「ナイチンゲール」 - 2021.09.17 Fri
タスマニア、イギリス軍、アイルランド人、アボリジニ…どんな歴史なのか調べてみたい。
殺す(殺される)シーンを見ながら泣いたのは初めてかも。
以上、ツイートした。
見ているうちに、どうやら女囚さんがイギリス将校に目をかけられて出獄して、軍隊生活の給仕などのお世話係をしているらしいことがわかる。
約束の期限まで働けば自由にしてやるという時期を過ぎても、将校は彼女を手放さない。どころか、性的暴行までする、ひどいヤツ。
途中の話をはしょるが、結果的に、将校を含む3名を追って、復讐の旅に出る彼女だが…。

彼女の道案内をするのが、アボリジニの青年。最初は相容れない同士だったが、ともに旅をするうちに芽生える絆も見どころ。
ハイライトは、彼女が仇のひとりと対する場面。その相手は、3人のなかでは一番悪くない男。上官に無理やり悪事に引き込まれたようなところがある。しかし、その彼が最も残酷な目に遭うのだ。人生、そんなものなのか。そんなものなのだ。
彼の最後の言葉に、もう泣けて。思い出しても泣く。
復讐するほうも、イケイケの心理ではなくなっていく。それは予想をはずし気味になり、物語的には面白い。
アボリジニの青年も言っていたが、白人が悪いのではなく、どんな人種でも、悪い種子をもった者がいる可能性はあるのだ。
その悪党を憎んで成敗して、自分の気持ちが収まるのか、満足するのか、どうするべきなのか、あらためて考えさせられる。
(9月13日)
THE NIGHTINGALE
2018年 オーストラリア作品
監督 ジェニファー・ケント
出演 アシュリン・フランチオージ、ベイカリ・ガナンバー、サム・クラフリン、デイモン・ヘリマン、ハリー・グリーンウッド
評価☆☆☆☆(4点。満点は5点)
(c) 2018 Nightingale Films Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Screen Tasmania.
● COMMENT ●
アップした日が同じ
>オカピーさん
私の場合、ベネチア映画祭2冠?とかの宣伝文句を見ただけで録画しておいたのですが、見る前は、看護婦の話かと思っていたくらいです(笑)。
イギリスの兵隊、アイルランド人の囚人? 黒人?(ではなく、アボリジニと後でわかりましたが)いつの時代? 世界大戦? タスマニアって、どこだっけ?と、はじめは分かりませんでしたが。
とくに、植民地などでは、自分たちだけが偉ぶって、人を人とも思わない行ないが横行していたことを思い知らされます。
しかし、残念ながら、これは永遠に人類が内包しそうな問題なのでしょうね。
こんにちは
本作、昨年度に観た作品の中でベストに入れました。
哀しみよりも憎しみが先行してしまう作品でした。
本当はあいつに死んで欲しかった…
>ここなつさん
おお、ベスト! なんとなく、ここなつさんらしい。
私は録画予約するまで、存在すら知らない作品でした。
暴行、殺人、と見ていて怒り沸騰ですよね、あいつ。ああいうのはヒトとして、麻痺しているので、早々に駆除するべきなのです。もっと泣かせてから死んでほしかったけど。
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>3人のなかでは一番悪くない男
を殺して、もっと悪い二人の上官を殺せないというのは、良い意味で肩透かしでしたね。
僕はその作劇に疑問を感じたのですが、女性監督の人間凝視の狙いを理解していないでもないのですよ。
多分、彼女は最初から大衆映画として作っていず、それを大衆映画として理解して観ていた僕のような平凡な観客との間に齟齬が生じたのでしょう。
ただ、このポリティカル・コレクトネスの時代にあって、人間凝視だけではなく、依然として根強く残る人種・民族差別と男尊女卑の問題を19世紀の非道の物語に透かしたのだとも思います。