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2020-02

「イカとクジラ」 - 2006.12.14 Thu

この映画は昨年度の映画賞レースで、脚本賞などをよく受賞していた。
“THE SQUID AND THE WHALE”というタイトルが「イカとクジラ」という意味だと知って、変な題名だなあと思ったものだ。

「イカとクジラ」は、ニューヨークの自然史博物館にある大きな模型で、一説には全長20メートルを超えることもあるというイカ類最大のダイオウイカと、そのダイオウイカを食べるマッコウクジラが争っている様子が見られるもの。
家族4人の話し合いの内容は…
妻の浮気が直接の原因となって別居した夫婦と、2人の息子の話
この夫婦、子どもについては共同親権の形をとる。曜日によって息子たちは、今日は父親の家、明日は母親の家、と行ったり来たりの生活。

兄は16歳。彼は両親が別れたあと、文学作家でもある教授の父親(ただし最近は本が出ていないが)のほうを支持する。
他人の文学作品を、さげすむような、いやらしさをもつ父親。いわゆる「スノッブ(snob)」(ウェブ上の百科事典「ウィキペディア」によれば、知識・教養をひけらかす見栄っ張りの気取り屋)という感じなのだが、これを演じるジェフ・ダニエルズは、いやみな「鼻持ちならなさ」が自然に出ていて、いい。
妻が作家の道に踏み込んで成功していることに対して、心は穏やかではない。
ちなみに、観る前は、ジェフ・ブリッジス主演かと勘違いしていた。ジェフはジェフでもダニエルズ。はい、すいませんでした。

妻役はローラ・リニーだ。全然そうは見えないのに、実は浮気しまくっていたというのが、なんとなく可笑(おか)しい。
息子に、お母さんは醜い、と言われる場面などは見ものだった。
彼女は本作で、いくつかの女優賞をとっている。玄人受けする女優さんだと思うが、私には、この作品では、それほど傑出しているようには思えなかった。いつでも、上手は上手なんだけど。そういう彼女の演技に、慣れちゃったのかな。

注目すべきは2人の息子役。
長男役はジェシー・アイゼンバーグ。「ヴィレッジ」(2004年)に出ていた(役名はジェイミソン)というが、どういう役だったか覚えてないなあ。1983年生まれだから、「イカとクジラ」では16歳の役だが実際は21歳くらいだったわけだ。
長男のキャラは、ピンク・フロイドの曲を自作と偽ってみたり(すぐバレるのは分かりそうなもんだけど)、ガールフレンドを作って、エッチな経験も…みたいなお年頃か。

次男は12歳。彼は母親のほうにつく。まだまだ甘えたい頃かな…と思っていたら、これがまた、かなり困った性の目覚め状態なのである。昔の映画だったらカットされるんじゃないだろうか。いや、今でも保守的な映画会社なら眉をしかめそうだ。
彼の行動が、両親のゴタゴタの影響のせいなのか、それは私には分からない。たぶん、そういう解釈なんだろうけど。
この次男を演じるのが、オーウェン・クライン。ケビン・クラインとフィービー・ケイツの息子なのだそうだ。こんな子がいたなんて知らなかった、どころか、この2人が夫婦だったことも知らなかった! いい血統だねえ。オーウェン君は1991年生まれだから、本作のときは13歳くらいか。
アンナ・パキンはエロっぽい役だ!
アンナ・パキンが、男を誘惑するタイプを演じるのが、ちょっと意外だった。なんとなく今までのイメージからするとね。私が勝手に思ってるだけだけど。
「ピアノ・レッスン」の少女が、こんな大人の女になったんだねえ…。

監督のノア・バームバックは、「ライフ・アクアティック」の脚本に参加していたそうだが、私は今のところ、その映画は未見。

家族4人に焦点を絞った、狭い世界での日常に、ユーモアをアレンジした具合がうまくて、観ていて飽きはしない
自分の親といっても、ひとりの人間なのだ、いろいろとあるんだよ、と本質的に理解しはじめる長男。
「イカとクジラ」の模型を眺めるのは、幼い頃の思い出を確認しつつ、イカとクジラの戦いに、父と母の間の葛藤をあわせ見ている、彼の成長の一段階か。

この映画を観た劇場は、新宿武蔵野館。スクリーンは小さめ。メジャーではない単館系映画のラインナップを組む。
イカに関するものとクジラに関するものをセットで持っていくと割引になるという、面白いことをやっていた。ただし、においの強いもの、音の大きいものは、遠慮してください、というのが可笑しかった。たしかに、焼きイカなんかを劇場に持ち込んだら、におって困るって!

(12月3日)

THE SQUID AND THE WHALE
2005年 アメリカ作品
監督 ノア・バームバック
出演 ジェフ・ダニエルズ、ローラ・リニー、ジェシー・アイゼンバーグ、オーウェン・クライン、ウィリアム・ボールドウィン、アンナ・パキン

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評価☆☆☆(3点。満点は5点)

● COMMENT ●

TB・コメントありがとうございます。

こんばんは。
脚本もおもしろく、キャスティングもGOODでしたね。
私もローラ・リニーは今回はさほどイイというカンジはしませんでした。でも、他の女優が演じていたら、好感をもてなかったかもしれませんー。
ケビン・クラインとフィービー・ケイツが夫婦だなんて知らないですよねー。(笑)

>かえるさん

いらっしゃいませ!
キャスティングはハマってましたね。ジェフ・ダニエルズ、他の映画で、あまり印象がないのですが、上手なんだなあと。
ローラ・リニーも、悪い印象を与えないという意味で、うまかったのかもしれません。
しかし、オーウェン・クライン君の正体(血統)を知ったときは驚きましたよ!

*こんにちは!

☆ボーさん、こんにちは~!
先日は当方にお越しくださりありがとうございました。

師走真っ只中ですね。もう、僕などバタバタするばかりなのですが、あれから取り敢えずは『イカとクジラ』の鑑賞メモだけエントリーしました。今年の大物的なところでのエントリーとしては、あと、『007/カジノ・ロワイヤル』、『硫黄島からの手紙』の鑑賞メモくらいまではエントリー出来れば御の字と云ったところです。^^

―さて、ボーさんの『イカとクジラ』のレヴュー、しかと拝読しました。

>…これを演じるジェフ・ダニエルズは、いやみな
>「鼻持ちならなさ」が自然に出ていて、いい。

まったく、この、ひとつの嫌われ者タイプの人間を、最終的には、こんな男でも愛すべきところがあるのだと思わせる深みすらを加えて見事にキャラクター造形していたかと思います。

>観る前は、ジェフ・ブリッジス主演かと勘違いしていた。
>ジェフはジェフでもダニエルズ。……

ワハハ~^^
ジェフ・ブリッジスでも、あのキャラクターはイメージ出来なくもないですよ…ね。(笑) 
ただ・・・、矢張り、本作のバーナード役はダニエルズ以上のものはちょっと考えられない何かがありますね…。

この映画って、実に81分の小品ながら、後から顧みた際に随分濃密なものだったことに気づかされています。僕にとっては全編にわたって妙味であり新鮮であり、ひいては、じわりまばゆい映画でした。それではまた~

>ダーリン/Oh-Wellさん

いらっしゃいませー! さすがに12月、寒くなってきましたね。
ダーリンさんのレビュー、拝見してきました。お見事です!
思い返してみると、小品ながら、ぴりっと利いた、いかにもインディペンデント系の良品なんだな、と感じます。
こういう作品が出てくるのは楽しみでもあり、チェックしておきたいものですよね。

インディペンデント系だと、23日に公開される「リトル・ミス・サンシャイン」、これも気になります。ナショナル・ボード・オブ・レビューの作品トップ10に入ってるんですよね。

忙しい師走、風邪&ノロウィルスなどにお気をつけて!

私もやっと観ました♪(←いつもの事)
次男のシーンはドッキリですよね~
でもあれ、何の写真なんだかよく分からなかったんですが・・・
なんとなく「肌」が写ってるのは分かるけど???
ボーさん、わかりました?

それと、私もよくジェフ・ダニエルズとジェフ・ブリッジズがごちゃ混ぜになります^^;

それでは遅ればせながらTBさせていただきま~す♪

わさぴょんさん、ありがとうございます!
これは、ローラ・リニーが出ているので観た、というのが大きい映画でした。
かなり皮肉な味があって、楽しいものではないですね。
写真…何かは分かりませんでしたし、記憶も遠くなってます~。

5年前の記事ですが・・・

ボーさん、こんにちは!
こういうのご覧になってたんですね~

どの人物も好感の持てないキャラなんだけど、
演じてる俳優たちが良いせいか、
真っ向から嫌いって感じにはなりませんでしたね。
でも好きにもなれなかったなあ・・・(^^;
この両親は、酷過ぎる。

イカとクジラって変なタイトルな分、インパクトありますよね。

>YANさん

こんばんは!
もう5年前になりますか…。
ローラ・リニーとアンナ・パキンが出ているから観た。…んでしょうねえ。
今思えば、ジェシー・アイゼンバーグが出ていたんだ、この映画、ってことにもなります。
まあ、あんまり気分のいい映画ではありませんね。再度見たくはない映画、かな~?


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