「小泉今日子書評集」 小泉今日子 - 2015.11.17 Tue
しかし、受けて立つ(?)、その中身は負けてはいない。
「書評」というと、偉そうに批評するイメージがあるが、小泉さんのものはそうではない。
読書感想文というのか、本の内容から喚起されて、まず自分が何を思うのか、自分のこと、自分の周囲のことに思いをめぐらせていくことが多い。
本の帯には自ら「読み返すとその時々の悩みや不安や関心を露呈してしまっているようで少し恥ずかしい」と書いている。
この本についてのトークショーでは、書くにあたって、自分が小泉今日子であることを利用することを多少は意識した、みたいな話もあった。
つまりは、なぜ自分が書評を書くのに選ばれたのかを考えると、評論家や教授が本を客観的に批評するようなことを期待されているのではないだろう、小泉今日子という人間がその本をどう感じるのか、それに小泉今日子という人間についても少し知りたいなあ、と読者は思っている、とわかったうえで書いていたのだろうと思うのだ。

私自身は読売新聞をとっていなかったこともあり、時々どこかで記事を目にしただけだったが、まとめて本にしてくれて、ありがたい。
10年も続いていたとは改めて驚く。10年で97本の書評。
書評それぞれに、自分自身の今現在のコメントがついているのがいい。過去に書いたことを読んでみて、何を思うのか。それがあるとないとでは、読む楽しさが大違い。
巻末インタビューも興味深かった。読書委員みんなで話し合っているんだ~、みんなで飲みに行ってたんだ~、などと初めて知った。
装丁はシンプルで綺麗。
白くて薄いカバーから、表紙に印刷されている本のイラストが透けて見える。(これはトークショーで、小泉さんがうれしそうに言っていました。)
取り上げたほとんどが日本の作家の本。いくつかは、これから自分も読んでみたい、かもしれない。
(11月5日読了)
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