「シン・ゴジラ」 - 2016.08.01 Mon
未曽有の災害への政府の対応の様子が、こと細かに示される。
それぞれの方面の担当者が大勢いて、みな必死に役割を果たそうとする。
新しい登場人物がどんどん矢継ぎ早に発言していくので、目まぐるしい。
ついていくのが大変だけど、おもしろい。
どんな俳優が、どこで出てくるのかを見ているのも楽しい。

以下、ネタばれ。
ゴジラが初上陸したときの形態がユニーク。
はって進む生物を目にしたときは、これはゴジラじゃないと思った。
「GODZILLA ゴジラ」と同じで、ゴジラと見せかけておいて…別の生物登場なのか!?と思いましたよ。
目玉も作り物っぽくて、わざと? これ、わざとなの? と聞きたいぐらい。
「ウルトラマン」シリーズなんかの、着ぐるみ怪獣みたいなチャチさを狙ったの? とも思ったが、子どもだから形態が出来上がっていない、ということなのかも? などと、いろいろ考えた。
でも、こいつが川を進み、破壊しながら遡上していく様は、けっこう恐ろしい。実際に出会ったら恐怖。

2度目の上陸では、進路を東京に変える。
なんで、また、こっち来るんだよ!と登場人物の誰かが言ってたが、ほかにも何万人も叫んだことでしょう。
特徴的なのが、ゴジラは強烈な攻撃を受けない限り、自分からは攻撃しないこと。それも、意思をもった攻撃というよりも、防衛本能のような反射的な光線放射など、なのだ。
もちろん、街の中を進む場合はビルなどを壊していくから被害は出る。
相容れないものを、勝手に排除しようとするのは、人間のほう。
吠えることも少なく、自衛隊の攻撃をまともに受けて悠然としているのが、いかにも強くて、いい。

これはどうなの?と思ったのは、ゴジラへの最終攻撃方法。
凝固剤を注入する作戦なのだが、ポンプ車みたいなので、ゴジラの口から入れるのだ。
まず、ゴジラに無人機を攻撃させてパワーを使い切らせてから、横倒しにする。
方法としては、ビルを崩してゴジラにダメージを与えたり、無人列車を爆弾にしてぶつけたりして倒したのだが、それで絶対倒れるとは限らないし。
パワーを使わせたとはいえ、口から注入しているときに、もしもゴジラが起き出したら、おしまいだし。
神頼み。
不確定要素が大きい。
放射線の乱舞で、司令部がやられる可能性も大いにあった。
もうちょっと確実なやり方は、なかったのか。
凝固剤は飲ませる以外に方法がなかった(ミサイルなどにして撃ち込んでも硬い皮膚に歯が立たないのは実証済み)のだとしても、すごく危うい作戦だと思う。
ここで「ちょっとなー」と思ったので、好き度の星4つには行かないのであった。

「何たそがれてんのよ?」「ちょっとなー」
でも、多国籍軍による核使用が避けられたのは、よかった。
核を使っても、もしかしたらゴジラは元気になるだけかもしれないし。それとも、(核)分裂するかのように何かの形で世界中に子孫が広がったりして。そしたら、日本はおろか、世界も終わりだったかも。
音楽が、オリジナルを使うのはいいけど、音質まで昔のままのようなのは、どうかと思う。
それは、リスペクトでもない気がするが。
オブジェのように固まって立ち尽くすゴジラの遠景に、福島の原発を思う。
下手をすれば、また災厄をもたらすかも? そこに、まだ、あるのだから。
永久に凝固を維持しつづけるだけか、これ?
もう1回、観てみようかな。
(7月30日 イオンシネマ 大井)

2016年作品
脚本・総監督 庵野秀明
監督・特技監督 樋口真嗣
准監督・特技統括 尾上克郎
出演 長谷川博己、石原さとみ、市川実日子、松尾諭、平泉成
参考:シン・ゴジラ|映画情報のぴあ映画生活
好き度☆☆☆★(3.5点。満点は5点)
(c) 2016 TOHO CO.,LTD.
● COMMENT ●
こんにちは。
こんばんは
私も福島の原発を思わせるように思いました。
ゴジラ映画ですけど、何か大きなことがあった時のシミューレーション的な感じで興味深く観られました。
>白くじらさん
不明のものが現れて、官僚大騒ぎ、みたいなふうに始まります。
ポリティカルドラマな序盤。
動きは、ゆっくりこん、だった気がします。
>yukarinさん
もともとが、放射能怪獣ですからね…原発事故が起きたあとの現在では、どうしても結びつきます。
災害時の対策シミュレーションを見るようでもありましたね。
ふと思ったんですが、ゴジラはもっとも電力を使用する所にフラフラ来てるのかもしれない。その電力を作る原発はちょっと人里離れた場所に作られるのにも関わらず。だから、電力と一緒にリスクも動いたらどうなるかというシミュレーションがなされているのかもしれない。
経口投与は私もそれで本当、血液を凝固できるのかという不安で嘘くさく感じたんですが、第一群が跳ね飛ばされて、クローズアップされないながらね死傷者は出してるでしょうから、第三陣とかの用意もひょっとするとあったかもしれない。映画時間との兼ね合いでヤシオリ作戦そのものがかなり速足だったのはちょっとだけ残念です(ただそれがスピード感を与えてたかもしれないから結果オーライなんですが)。
やっつけ方
最後のやっつけ方は本当に危うかったですよね。
他のヒーローもので世界の危機を救う戦いを見るよりヒヤヒヤしました。
一度火を噴いたので、かなりの犠牲もあったことでしょう。
>ふじき78さん
にぎやかそうなのに気を引かれて行くのだとか、じつは人間が好きなんじゃないかとか(笑)…
ヤシオリってなんなのか、聞き逃したのかもしれませんが、説明していなかった気がするので、私はそれがちょっと残念。「菓子折り」か!と、一瞬思いましたもん。
凝固もそうですが、倒せるのかよ!というほうが疑問でした。
>ノルウェーまだ~むさん
確実じゃないですよね。ま、確実な方法などなかったのかもしれませんが。
怪獣って、本当にいたら、とんでもなく迷惑ですね!
>ふじき78さん
説明はしてほしかったです。「…菓子折り作戦ですか?」「いや、神話でヤマタノオロチに飲ませた酒をヤシオリの酒というんだ。そこから名付けた」とかねー。
>SGA屋伍一さん
わたしは、さとみん派です!
こんにちは
アンビリバボーな英語、さすがです
イーオンでしたっけ?(彼女のCM)
英単語のところだけ、アメリカ風になるのって難しいと思うんです
>makiさん
イーオンですね。電車内の広告ではよく見るのですが、テレビで見てないので発音は今度の映画ではじめて聞きました!
日本語の中の英語、それっぽくなっていましたね~。
こんばんは~☆
ここね、私も最初、そう思って「まじか~!?」ってがっかりしそうになりました(笑)
あっ、違うのかと分かって、逆にそのアイデアが凄いなぁとツボにはまりましたよ。
>どんな俳優が、どこで出てくるのかを見ているのも楽しい。
なんか、見逃している人も居るような気がするので、二回みたいような気持ちになりましたが、いつかWOWOWでやるのを楽しみに待つ事にします(笑)
やっぱりこの映画は、なかなか面白かったですよね♪
>kiriyさん
「GODZILLA ゴジラ」を意識したのかどうかわかりませんが、初登場がアレとは意表をつきました。
私も2回観ようかなと思いながら、いままで来てしまい…映画館で2回観るとなると、年間マイベストで高得点決定!なんですけどね。
これまでのゴジラシリーズとは確実に一線を画したもので、楽しめました!
ネットでやたら「蒲田くん」と可愛がられているので気になってましたが、確かに愛嬌があるような。
最後の作戦「ヤマタノオロチ」と分かりやすく言ってくれたら納得でしたが、観ている間はちと「??」でしたねー(笑)
ボーさん、石原さとみ出演シーンは良い匂いがする…という4Dではご覧になってないですか?
>まおさん
蒲田上陸で、その形態だからですね。私は記事に書いたように、ちゃちな着ぐるみ的に思いました。感情のなさそうな目玉とか、かえって、こわいかも。
4Dは、そんなことしていたんですか! 美女で、いい香り…。今後、へんな香りを流される俳優は誰でしょうか!?
こうしたSFは危機へのシュミレーションも兼ねていると思います。政府の政治シーンもリアルでした。科学の知識がない自分には、難しい言葉もありましたが、本当に頭のよくなる(気のする)映画だと思いました。
>隆さん
アクション重視だと製作費がないのかもしれませんが、視点の重点を変えてみて成功しましたね。
ヤシオリ作戦は危うい作戦なんだけど、やらなきゃ核攻撃が後ろに待ってる状態だから、万全じゃないけどやらざるを得なかった状態でしょうね。
>fjk78deadさん
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わりといい評価みたいでほっとしました。
CMなどを観ていると、尻尾ばっかり活発に動いていて、体がほとんど動いてないけど大丈夫なん?って思ってました。(^^;