2007/03/10(Sat) 00:27
電車の中で痴漢をした犯人とされて捕まった男。
彼が捕まるところから始まり、最初の裁判が終わるまでの様子を克明に追う映画。
ボクはやってない、というが、ほんとにやってないのだろうか、と、観ている間じゅう、ずっと思っていた。
痴漢があったと考えられる現場のシーンは、映画には出てこない。
だから、やっているかもしれないではないか。
そう思ったら、この映画、いけないのだろうか?
監督の狙いは、そこには、ないのか。
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| (c)2006 フジテレビジョン アルタミラピクチャーズ |
疑わしきは罰せず、というのが原則。もしも無実なのに有罪にされたら、たいへんである。
だが、有罪だったとしたら? 確かな証拠がない限り無罪、ということで、本当は痴漢なのに無罪になったら、それは女性にとっては許しがたいことに違いないのだ。
そのあたりが難しい。
それは置いても、問題なのは、警察の対処のしかたである。
確かな証拠がないのに、「自分がやりました」といえば、罰金を払って、すぐに釈放、「やってない」といえば、そのまま拘留。それは、おかしいでしょう。
声を荒らげての暴力的な刑事の取り調べに遭ったら、普通の人なら怖くてしょうがない。
権力をかさにきての横暴といわれても、しかたがないではないか。
(ちなみに、この映画で横暴な刑事に扮した大森南朋<おおもりなお>、いいですね。NHKのドラマ「ハゲタカ」にも主演していて、ちらっと見ただけだけど、なかなかいい感じ。)
無罪を出すのに慎重な裁判官の姿も、よく分かった。
小日向文世演じる裁判官の事務的ともいえる冷たさ。考えさせられた。
しかし、最後の判決文を聞いていると、なんだか納得できてしまうのだね、これが。
先日、鹿児島県議選において投票依頼に絡み現金を授受したとして、12人が公職選挙法違反の罪に問われた事件に、無罪判決が出た。
この事件では、被告たちは自白を強要されたという。
取調官から、追及的・強圧的な取り調べがあったことがうかがわれる、というのだ。
そもそも事件というものはなかったと、一部の刑事は分かっていたとか。
強権を得た人間が、それを、どう使うべきなのか。それを当事者は考えてもらいたい。
この映画が公開されたからといって、警察や司法が劇的に変わるとは思わないが、こうした実態を映画にすることで、少しでも納得の行く社会に近づいていってほしいと思う。そうした意味では、価値のある映画なのだろう。
それに、そうしたことを抜きにしても、観ていて飽きない社会派エンターテインメントといえる。
役所広司さん、売れっ子ですよねえ。瀬戸朝香さんが弁護士かと思ってたら、役所さんも弁護士で、しかも上司。彼のほうが目立ってるじゃないですか。
裁判を描いた映画は、洋画でも面白いものが多いけれども、こちらも負けず劣らず。
公判の後に、弁護士と被告の関係者たちが、お茶しながら裁判のことを語り合う形にしているのが、うまい構成で、裁判の進展やポイントを分かりやすくしている。
「Shall We ダンス?」の周防正行監督が11年ぶりに放つ新作として、過不足のない、じゅうぶんに手応えのある一作でした。
しかし監督、11年も何してたんでしょう。
それでも彼は、食っていけるんですねえ。
(2月24日)
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| (c)2006 フジテレビジョン アルタミラピクチャーズ |
2007年作品
監督 周防正行
出演 加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、もたいまさこ、山本耕史、鈴木蘭々、柳生みゆ
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評価☆☆☆★(3.5点。満点は5点)
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書名:それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり! 著者:周防 正行 評者:宮崎 11分42秒
周防正行監督の「それでもボクはやってない」、まだ上映してたんだね。周防人気はまだ健在なんだと感心しました。そういえば、旅行の機内放送でハリウッド版「Shall we Dance?」を観ました。やっぱリチャード・ギア
前回、行列&立ち見で断念した「それでもボクはやってない」を観てきました。<あらすじ>フリーターの主人公が就職面接へ向かう途中、痴漢に間違われて警察に拘留されることに。主人公は無実を主張し続けて……という。<ayaxの評価>それでもボクはやってない→★★★☆..
「それでもボクはやってない日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!」 それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!周防 正行 (2007/01)幻冬舎この商品の詳細を見...
『これが、裁判。』 コチラの「それでもボクはやってない」は、来年1/20公開になる周防正行監督の最新作なんですが、試写会で観てきちゃいましたぁ〜♪今回の試写会は、約1ヶ月程の先取り&周防監督のティーチ・イン付きで、とても楽しかったです。 社交ダンスのブ...
それでもボクはやってない スタンダード・エディション 日本ナントカ賞を受賞した
あらすじフリーターの金子徹平(加瀬亮)は、通勤ラッシュの電車で女子学生に痴漢したと訴えられ、そのまま警察に連行されてしまう。その日から、留置所暮らしを余儀なくされた金子の無実を訴える戦いが始まった・・・。感想数多くの映画賞に輝いた『それボク』が早くも地...
監督:周防正行
製作:2007年 日本
出演:*加瀬亮 *役所広司 *もたいまさこ *山本耕史
十人の真犯人を逃すとも
一人の無辜...
2007年:日本
監督:周防正行
出演:加瀬亮、もたいまさこ、光石研、高橋長英、小日向文世、本田博太郎、役所広司、竹中直人、大森南朋、尾美としのり、山本耕史、清水美砂、鈴木蘭々、瀬戸朝香、田中哲司
会社の面接に向かう途中の電車の中で、女子中学生から痴漢に...
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さて、ボーさんの鑑賞記を拝読しました。
ボーさんの冷静な鑑賞眼に脱帽です。
そう言われれば、痴漢の現場シーンはありませんでしたね。
私は、怪しい男の不審な態度。傍らの女性の「この人はやってない」という証言。弁護士の論理的な説明。などから「徹平は犯人ではない」と思い込みました。
何れにしても「人を裁くことの難しさ」を、この映画は訴えていることには変わりありませんよね。