「濡れた二人」 - 2015.08.21 Fri
「若尾文子映画祭 青春」(HPは動画が流れるので音量注意)にて。
本特集60本の映画のうち、私は結局10本観た。そのラスト。
(好評なのか、冬にも再び特集をやるそうです。その件ではないが、ツイッターで角川シネマ新宿に質問を送ったけど、当然のごとく返信はなし。こういうのに返事をくれたら、すごく好感度が上がるのに、そういうことを考える頭はないんだね。)

この作品、むか~し見たことがあるけど、まるっきり記憶がない。(それで見た意味があるのかとも思うが、その時点での情感形成=成長には役だっていたと信じたい。)
夫との関係がうまくいかないまま、ひとりで旅に出た妻。旅先の港で漁師の若い男に惚れられて…。
若い男が北大路欣也。色が黒くて、ギラギラしてる。
とても、犬のおとうさんと同一人物とは思えません。大河ドラマで「そうせい」とおっしゃる殿様と同一人物とは思えません。ギンラギンラ、若さ、ほとばしっています! 筋肉ムキムキ黒ギラ青年です。
欣也のことが好きな地元の女の子(渚まゆみ)がいて、欣也が、あやや(若尾文子)にアタックすると、やきもち。
欣也と一緒に働く男(平泉征)が、その女の子を好きなもんだから、もう三角関係ならぬ、四角関係。
むりやり肉体関係を迫ったり、かなりハードなシーンも。
あややもヌードシーンがあるが、ハダカは代役が普通だったようなので、顔が出ていないカットは本人ではない可能性が大。そう思うと、ありがたみが減るが。

あややが夫とともに家に帰ろうとしてバス停にいると、欣也が「俺を捨てて帰っちゃうのかよ!」とばかり、彼女のまわりをバイクでぐるんぐるん回りまくる。
何度も何度も。しつこいです! 見ていて、いつまでやるかとあきれるくらいに、バイク小回り連続世界記録挑戦かとばかりに回っております!
欣也、以前にも感情のほとばしりをどうにもできずに、バイクのクラクションを鳴らし放題に鳴らしていたこともあり、やりすぎ感満杯の増村保造演出の押しの強さ。若さって青臭いの。うおー!
この情念ですよ。若気の至りかもしれない。ほとばしる○○。
そして、男を待つ部屋で。待ちくたびれた末に、庭にいるのかいないのかわからない男を挑発して、彼女が取る行動!
すごいです。雨の中。女の情念。
年上女と若者、男は、ひよっ子にすぎませんね。
「妻は告白する」のところでも書いたが、増村監督のテーマが「日本的環境から自立しようとする女」ならば、なるほど、と思う。夫婦生活は妥協しても続けるか。幸せってなんだろうか。生きたいように生きることが許されないならば。…とかね。
(8月9日 角川シネマ新宿)
1968年作品
監督 増村保造
出演 若尾文子、北大路欣也、渚まゆみ、平泉征、高橋悦史
好き度☆☆☆☆(4点。満点は5点)

(c) KADOKAWA
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