「θは遊んでくれたよ」 森博嗣 - 2006.07.30 Sun

さっそく読んじゃったシリーズ2作目。
今度は、飛び降りが相次ぐ。飛び降りて死んだ人のどこかには、θ(シータ)の印が残されていた。
インターネットの、新興宗教めいたサイトに関わる自殺なのか?
西之園萌絵の親友、反町愛(そりまち あい)が再登場! 西之園さんは、彼女を「ラヴちゃん」と呼ぶ。かわゆいねえ。
このラヴちゃん、言葉使いが、ちょっと面白い。男っぽい。「僕」って言うし、ときどき「~だわさ」とか「~だがね」「~だがや」とか。
研修医のラヴちゃんが、事件に関係する口紅の分析を頼まれている、という状況なので、親友の西之園さんが深く関わってきて、彼女の活躍度が上がっている。
(ちなみに今シリーズでの森さんの文章は、彼女のことを「西之園」と書いている。「萌絵」ではない。そのあたりも、シリーズによる違いだ。)
今回の解決案も見事。
こう考えれば、何もかも辻褄(つじつま)が合う。与えられた情報に対して、「もしも、こうならば、すっきりと解決できる」と考えることが可能な頭脳が素晴らしい。
しかも、それは、ちょっと見方を変えるだけで得られる結果なのだ。ただ、そこに気づくのが難しい。
印象に残った文章を挙げておく。
「…事実とはこうしてあとから形成されるものだ。しかし、人の心の中の、そのときどきの葛藤は、二度と正確に再現されることはない。たとえ、本人の口が語ったとしても、その言葉は明らかに虚構である。理由も動機もすべて、光が当てられたときに現れる影に過ぎない。…(中略)…ただ、それがあった、存在していた、ということを仄めかしているにすぎない。人が事実として認識している概念は、その程度のものだ。あるいは、ないに等しい、といっても良いだろう。…」
犯罪に至る瞬間に犯人の頭の中にあったことは、その瞬間だけのものであって、あとから本人が説明しようとしてさえも正確ではなく、いわんや、第三者には、決して正しくは伝わらない、ということか。
だから、推理した、そのあとは書いていないのでしょうか、森さん?
英語タイトルは「Another Playmate θ」。もうひとりの遊び友達θ、って感じ?
(7月25日読了)
● COMMENT ●
森さんの作品は
>こころさん
森さんは、工学部の教授を務める頭脳をお持ちですからね!
ただ、このGシリーズは、読んだ2作の限りでは、それほど難しくないのではと思います。シンプルですよ。
出てくるのは大学生が多いので、会話もすいすいと読めました。
私だって、文科系で数学はめちゃくちゃ不得意です。
登場人物が好きだと、読みたい気持ちも大きくなるのでしょうけどね。
レッツ・チャレンジ!?
うううむ・・・、
>人が事実として認識している概念は、その程度のものだ。あるいは、ないに等しい、といっても良いだろう。…」
相変わらず、禅問答のような難解なセリフですが、これがまた妙に心地良かったりするものなんですよね。
ちなみに、「θ~」は未読です。っていうか、「φ~」以降読んでない罠。(^^;
でも、ボーさんのレビューを読んでいたら、「φ~」も含めて改めて読み直してみようかな?という気になってきました。私も図書館で予約しようかな。(って、やっぱり買わないのかいっ!)
>小夏さん
引用した文は、ちょっと難しいですが、ここだけといっていいくらいです、難しげなのは!
「四季」シリーズなどとは比べ物にならないシンプルさです。
すいすい読めるけどなあ…?
わたくしめ、もうすぐ3作目を借りてきますよ。
私の書いたのを読んで、ご自分でも読む気になっちゃったら、すごいことで嬉しいですよ!
読みました。
「φ」読了後、このシリーズは暫らくいいかな、ってちょっとだけ思っていたのでした。
でも今回、何かの気まぐれで手にとって(もちろん図書館でw)読んでみたら、
あれ?なんか面白いかもしれないぞ、と。
四季さんとか保呂草さんとか、懐かしげなキーワードが登場しますが、
シリーズ全体の記憶が頭からすっぽり抜け落ちつつあるので、
とりあえず、Vシリーズもさらっと読み直さないとダメっぽいです。
一昨日、Gシリーズ3作目借りてきました。
>小夏さん
言いませんとも。いまさらかい!なんて言いませんとも!
…あ、言ってる…。
シリーズが、どこまで進んでて、何を読んで何を読んでいないのか、よくわからない状態で、ごちゃごちゃですけど。
読み直すと面白いかもですね~。
トラックバック
http://bojingles.blog3.fc2.com/tb.php/592-8cc34961
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
読み終わった後、私にまわしてくれるのですが、私はどーも・・・読みきれません。
頭が数学的じゃないみたいです。私にはとても難しく感じられてしまいます。
渡されても読まないことが続き、結局ブッ○オフへ・・・とほほ。
今回、作品紹介を読ませてもらって、今度は頑張って読んでみようかなあという気分になってきました。