「空中庭園」 角田光代

映画を観たあとに原作を読む。
これが逆だと、あとから観る映画が物足りなく感じられることが多い。
「空中庭園」も、観てから、読む。で攻めてみた。
婦人公論文芸賞を受賞した原作。
映画を観てから原作を読むと、どうしても映画の出演者のイメージが読んでいるうちにも頭に浮かぶが、それも良し。
隠し事のない幸せ家族を演じる、ひとりひとりの心のうちを、えぐり出す。
1章ごとに語り手が変わり、娘、夫、妻、おばあちゃん(妻の母)、夫の浮気相手、息子の順で、語られていく。
映画では、おばあちゃん、夫の浮気相手、息子については、原作ほど詳しくは描かれていなかった。
おばあちゃんや浮気相手の過去のことは、映画にする際には省いても支障はないだろう。
ただ、原作では、息子はこういうふうに考えていたんだなあ、と知ったのは面白かった。映画では、彼の考え方はよく分からない。
映画は原作とは別物として見るほうがいい点が多いが、このように、映画と原作で違っているところを知るのも楽しいものだ。
こちらの原作を読んでみると、映画のほうは、道の先に救いを、光明を示しているのが、はっきりと分かる。
映画の脚本を書いた監督でもある豊田利晃の、もしかして心のうちが見えるようなラストだったんだなあと改めて思う。
妻とその母親の関係は、怖くて悲しいところがあるが、その他は、実際にあっても全然不思議じゃないと感じた。
家族といっても、それぞれ違う人間なのだから、考えることだってバラバラなのは当たり前。
みんなが何かに迷っているけれど、それほど、ひどいものではないように思えるのだが。
(10月21日)
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字、あってまーす。
映画は絵里子がメインなので、おばあちゃんの過去には触れていないんですよ。それに映画では最初から入院してたりします。
子どもの育て方が不器用だったのでしょうが、すべてが彼女のせいだとは言いきれない気がします。
親子であっても、人と人の関係というのは、微妙だし、難しいですね。
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映画とはエンディングのテイストが違うらしいですよね。
映画の方が希望のある終わり方だとか。
私は「おばあちゃん」の章が結構おもしろかったなー。
娘の絵里子(字あってる?)の視点からだとものすごくイヤな母親っぽいのに、本人のモノローグを読むと、一生懸命生きてきた面白くてたくましくてちょっと悲しいおばあちゃんって感じでなにやらかっこよく見える。
人でも物事でも、見る角度によって色合いがまったく違ってくるのがよく分かる小説だったと思います。