「マルホランド・ドライブ」(10回目) - 2006.08.04 Fri

観ようと思った、きっかけは何だったか、はっきりとは覚えていない。当時、主演のナオミ・ワッツさんは、まだ有名ではなかった。デヴィッド・リンチ監督の名前に引かれたのだったか。たくさんのスクリーンがあるシネコンの、ワーナー・マイカル・シネマズ板橋。小さめのスクリーンで、客の少ない中で観た。
1回目の鑑賞では、終盤、まるで違う話になってしまうことで、狐につままれたような感覚のままに観終った。
ただ、ものすごく濃密な雰囲気があり、女優が魅力的で、分からないなりに、とてつもなく興味を感じた。なんともいえない魅力なのだ。麻薬的な魅力といえようか。
まるで違うように思える2つの話が、どういう関係なのかが分かれば、この映画は理解できる。
帰ってからネットで、いろんな評を見ているうちに、この映画の仕組みが分かった。簡単なことだった。考えていたこととは少し違ったのが、ちょっと惜しかったけれど、その仕組みを基本に据えて考えてみると、いろいろなことが納得できてくる。
なぜ、リタとベティが出会うのか、なぜ、リタとの関係でベティが主導権を握っているのか、なぜ、映画監督が酷い目に遭うのか、なぜ、秘密のリストを奪う男の話が出てくるのか、…そういうことが、すっかり説明可能になる。
ちっとも難解ではない。
クラブ・シレンシオでの司会者の言葉は、すごくヒントになっていたりする。
めっちゃくちゃ面白いじゃん!
このユーモア、皮肉、色っぽさ、悲しさ、ミステリアスさ! ナツメロもあるよ!
この映画を観て、意味が分からないという方は、ネットなり何なりで調べてしまってもいいと思う。分からないままにしておくよりも、そのほうが、面白く観られるのではないか。
私自身、自分で考えた、物語の仕組みをホームページに書いてみようかと思ったりするのだが、少々めんどくさい、という気分のまま、手をつけていないのであった…。

主役は誰か? ダイアン・セルウィンである。彼女が全編を通して、物語を支配しているのだ。
終盤の彼女は悲しい。パーティ会場で嫉妬し涙するナオミ・ワッツさんの演技は絶品。ここは、映画の、ひとつのハイライト場面だと思う。
リタとカミーラの2役を演じたローラ・エレナ・ハリング嬢のゴージャスさも素晴らしいが、ひとつめの物語ではベティ、2番目の物語ではダイアン、まるで違うキャラクターを演じたナオミ・ワッツさんの演技力は、すごい。
HPで、ちゃんと書いた(といっても、ミステリアスなままにしておいたが)感想はこちら。
観るたびに書いた短評はこっち。
映画館では6回、DVDで3回鑑賞、今回が10回目だった。
「ムーラン・ルージュ」と「マルホランド・ドライブ」が、共に映画館で公開されていた時期、この2本をハシゴして観た。至福のときだったな~。
こんなに繰り返して観た映画は、マリリンの映画以外では、この2本くらいで、しかも、時期が、かぶっていたのだ。いい思い出です。
(7月30日)
MULHOLLAND DRIVE
2001年 アメリカ作品
監督 デヴィッド・リンチ
出演 ナオミ・ワッツ、ローラ・エレナ・ハリング、ジャスティン・セロー、アン・ミラー
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関連記事:「マルホランド・ドライブ」(11回目)
評価☆☆☆☆☆(5点。満点は5点)
● COMMENT ●
「マルホランド・ドライブ」
>renさん
大好きな映画にコメントいただくと、最高に嬉しいですねー。(って「ムーラン・ルージュ」でも言ってましたっけ。)
ねー、面白いですよね!!
2時間半ありますが、あっという間です。
これも1年に1回は観ないと…!
リンチは現在No.1
何といっても、私は「イレイザー・ヘッド」からのリンチ信奉者ですが、この映画はその決定版!といっても良いでしょう。これこそリンチ・ワールドです。
今年のアカデミーの受賞作をクソミソに言ってしまいましたが、ホントに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぐらい。
これが映画ですよ、これが。
キング・コングは置いといて・・・というのは、ナオミ・ワッツに敬意を表しております。
だれが「マルホ・・」と「キング・コング」のヒロインを同時に演じられるでしょうか?まるで、ローレン・バコールとドリス・デイが合体したようではありませんか!(古い・・・)
こんな女優さん、今いませんよ、何が飛び出すか楽しみな人ですね。
>lalakiさん
嬉しいですねー! ありがとうございます!
私も、いくつかリンチ監督の映画は観ていますが、「マルホ」が断然素晴らしいですよね。スタッフ、キャストが奇跡的に、ばっちりと合って、できた映画。映画は面白いものだというのなら、まさに、これぞ映画です。
ナオミさん、この映画に出会えてラッキーでした。彼女のメジャーなキャリアは、ここから始まったといってもいいですからね。
ふっふっふ
私も、当時は何回も何回も繰り返して観ましたよ。ピンポイントでシーンを絞って観たものも含めれば、もう数え切れないほど・・・。
私の謎解明の決め手は「小人」の登場でした。『ツイン・ピークス』からの流れもあるのですが、「小人は○の象徴」(○は想像してちょ)と言われてることから、漠然とあぁ~そうだったのか・・・と。
この映画で私も初めてナオミさんを知りましたけど、残念ながら、この作品以上の彼女にはいまだ巡り合っておりません。そのくらい『マルホランド~』のナオミさんは最高だったんですよ。そういう意味でも、彼女はもっともっと飛躍できる、いや、するべき女優さんだと思いますね~。
昔の記事ですが、TBさせて頂きます。
へっへっへ
いま、TBしてきました!
小人って何の象徴なんです? あ、調べるから書かなくていいです。
ガリバーの象徴? 白雪姫? (-_-;) 良心かなあ?
これがナオミさんの最高作というのは同感。はじめに、この映画ありき、で、後がキツイのが可哀想ではありますが。
これだけ魅力的な材料が揃った映画というのも奇跡的なので、「マルホ」越えは、かなり難しいなあと思います。
きのうセの、女優
しかもローラで理解された。
ではここまで理解した。
>ノーマ・ジーン
セの女優って、なんなの。野球のセントラルリーグ?
なんか知らないけどローラが好きだねえ…と思ったら、ローラ出てるね!
ローラで、ここまで理解したとは、えらい、えらい。
恐るべしBlog Pet!
B・Pのノーマ・ジーンですか?・・の投稿。
ローラって、ローラ・パーマーのことではないのですかっ!
あの、史上最も美しいと言われた水死体美人の・・・・
もちろんリンチ作の全米を揺るがしたTVシリーズ:「ツイン・ピークス」の謎の他殺体のことですけど。
ローラも夢半ばで堕落してしまった哀しいヒロイン。
ダイアンを「ローラで理解された・・・」とは、なんと深い!!
これは「セの女優」の謎も解かなくてはいけませんな・・・。
まさにリンチ・ワールド!
>lalakiさん
ああ、ローラ・パーマー! 私は「ツイン・ピークス」を観ていないんですよ。それは気づかなかったなあ。
マルホランド・ドライブから「ドライブ」を取り出したところも偉い!
最後の七日間
私が日本で開いていた美術の教室では、しばらく高校生達はこの話題で持ちきりだったこともあります。
アメリカでは一般視聴者が「リンチ・ワールド」のトリコになったのですから、リンチは正に現代のヒッチコック先生ですね。
しかし、もう「ツイン・ピークス」はレンタルもないでしょうね?
出来ることなら、リンチが放映終了後に監督した、「謎解きのはずが、謎を謎のままにした」=「ローラ・パーマー最後の七日間」がオススメです。
ちょっと、冗談ぽい造りですが、「マルホ・・・」に一番近い作品はこれかも知れません。
デビット・ボウイがゲストでいい味だしてますし、なんとリンチ自身も登場し、「難聴で、しゃべる声の抑制が利かない捜査官」というキャラを演じています。
>lalakiさん
「ローラ・パーマー~」は、「ツイン・ピークス」を観てないと分からないかと思って見過ごしています。今度、観てみます。
デビッド・ボウイ…リンチ・ワールドに似合っていそうです!
*拝読しました
少々ご無沙汰しておりました。
先ほど、本エントリーと、HPでの『マルホランド・ドライブ』評、しかと拝読させて頂きました。
間もなく、11日間の会期を終えようとしている「ヴェネチア国際映画祭」では、まさしく、長編映画としては『マルホランド・ドライブ』以来5年ぶりとなる新作“Inland Empire”も初御披露目となったようですね!(―本作にチラと触れたエントリーがありますので、後ほどTBさせてください!)
そして、この“Inland Empire”、ウェブ上の解説などを観る限りでは、『マルホランド…』同様、ハリウッドに舞台に置かれた、一人の女優(ローラ・ダーン)が夢と現実の世界を旅するミステリー…と
でも云ったものらしく、もう、おそらくは来年スクリーンで目の当たりに出来るかと思うと、今からわくわくとしてしまうばかりです!
***
僕に取って、『マルホランド・ドライブ』とは、大まかに言えば、「謎」と言うもの自体が映画という形をもって示されている映画に思え、そのパワフルな謎めき方そのものの魅惑は言葉に言い表わしようがなく、だからこそ、この映画の謎めきようそのものの醍醐味が他者に少しでも伝わるようなものをいつかポンと書き示してみたいですねぇ…。
>まるで違うように思える2つの話が、どういう関係なのかが分かれば、
>この映画は理解できる。
>>自分なりの解釈が生まれたら。最高のスリルになる。
まさしくそうですよね。
>HPで、ちゃんと書いた(といっても、ミステリアスなままにしておいたが)
HPでの本作評、まさにここいら辺の言葉そのままに思えじわり痺れました。
この『マルホランド…』に心奪われたボーさんならではのものですね。
それではまた~♪^^
>ダーリン/Oh-Wellさん
それは楽しみです!
「マルホ」感想を読んでいただいて、ありがとうございます。
この映画は、ハマるほどに大好きになる作品ですよね。映画を楽しむ、ひとつの方向の頂点、のような思いがします。
ところで、ダーリンさんのブログにコメントしようと思いましたら、IDかURL設定で拒否、とかなんとか出てしまいました…。
TBありがとうございました
うは~、凄いですねえ!僕はDVDで2回観ただけなんですが、確かに何度も観たくなるタイプの作品ですね。
1回目に観た時は「ん?」という感じだったんですが、2回目で少し意味が分かりました。観る度に新しい発見が有りそうですね。
>タイプ・あ~るさん
まさに、ハマってしまいまして。
なんだか、いろんな面で、ひかれてしまったのです。
説明がつかない(存在しない)(らしく見える)ことも、また面白かったりします。
本当に、何回も観たい映画ですね。
今さらですが・・・
HP感想と短評も拝見して、またマルホの世界を楽しみました!
私はレンタルだったので、返却期限の関係で、3回しか観られませんでした。
ほんと、今でも観直して、確かめたい部分があるんですよ。
私は謎の多いストーリー展開も面白いと思いますが、
シュールな映像自体も好きで、ゾクゾクします。
色使いやスモークや光影など、とっても魅惑的ですもんね!
こういう刺激的な作品にもう一度めぐり合いたいものですが、
「インランド・エンパイア」はたいした事がないようで、残念です。
>YANさん
自分の好きな映画は、人に読んでもらうのも、とくに嬉しいですね。
このDVDは、速攻で買いました。ふだんは、なかなか買わないんですけど。
でも特典が少ない。監督のインタビューがありますけど、たいしたこと言ってないし。
「インランド・エンパイア」、私はつまらなかったですけど、それは、やはり自分で確かめてみないと! 面白いかもですよ?
一度っきり
うわっ、ボーさん、11回もご覧になったんですね。
近所にレンタルショップが無くなってから、借りて観るってことがなくなっちゃいましたが、そうか、買うって手がありますね。
>kiyotayokiさん
分からないままでいると、ものすごく、もったいないですよ。
そういえば、本作のテレビ放送って、これまでに、あったんでしたっけ?
私なら、買っても、まるで、もったいなくないですけどね! もちろん。
再見させていただきました♪
改めて観てびっくりしたのは、ホントに断片的にしか覚えていなかったこと。
なので、初めて観るかのように楽しませてもらいました。
本気モードで観たので、初めての時よりいくらか理解できましたが、
それでも謎がいっぱいで、これは2度、3度と見ざるを得ない作りになってますね。
お返しするまでにもう1回か2回観たいと思っております。
ありがとうございました♪
>kiyotayokiさん
楽しまれたのは、何よりです。
根本的な問題は解決しているようですから、何回か見ていると、多分わかってきますよ。いろんなことが。
基本的に、前半のお話は、すべて「彼女」の気持ちに沿って作られている、ということですよね。そこからスタートして推測していけます。
コメントありがとうございます
10回目ですかーっそれはすごい!
私もさっそく2度目を見ましたが、確かにますますというか、どんどん面白くなってきますね。
でも2度目ではまだまだなのですね。
ナオミ・ワッツの演技が本当に素晴らしかったです。
さーて、では3度目を見ようかな・・・
>ノルウェーまだ~むさん
おもしろくなってきました? はまっちゃいそうですね?
マルホ仲間(なんじゃそりゃ)になりましょう!
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非常に出来が良く。
サスペンスも上々。
謎掛けも上々。
最後まで楽しめた昨今では珍しい種類の
映画だと思います。