「ヒトラーへの285枚の葉書」 - 2018.07.18 Wed
息子が死んだ戦争を起こした張本人に対する憤りを表現する手段。
まともに声を上げる危険を避けながら、ほかの市民にも呼びかける方法。

しかし、ほとんどの葉書が警察に届けられたという。
それは本当なのだろうかと思う。
届けたら、何か褒美(ほうび)でも出たのか? いいことがあったのか?
政府を盲目的に信じる(または、おびえる)集団心理のようなことなら、怖い。
事件の取り締まり役の警察官ダニエル・ブリュールが、もっと偉そうなナチス野郎に頭が上がらず、苦悩する。
究極の悪者は、上にいる、ひと握りの者であるのは普通のことなのかもしれない。
(7月1日)

ALONE IN BERLIN
2016年 イギリス・フランス・ドイツ作品
監督 ヴァンサン・ペレーズ
出演 ダニエル・ブリュール、ブレンダン・グリーソン、エマ・トンプソン、ミカエル・パーシュブラント、ルイス・ホフマン
好き度☆☆☆★(3.5点。満点は5点)
(c) 2016 X Filme Creative Pool GmbH / Master Movies / Alone in Berlin Ltd / Pathe Production / Buffalo Films 2016
● COMMENT ●
ヒトラーという亡霊
しかし1945年、第二次世界大戦が終結してすでに70年以上が経つというのに、毎年毎年「ヒトラーもの」というひとつの映画のジャンルができるくらいに続々と新作が作り続けられるのは何故なんでしょうか?
ナチズムとユダヤ人虐殺という世にも稀有な戦争犯罪人ですよ。あるいはドイツ人社会が産み出した「化け物」といっても言い過ぎではない。
大衆の愚かさと、大衆を手玉に取ってのし上がっていく稀代のアジテーター。
ヒトラー映画の増加という最近の傾向は、ヒトラーへのノスタルジーなのか? まさかヒトラー賛美?
たしかに現代社会の「閉塞感」はあるだろう。だからといって、ああいう「扇動者」が再び現れないとは言い切れない。
日本に置き換えると、あの田中角栄を再び懐かしむような最近の風潮に私は呆れた。日本人はすぐ過去のことを忘れる。
「帰ってきたヒトラー」を最近観始めてやめた。てっきりアメリカ人が何かの風刺的に作ったのだと思っていたら、ドイツ人が作ったドイツ語で喋るヒトラーじゃないか! あまりにもおぞましくなってきた。そして怒りが込み上げてきた。どういう意図でこれを作ったのか聞いてみたい。まさか「もう時効」とは言わないよね。
ヒトラーは本当は画家になりたかったらしい。でもその絵はとても暗い絵だった。もしも画家として成功していれば、世界は変わっていたかもしれない。
歴史に「if」はないけれど....
>又左衛門さん
強大な戦争の悲惨に結びつくイメージがあって、ジャンルといってもいいかもしれません。
賛辞なんてあってはならないし、「帰ってきた~」も、こんなことにならないように、というメッセージと思いたいです。
こんにちは
>しかし、ほとんどの葉書が警察に届けられたという。
それは本当なのだろうかと思う。
と書かれていらっしゃいますが、その下にも書かれているある種の集団心理なのだという気がします。もっというと、規律を守るという気質というか。
ちょっと日本人とドイツ人が似ている所なのかもしれない、と思いました。
>ここなつさん
ああ、ドイツ人、規律を守るイメージありますよね。
私だったら、食料が得られるとか、お金をくれるとかでなきゃ、わざわざ警察には持っていかないと思います(笑)。
枚数については、ナチと警察のでっちあげ説も疑っていますよ。
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