「狙撃者」 - 2016.07.09 Sat
お話が始まる前に、断り書きが出る。
性犯罪は警察にとって頭の痛い問題であり、昨年の被害者は31175名にのぼる。じゅうぶんな法律はなく、法執行の望みもない。これは女性を敵視する男の話である…云々(うんぬん)。
ふとしたことで女性に嫌悪感を抱く男が、自分では止められずに彼女たちを射殺していく物語なので、性犯罪とは簡単には結びつかないけれど、警察では、案外あっさりと、性犯罪者がどうだこうだという話になってくる。
そこで思い至るのが、ヘイズ・コードだ。アメリカ映画界にかつて存在した検閲制度。
女性嫌悪による殺人が性犯罪といえるのかよくわからないが、あいまいになっているせいで、はじめに断り書きをつけたのかもしれない。

監督のエドワード・ドミトリクは、「赤狩り」への協力を拒否して服役し、出所後に協力者に転向している。
本作が監督復帰作と聞くと、映画のラストで犯人が涙を流している場面は、監督自身のつらさや悲しみが投影されているのかとも見えてしまう。
後ろのほうの意外な場所から狙撃者が発見されるシーンは、非常に印象に残る。
(7月6日)
THE SNIPER
1952年 アメリカ作品
監督 エドワード・ドミトリク
出演 アーサー・フランツ、アドルフ・マンジュー、マリー・ウィンザー
好き度☆☆☆(3点。満点は5点)
(c) Columbia Pictures Corporation
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