「海辺の映画館―キネマの玉手箱」 - 2021.06.13 Sun
映画は作り手の自由が利くから、戊辰戦争から太平洋戦争まで、自由自在な構成で表現できる。
映画館の3人の観客がスクリーン中の過去の戦争の時代に行ってしまって当事者にもなるが、そこで起きる出来事を、われわれ観客が一緒に知っていく(すでに知っていることなら確認していく)算段である。

序盤が目まぐるしい印象なのもあって、中盤の日本軍鬼畜兵の乱暴シーンで、(ようやく自分の)感情に訴えてきた感があったが…。
最後はやっぱり原爆のことに。
3時間は長いんじゃないかと思ったけれど、見はじめれば、それほど苦ではなかった。
昔のハリウッド大作のように、インターミッション(途中休憩)が始まったので、おお、こりゃいいやとトイレに行ったら、インターミッションとは名ばかりで、すぐに本編が始まっていた。
劇場公開時も、トイレに行こうと立ち上がって、あれ、休憩じゃないじゃんと、すぐに戻ってきた方がいたのでは?
(6月13日)
2019年作品
監督 大林宣彦
出演 吉田玲、成海璃子、山崎紘菜、常盤貴子、白石加代子
評価☆☆☆(3点。満点は5点)
(c) 2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
● COMMENT ●
一億玉砕
>又左衛門さん
WOWOWで監督晩年作をやっていますが、どれも長くて食指が動きませんで。
ほんと、この、一部の突き進め玉砕精神論、多くの大人しく巻き込まれ国民の形は変わらない。慎重に準備周到に行くべきところを、甘く見て、うまく行ったら、もうけもの、くらいな気持ちでやろうとする。今回のオリンピック、まさに同じです。
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大林監督の遺作となりました。
>序盤が目まぐるしい印象なのもあって
確かに前半が「詰め込みすぎ」かなぁ... いきなり高橋幸宏さんが登場したのにはびっくり(笑)
それに、映画には似つかわしくない、「ブサイクな少女」が出てきたのには違和感。観終わって、あの少女が、白石加代子さんの子供時代なんだろうと理解。似てますよねぇ。武田鉄矢扮する「坂本龍馬」や、品川徹の「宮本武蔵」まで出てきたのには驚いた。
多分監督が言いたかったのは、最後の「広島原爆」。これだけでは時間が余るので、日本の戦争のまとめをしたんだろう。
監督の晩年の作品は、どれも長尺。命あるうちに渾身の力を振り絞って撮ったんだろうな。そういう意味では、この作品は監督の遺言みたいなもの。 常盤貴子や長塚圭史夫妻、山崎紘菜(東宝シンデレラのわりにパッとしないね)、満島真之介や窪塚俊介などが監督のお気に入りのキャスティング。
「野のなななのか」もいい作品です。いずれ「花筺(はながたみ)」も観ようと思ってます。
この映画の最後の部分。移動演劇部隊「さくら隊」の原爆遭難。もっとリアルで、もっと凄惨で、もっと哀しいのは、新藤兼人監督の「さくら隊散る」です。機会があれば是非観ていただきたい。
現在の日本の状況は、この昭和20年の敗戦に向かって突き進む、一億玉砕への行進に酷似している。コロナという強敵に、竹やりで「安心・安全」と念仏を唱えながら、国民を犠牲にすることを厭わない、無能な指導者。結局あの戦争から日本の指導者は何も学ばなかったということです。長いものに巻かれる日本人。
NOが言えない日本人.....情けない.....