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2019-10

「パフューム ある人殺しの物語」 - 2007.03.18 Sun

ポスター
倫理観を持たずに育ってしまった、天才的な嗅覚をもつ人間の一生を描くファンタジー、と一言でいえば、そうなるだろうか。

彼が生まれ落ちてから赤ん坊のときの描写が、すごい。
舞台は18世紀フランスのパリ。
魚市場で働いていた女性が、その場で彼を産み落とす。普通ならば、魚などの臭いや生ゴミの汚さの中に、ほおっておかれて死ぬ運命。
ところが、この赤ん坊は生きる意志を見せるのだ。
この赤ん坊の描写に驚いた。かつて、こんな描写があっただろうかと。
汚い環境の中に産み捨てられたばかりの裸の赤ん坊が自らの力で生きようとする、という生々しさはグロテスクさに通じるだろうが、そこまでやってこそ、である。中途半端にやるなら意味はない。
この場面、赤ん坊に演技をさせることはできないはずだから、CGなんじゃないかと思うけれど、それにしても本物としか見えない。
赤ん坊のときから、(いいにしろ悪いにしろ)こいつは違うぞ、と観客に分からせようと努力する映像作りは、偉い。
このオープニングからして、これは並の映画じゃないかも、と思わされた。

そのあとは、なめし皮職人の親方に拾われて、仕事一辺倒で育ち、教育など受けていなくて、倫理観などは一切なかったのだろう。
生まれつき特別な嗅覚をもつ彼(生まれたとき、この鋭い嗅覚があったおかげで、周囲の異常な臭いに気づいて泣きわめき、結果として生き延びられたとも考えられる)は、あるプラム売りの女性を嗅ぎつける。

彼は香りをとっておきたい、とっておく方法はないものかと思い、やがて香水作りを習うことに。師匠を演じるのがダスティン・ホフマンだ。
香水作りの能力が衰えていた師匠は、これ幸いとばかりに、天才的な調合の技をもった彼を雇う。

彼の「あの至上の香り」を求める気持ちはエスカレートしていく。
それが結果的に人殺しになるわけだ。香りを取るための異常な頼みをきいてもらえる可能性は少なく、自分の作業をするためには、相手を殺したほうが簡単だ、となっていったのだろう。
この人間の中身の空虚。すべては、そこに起因した。
そうした人間を描くことに、まず意味があるのだと思う。
ほら、うしろに…
(c)2006 Constantin Film Produktion GmbH /
VIP Medienfonds 4 GmbH & Co. KG /
NEF Productions S.A. /
Castelao Productions S.A.

究極の香水で、群集が酔い痴れてしまう場面。全員が脱いだわりには、生々しくなく、綺麗すぎる映像なのは物足りないし面白くないが、ポルノではなく映画だから、しかたがないところだろう。
あれだけの絵を作ろうとする意欲を買いたい一方、話題作りの客寄せじゃないか?という気もしてしまう。とくにテレビのCMで使われてしまうと。

主人公が最後に、どうなったか。ここは、とてもユニーク。この場面を観て、あ、これはファンタジーだったんだ、と腑に落ちた。
こんな人間がいたら? ということから始まる話。ファンタジーとは、空想、幻想。こうして、いろんな人間を創造してみて、見て、考えてみる。そういうこと。
そういえば、彼に関わって金もうけをした人間が、彼が去ったあとに、ことごとく破滅しているのも、ファンタジーならではの皮肉。

香水に陶酔する人々と違って、彼は冷めている。究極の香水を作ったあとは、もう存在する意味は、なくなったか。

パトリック・ジュースキントのベストセラー「香水 ある人殺しの物語」が原作。「香水」と「殺人」というダブルの魅力が、読者を引きつけたのでしょうか。

音楽がいいなと思って、後で調べてみたら、音楽担当は3人で、なんと監督のトム・ティクヴァも参加している!
しかも、ベルリン・フィルハーモニーの演奏!!

ティクヴァさんは脚本にも加わっているし、才能あるのですね。

(3月4日)

狙われる美女(レイチェル・ハード=ウッド)
(c)2006 Constantin Film Produktion GmbH /
VIP Medienfonds 4 GmbH & Co. KG /
NEF Productions S.A. /
Castelao Productions S.A.

PERFUME : THE STORY OF A MURDERER
2006年 ドイツ・フランス・スペイン作品
監督 ジョン・ティクヴァ
ナレーション ジョン・ハート
出演 ベン・ウィショー、カロリーネ・ヘルフルト、レイチェル・ハード=ウッド、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン

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評価☆☆☆★(3.5点。満点は5点)

● COMMENT ●

これは観たいです

といいつつも、大画面で観るのは怖そうですが。
原作も読んでみたいのですが、なんか原作文庫は既に増刷なしなのか、Amazonにもない…
図書館でも予約いっぱいですよ…
なぜ、映画に合わせて増刷しないのかなー。

はじめまして^^

私のニュースサイト
ザッピング!旬な芸能ニュース で
こちらの記事を紹介させて頂きましたので
ご連絡させて頂きました。

紹介記事は
http://blog.livedoor.jp/wankono_te/archives/50049613.html
です。

これからもよろしくお願いいたします^^

>まおさん、yosiさん

まおさん、観たいですかあ~? けっこう怪作ともいえますよ~。
でも、そこが面白いともいえますけど。
増刷すれば、もうかるのに、なんでやらないんでしょうね? いつまで売れるか分からないと慎重なのでしょうか。

yosiさん、ごていねいに、ありがとうございます。リンク拝見しました。
きちんとした記事でのリンクならば、歓迎いたします。

TB&コメントありがとうございます♪

ボクも映画を観たあと原作を読みたいなぁと思いましたが、そうか入手困難な状態なんですね。残念だなぁ。
ボーさんも書いていらっしゃいますが、ヌードがいっぱい出てきてもちっともエロくないのもファンタジーゆえなんでしょうね。

ドイツ映画

説得性あるパフューム論、「なるほど、そういう見方もあるのか」と、興味深く拝読しました。
ボーさんの鑑賞力は私よりもハイレベルだと実感しました。決してお世辞ではありません。さすが映検1級を目指されるだけの眼力だと。
私は猟奇的なものに興味を示すだけで、観た後で嫌悪感を持つようなローレベルです。これでは2級も覚束無いです。
ティクヴァ監督(独)から、第1回映検1級出題のドイツ表現主義を思い出しました。「カリガリ博士」って観ていませんが、「パフューム」はデフォルメされた表現なのでしょうか?
仰って居られた本、一昨日行き付けの本屋を覗きましたが未だ来てませんでした。寄る年波で記憶力が減退していますので、急がずに待ちます。
では、また。

恥ずかしながら・・・

TBありがとうございました!
実は、赤子が生れ落ちるあのグロ魚市場のシーン、生まれ落ちた直後から気持ち悪くて画面全然見れなかったので、ボーさんのおっしゃる
>この赤ん坊は生きる意志を見せるのだ。 この赤ん坊の描写に驚いた。
ここの部分が具体的にどういう描写だったのか、知らないんですよ私・・・。うっうっだって気持ち悪さを耐えるのに必死だったんですもの~・・・。

私はテレビCMを見ずに映画を見たので、幸か不幸かあの群集シーン全然知らなかったんです。でも「おいおい、マジそれやるの?」って思いました。未だに、あのシーンは「うーん、どうなのよ」って気分です。

>kiyotayokiさん、アスカパパさん、紅玉さん

kiyotayokiさん、私は原作には興味が湧きませんでしたが、売れてるんですかねえ。
エロくなかったのは、ウソっぽくて、ちょっと納得はできないですね。(笑)

アスカパパさん、猟奇的なものに嫌悪感をもつのは普通のことで、それはそういう映画の見かたでもいいと思いますけれど。
「パフューム~」には「カリガリ博士」のようなデフォルメは思いませんでした。映像的には自然でしたから。物の形とか。
映画検定の問題集は大きな書店ならあると思いますが…お近くの本屋で取り寄せると時間がかかるかもですね。

紅玉さん、どんなふうだったかというと…泣こうとするまでの描写、だったでしょうか。説明しろといわれると、うまくできないですが…自分が感じた感覚の問題ですよね。
私は意地汚いので、どんなにイヤな場面でも目をそむけません! なんて。
CMのことは知らずに観たほうが、びっくりしていいですよ。あれは、余計なお世話の予備知識です。CMに使われたことで、好奇・好色な興味に、映画を堕落させたようなものですね。

>赤ん坊の描写

私も、あそこまできっちり見せるんだなぁと驚きました。
へその緒もまだついてましたよね。
たぶんあれはアニマトロニクスじゃないかなーと思います。
「ハンニバル」でHIV感染者の母親の血を全身に浴びた赤ちゃんを、クラリスがシャワーで洗ってあげるシーンに出てたのもそうでした。DVDのメイキングを観たら、機械仕掛けの赤ちゃんの画像が(全裸?で)あって、ツクリモノとわかっていても、とてもリアルで不気味でしたね~~。
だって、顔の筋肉、首、両腕両足、腹の呼吸も全部別々に動くんですもの(@o@;!
リアルでなくても怖かったのは、「トレインスポッティング」の赤ちゃん。あれはマジで怖いです~。
「パフューム」は私は面白かったです♪近いうちに2回目観に行きたいなぁ。(たぶん来週終わっちゃう^^;)

>かもめんさん!

ありがとうございます~。
おおっ、気にいると何回も観ちゃう、かもめんさんのツボにハマりましたかあっ!
赤ちゃん、リアルですよね。作り物と分かっていたら平気かといえば、そうでもない人も多いのでしょうねえ。
「ハンニバル」? …ううむ、そういえば、そんなシーンもあったっけ?…って感じです。(1回しか観てないし。)
「トレスポ」は観てないや! 頭に入れときます。 
いまは、どんな生き物でも映像で作れて、思い通りに動かせちゃうんですね。すごいものです。
ぜひ、2回目を楽しんできてくださいね!

TB&コメントありがとうございました

こんばんは、ボーさん★
うーん、ボーさんは結構楽しめたのですね。
私は、そんなに楽しめませんでした。
確かにダーク・ファンタジーなんでしょうし、嫌悪感でいっぱいの原作をそのまま映像化したのだろうと思います。
よく出来た映画なのでしょうが、決して好きにはなれそうにありませんでした。

>とらねこさん

はい、好みは分かれますよね。人の感受性はそれぞれ違いますから。
普通じゃない話なので、もしも、こういう人間がいたら…? と思って観ればいいのかなと。
共感などは、しませんけれどね。

TBありがとうございます^^

これは賛否両論でしょうね~^^; 私?好きに決まってるぢゃないですか!
あのクライマックス、面白すぎですよ~

赤ちゃんは「きっと人形だな」となんとなく思いながら観てましたが、よく出来てましたね~!
生まれたて特有の気持ち悪い感じも、作品的に上手く作用してたし。

そうかー「ファンタジー」!そのとおりですね!
なんとなく思ってた事を的確に表してもらってスッキリです^^

>わさぴょんさん

おもしろかったですよね!
時間が経ってみると、ユニーク度が増してるといいますか、ヘンに記憶に残る、「迷作」または「珍作」なのかも。
赤ちゃん場面もインパクトありましたねー。
おほめにあずかり恐縮ですぅ。

私も、あんなに鼻がきくようになってみたい。犬並みでしょうか!? あ、でも、そのうち嫌になるかも?(笑)

私もこれ好きです

ボーさん、私も赤ちゃんが出てきたシーンで、おお~っと思って、
そこから引き込まれました。
ファンタジーでもあるし、サイコやホラーでもありました。
人に食われて消えるという、すんごい映画でしたね。
全編に流れる音楽も格調高くて良いと思ったら、
ベルリン・フィルでしたか!
またこの作品の株が上がりました。

>YANさん!

コメ&TBありがとうございます。
これはユニークな作品でしたよね。
赤ちゃん誕生のシーンから、すごいなーと。
そうそう、ホラーにもなってます。主人公、フツーじゃないですからね。
記憶に残る、フツーじゃない映画。(笑)


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  • HP「シネマ停留所」の管理人でもある。♂。単純に映画が好き。綺麗な女優が好き。マリリン・モンローさんは、わが永遠のミューズ。

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