な作 ...

かぐや姫の物語・・・・・評価額1800+円

かぐや姫が、本当に欲しかったもの。 巨匠・高畑勲が78歳にして挑んだのは、日本における物語の祖にして最初のSFファンタジー、「竹取物語」の初の長編アニメーション映画化である。 137分の上映時間は、比類するものの無い至高の映画体験。 天土火水、森羅万象の中の生命への慈愛が、スクリーンから溢れ出る。 ここにあるのは作家の小宇宙に再構築された、この美しき世界そのものだ。 作品の志向...

かぐや姫の物語

■「かぐや姫の物語」(2013年・日本) 監督=高畑勲 声の出演=朝倉あき 高良健吾 地井武男 宮本信子  日本最古の物語とされる「竹取物語」は、これまで数々の映像化がなされてきた。僕らは幼い頃からそれを幾度も目にしてきた。小学校高学年の頃には、竹取物...

高畑勲を語りたい 高畑勲 『かぐや姫の物語』

今日からまた一週間姪っ子をあずかることになりました。かわいいんですけど初日から体

映画 かぐや姫の物語

JUGEMテーマ:映画館で観た映画    ◆スタジオジブリ作品    「かぐや姫の物語」を姫の罪と罰に焦点を当てた作品と言うことで    昔読んだ絵本と違う印象を持ったので見に行ってきました。    映画観はお子様が大勢いて、映画中に話し出すは ...

今までにない画で見せるかぐや姫

2日のことですが、 映画「かぐや姫の物語」を鑑賞しました。 またまた、ジブリの新作で 今回は久々 高畑勲監督作 まずは その画の新鮮さ、美しさ まるで水墨画のような この表現だけで見る価値はあるし、画期的といえるかと またそれが効果的に使われていて 物語は題...

かぐや姫の物語

【概略】 竹の中から生まれ、すぐに成長して美しい娘に育ち、求婚者たちを次々と振ったあげく、満月の夜、迎えにきた使者とともに月へと去ってしまう――かぐや姫はいったい何のために地球にやってきて、なぜ月へ帰ることになったのか。この地で何を思い生きていたのか。かぐや姫の罪とは、その罰とはいったい何だったのか。 アニメーション 生きているという手応えさえあれば、幸せだった。 繊細で...

かぐや姫の物語

2013年 日本 137分 ドラマ/ファンタジー 劇場公開(2013/11/23) 監督: 高畑勲 制作: スタジオジブリ 企画: 鈴木敏夫 原案: 高畑勲 脚本: 高畑勲 音楽: 久石譲 主題歌: 二階堂和美「いのちの記憶」 声の出演: 朝倉あき:かぐや姫 高良健吾:捨丸 地井...

映画評「かぐや姫の物語」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2013年日本映画 監督・高畑勲 ネタバレあり

かぐや姫の物語

かぐや姫の内面に焦点を当てていたので、 感情がストレートに伝わってきました。 監督:高畑勲 製作:2013年 日本 声の出演:*朝倉あき *高良健吾 *地井武男 *宮本信子 *高畑淳子 *橋爪功 姫の犯した罪と罰。 絵のタッチが和風で独特! 毛筆で力強くしなやかに描かれています。 機械では決して出ない手描きの味わいは、 古典の物語と世界観が合っていますね(^...

「ルビー・スパークス」 «  | BLOG TOP |  » 「恋のマノン」

おなじみの映画ブロガーさんの多いgooブログもTBを廃止。多くのブログがTB廃止の事態になってきた。こうなると、TBから記事をたどることができないブログが多くなる。ブログのURLをお気に入りなどに登録して、何を書いているのかなと、いつも見回りに行くしかない。

マリリン応援+映画雑文などのブログ。
下のほうにアクセスランキング、ツイッターがあります。



このブログのトラックバック・ポリシー (2009年1月10日、修正)

過去の記事の一部には「ブログランキング参加中~」という文面がありますが、現在はブログランキングから離脱しています。該当するすべての文章を削除することは大変なので、そのままにしてあります。

映画感想の「好き度」について。
☆☆☆☆☆(5)…GREAT!文句なし!
☆☆☆☆(4)…FINE!かなり、いいぞ!
☆☆☆(3)…GOOD.観て損はないかな。
☆☆(2)…NOT SO GOOD.ちょっとなあ…。
☆(1)…BAD!いいかげんにせい!
という感じ。★を0.5点とします。星5つは、ほとんどつけませんから、4.5点なら最高と言えます。 自分にとって面白いかどうかが重要で、世間の評判や、意義がある映画である等々は重要視しません。
好きだなあと思ったら3.5点に星が到達。


クリックで救える命がある。

小鳥頭
忘れっぽい人の同盟。
クリックしたら説明があるかもしれない
(忘れた)。


プロフィール

ボー・BJ・ジングルズ

  • Author:ボー・BJ・ジングルズ
  • HP「シネマ停留所」の管理人でもある。♂。単純に映画が好き。綺麗な女優が好き。マリリン・モンローさんは、わが永遠のミューズ。

ブログ内検索

最近の記事

最近のコメント

最新トラックバック

カテゴリー

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング(30日分累計)

Twitter

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード