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2017-07

「落ちた偶像」 - 2005.12.10 Sat

落ちた偶像
落ちた偶像。この映画での偶像(アイドル、idol)とは、直接的に人気アイドルのことを指すのではない。「広辞苑」によれば、「崇拝される人や物」「憧憬の対象者」のことで、主人公フィリップにとっての偶像は、執事のベインズだ。

イギリス国内にある大使館。執事のベインズは妻と不仲が続いている。彼には、ひそかに愛し合っている女性がいた。
密会の現場を大使の子どもフィリップに見られたベインズは、彼女は姪だと言って、ごまかす。
ベインズ夫人は、夫の浮気に気づき、その現場を押さえようと画策する…。

こう書くと、単なる浮気、三角関係の話と思われるかもしれない。
しかし、終始、子どもの視線で事件を描き、子どもの世界と大人の世界との差や、お互いの関わりかたの難しさを見せ切る構成と演出は素晴らしい。
自分の偶像である、ひとりの大人に対して、「無垢」なる子どもが取る行動は?

かくれんぼ、闇に潜む女、子どもの目にさらされながらの逢引き…。ヘビ、紙ヒコーキなどの使い方…。スリルとサスペンスの出し方が巧い。

原作と脚本は、グレアム・グリーン。原作は以前、ここで書いた「二十一の短篇」に収録されている名編。
監督のキャロル・リードといえば、「第三の男」で有名だが、その「第三の男」もグレアム・グリーンの原作・脚本であり、この「落ちた偶像」に続いて製作されたもの。
つまり「落ちた偶像」は「第三の男」に至る前の助走のようなもので、本作での映画的な見せ方の上手さは「第三の男」で、より発展していったと言っていいのではないか。
「第三の男」が好きな方には要チェックの映画だ。なんと500円のDVDで発売中。

原作と大幅に変わった映画の終盤。自らの原作を映画で変えたグリーン。原作通りでは短すぎることもあるのだろうが、ガラリと様子の違った話の流れは面白い。原作を知っている観客が、あっけにとられているのに対して、してやったり、とニヤリとしている、この著名な作家の顔が見えるようだ。

執事ベインズに、ラルフ・リチャードソン、恋人ジュリーに、ミシェル・モルガンという配役は、昔の映画ファンには、その名前に、ときめく。魅力的なものだ。

ベネチア映画祭…原作・脚本賞、ニューヨーク映画批評家協会賞…監督賞、イギリスアカデミー賞…作品賞(国内作品)
(11月27日)

THE FALLEN IDOL
1948年 イギリス作品
監督 キャロル・リード
出演 ボビー・ヘンリー、ラルフ・リチャードソン、ミシェル・モルガン、ソニア・ドレスデル


トラックバックは、落ちた偶像@映画生活様に。

評価☆☆☆☆(4点。満点は5点)

● COMMENT ●

珍しいー!

☆☆☆☆4個なんて!
ボーさんにしては、かなりの高評価じゃないッスか?
私は恥ずかしながらグレアム・グリーンの著書は一度も読んだことないんですよ。
もちろん、映画『第三の男』も『落ちた偶像』も未見です!(←威張るな!)
でも、映画『ことの終わり』に登場する「第三の男」の謎掛けには唸らされました。
なるほど~カトリック作家ゆえの発想だったんですね。うん、これは納得です。
グリーンは、何となく敷居が高い感じでずっと避けてた感があったのですけど、
ボーさんがそこまでお薦めするなら、恐る恐るチャレンジしてみようかな。(笑)

>小夏さん

はい、星4つです!は、なかなか出ないですよ。
グリーンは、大学時代に英語購読でも読んだりしているので、わりと、おなじみなのです。
カトリックが根底にあるのは確かですけど、そんなに堅苦しくはないと思います。
でも、特別に、おすすめはしていないですよ…読んでみようっていう気になったなら、嬉しいことですけど!

「第三の男」は観てみてもいいんじゃないでしょうか。私は、あの、チターの曲が好きで、映画の魅力の半分は、音楽じゃないかというくらいです。


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