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「無防備都市」 - 2016.01.31 Sun

イタリア・ネオリアリズムの映画として有名な一作。

女優のイングリッド・バーグマンさんが本作を見たことから、監督のロベルト・ロッセリーニとの関係が始まった、という話をよく聞いていたので、一度は見てみたいものだと思っていた。
今回、「忘却エンドロール」さまの「一緒にイタリア・ネオリアリズム作品を観ませんか?」という企画があり、こういう機会でもないと、なかなか見ないだろうし、と乗ってみました。1月いっぱいの企画なので、ぎりぎり。


名シーン
映画紹介などでよく見る有名なシーン。ん? 「刑事」にも似たようなシーンが?

まず、びっくりしたのが、イタリアがドイツに占領されてた!? 
初めて知った。同盟国だったのに?
イタリアが連合国に降伏したあとで、そういうことになったのだなと。すでにドイツ軍はイタリア国内に入ってきていたわけだ。
第2次世界大戦でのイタリアのことは、敗戦国側である、としか知らなかった。

ドイツ軍へのレジスタンスを描いた映画だが、厳しい話ばかりではなく、神父さんがヌードの石膏像を見て目のやり場に困って像を動かしたり、ドイツ軍をあざむくために死者を演じさせるのにフライパンで頭をたたいた、などのユーモアも見られる
家族やご近所で、わいわいケンカみたく言い合うのは、イタリア映画ではよく見るなあと。これはイタリア人全般の傾向なんでしょうか。

はずかしい

ドイツ軍将校に、俺たちは殺しまくったのだから憎悪の的になる、絶望のなかで死ぬ、希望はない、と語らせるのは、ドイツ軍のなかにも良心的な者はいる、と言いたかったのか。
拷問されても口は割らない。
ラストでは野外での公開処刑になるが、子どもたちが見に来る。
ドイツ側としたら、見せしめのために公開するのだろうが、それを見た子どもたちがどう思うか。それは子どもたちにかかっているし、少なくとも本作では、そのまま負けてはいないよね、という空気は感じる。

さまざまな戦争・反戦映画を見てきている慣れもあるし、いまの時代になって見るのでは実感が薄いけれども、終戦直後で、いち早く、こうした映画の表現で非常時である当時のローマを描いたことは、やはり価値があり、だからこそ人々に受け入れられたのだろうと思う。

(1月30日)

ラスト

ROMA, CITTA APERTA
1945年 イタリア作品
監督 ロベルト・ロッセリーニ
出演 アルド・ファブリッツィ、アンナ・マニャーニ、マルチェロ・パリエーロ、マリア・ミーキ、ジョヴァンナ・ガレッティ

好き度☆☆☆★(3.5点。満点は5点)


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● COMMENT ●

こんにちは

>少なくとも本作では、そのまま負けてはいないよね、という空気は感じる。

重たい作品みたいですが、ユーモアもあるようだし多少は希望が持てる感じになってるのでしょうか?
有名な作品だし、観る機会があれば観たいような、でも重そうで観たくないような…。みなさんの感想を読むたびに揺れてます(汗)

過去の戦争のこと、知ってると思ってても知らなかったり、勘違いしてることがあって驚かされますよね。その時代を生きた人にしかわからないこともあるけど、映画で学べることもたくさんあるから映画鑑賞はやめられません。

今回はご参加&企画の紹介ありがとうございました♪

昔々、早稲田のアクトにて

こんばんは、
見たことあります。若かりし頃に。分かった風な顔してアクトミニシアターの座イスでお尻を痛くしながら。今みたら、あの頃よりは感じるものがありそうです。イタリアは降伏後、ドイツに結構やられたみたいですね。「コレリ大尉のマンドリン」もそんなお話でした。

>宵乃さん

こんばんは!
んー、負けてないよね、というのは、勝手な希望的観測かもしれないですね。
子どもたちは、ただ歩いて帰るだけですもん。
重いのは、しょうがありません、あの場所、あの時代ですから…。
ユーモアのあるシーンは、私が挙げたところぐらいしかなかったような?
映画で知ることは多いです。ありがたやありがたや…です!笑&謝

こんばんは!
おお! ミニシアターですか!
見直すと、また何かを新しく感じる可能性はある作品だとは思いました。
「コレリ」は見ていないです~。降伏しちゃったら、味方じゃないわけですからね。戦争での敵味方って、簡単に変わるものですね…。

ユーモアシーンはけっこうあったりします。最初に神父さんが登場するシーンで子供たちのサッカーに振り回されたり、相方と「今日もキャベツか」なんていったり、レジスタンスに渡す現金の入ったカバンを、何も知らないピーナに「わたしが持ちましょう」といわれて持っていかれてしまって焦るシーンなど、けっこうにやにやしました。ハラハラもしましたが……。

無防備都市についてはあちらこちらと書きまくったので話すネタが尽きてしまってちょっと書くのを遠慮しておりました(^^;)

>ポール・ブリッツさん

ああ、なるほど!
ユーモラスといえるシーンですよね。
しかし、カバンの件はあんまり覚えていませんでした! なにを見ているのか、自分! 喝だ!

お題を提案していただいたのですよね。おかげさまで1本だけですが見ました。ありがとうございます。

こんにちは。

私も序盤のナレーションであれ?と思って第2次世界大戦の勉強をしてしまいましたよ。困ったものです。←私

神父のユーモラスなところは私も好きで、ほっとさせてくれましたが、おかげで逆にラストがもう涙です。
見に来ていた次期レジスタンスな子供たちが、どう思うのかは計り知れませんが、生きていってほしい。死よりも難しい人生ですが。

本当に、この時代に記録ともいうべきこの作品を作ったことは、当時の観客に多大な影響を与えたことでしょうね。

トラックバックありがとうございました。
こちらからも、させて頂きました。

>白くじらさん

こんばんは。
ですよねー。イタリア、そんなことになってたんだ!?てなもんです。
処刑されちゃう映画は、けっこう見ているので、耐性(?)はあるので大丈夫なのですが、こういう映画を当時、戦争直後に見たならば、胸にひびくものは、もっと大きかったことでしょう。
でも、今であっても、見た経験はしっかりと残りますね。


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という感じ。★を0.5点とします。星5つは、ほとんどつけませんから、4.5点なら最高と言えます。 自分にとって面白いかどうかが重要で、世間の評判や、意義がある映画である等々は重要視しません。
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  • HP「シネマ停留所」の管理人でもある。♂。単純に映画が好き。綺麗な女優が好き。マリリン・モンローさんは、わが永遠のミューズ。

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