「サンシャイン2057」 - 2007.04.26 Thu

すごく刺激的な映画だった。
観念的で、少し分かりづらいところがあるけれど、SF映画好きで、多少は分からなくても食らいついていける人なら、楽しめる可能性が大きいと思う。
「2001年宇宙の旅」「エイリアン」「イベント・ホライゾン」などを、ちょこちょこと思い出すような、「宇宙船もの」である。
かなり特異な存在位置を獲得できうる独特なSF映画は、そう多くないと思うが、本作にはその資格あり、ではないか。
どんなSFかといえば、実に硬派である。
煩雑な部分は説明しない、とでもいえそうな姿勢も見え(実際、私にもよく分からない部分はある)、その突き放し加減の視点をキープしていったかのような作り手側の強い意志によって、キワ物になりそうだった後半の展開は、逆に不思議な魅力に思えてくる。
強引に話を進めていって、ブレがないのである。
まあ、観る人によっては、映画の後半はキワ物に堕した、と思うだろう。
そのあたりは、百聞は一見にしかず。すべて、受け手の感じ方による。
SF的といえば、去年の「トゥモロー・ワールド」も、ほとんど期待なしで観て大当たりだったが、この「サンシャイン2057」も、それに近い喜びがあった。こちらの内容は純粋な宇宙物、という違いはあるが。
スト-リーは、2057年、弱った太陽に核爆弾を打ち込んで活性化させようという計画のために、太陽を目指している宇宙船の乗組員たちの話。
宇宙船の名前は、イカロス2号。ギリシャ神話のイカロスは空を飛ぶのだが、羽が太陽の熱で溶けてしまって墜落する。いいのかな、太陽に向かう宇宙船に、こんな名前をつけて?
真田広之、キリアン・マーフィが出ていることは、映画を観る前に知っていた。真田さんがどんな演技をするのかが、大きな楽しみのひとつでもあった。
真田さん、画面に出てきて、さっそくセリフがあった。おお(うれしい)、と思っていたら、なんと彼が船長だというではないか!
ひゃー! 素晴らしい!
乗組員の中に、他にも見たことのある女性が! ミシェル・ヨーさんだ!「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(1998年)、「グリーン・デスティニー」(2000年)などで私の印象に残る女優さん。
他にもベネディクト・ウォンという中国系の俳優が出ているし、ダニー・ボイル監督、アジア系の人間に敬意でも払っているのでしょうか。
帰宅してからキャストを確認したら、クリス・エヴァンスの名前が。おお! 「ファンタスティック・フォー」の燃える男! 気づかなかった。
(そういえば予告編で「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」を観たのだ。面白そうだったなあ。)
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(c) 2007 Twentieth Century Fox. |
太陽光線の力をビジュアルにして見せたシーンは美しく、いちばんの見どころとも言える。
宇宙船の乗組員が、強烈な日の光を浴びている描写が序盤からあり、彼らが日光(映画の原題は「サンシャイン」、つまり「日光」だ)のパワーに魅せられていることを示す。
それは、いましも太陽に灼(や)かれようとする仲間に向かって、ある乗員が問いかける場面にも表われる。
彼は仲間の心配をするというよりも、仲間の体験を知りたい、うらやましい、と、思わず感じているのだ。
主役は太陽。
その大いなる存在を前にして、人間は…。
ボイル監督といえば、私は「普通じゃない」(1997年)くらいしか観ていないのだが、今回の作品を観て、彼の他の作品もチェックしてみたくなった。
(4月21日)
SUNSHINE
2007年 イギリス作品
監督 ダニー・ボイル
出演 キリアン・マーフィ、ローズ・バーン、クリス・エヴァンス、ミシェル・ヨー、トロイ・ギャリティ、クリフ・カーティス、ベネディクト・ウォン、真田広之、マーク・ストロング
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旧作をねらえ!in TSUTAYA わさぴょんの映画鑑賞日記様
評価☆☆☆☆(4点。満点は5点)
● COMMENT ●
「何が見える?」っていうセリフはすごく印象的でしたね。
太陽の映像は、スクリーンならではの迫力もあってか、美しくて恐ろしくてなんとも魅惑的でした。
チカチカの太陽光とサブリミナル映像を多様しすぎで、TVでは放映できないんじゃないかな~。
ダニー・ボイル作品は「トレインスポッティング」「ザ・ビーチ」「28日後…」を観ました。やっぱトレスポが一番かなぁ。次点は「28日後…」。
真田広之が出てる、しか知らなかったんですが、
昔は結構あった、久々の硬派宇宙SF、といった感じなんでしょうか。
そしてイギリスのダニー・ボイル作品だったとは!
観たいポイントがもひとつ上がりました。
>アイドル登場!さん、かもめんさん、まおさん
かもめんさん、太陽に向かう宇宙船、人間の心理状態が変わって、事件が起きる…。かなーり面白かったです。
そうそう、サブリミナル。わざと、ある程度分かる映像にして見せていましたね。あれは、なかなか怖かったです。
「トレスポ」の監督なんですね。まずは同じSF系らしい「28日後…」から観てみましょうか。
まおさん、ダニー・ボイル、お好みですか! それじゃあ、観ないと!
終盤の展開は、下手をすると「トンデモ映画」に傾いて突っ走ってますので、評価は分かれると思います。
あまり期待をしないで観たほうが。
あ、でも映画館でないと、迫力の面で確実にパワーダウンしそうな作品でもありますね…。
ぐふふふふふ
いやね、「サンシャイン2057」については、ずーーーーっと前から楽しみにしてたのに、
郡山にはやって来ないことに決まってしまったのさ!フンっ!(←かなりキレかけております)
ボイル監督作品、「普通じゃない」しか観てないんですか?!
それはダメダメっすよ。「普通じゃない」も決して悪い出来じゃないけど、オススメ♪ってほどでもないですもん。
やっぱりボイル作品であれば、「トレイン・スポッティング」とか「28日後・・・」辺り、あと、ボイル監督長編映画初メガホンの「シャロウ・グレイブ」がかなーりお気に入りです。(これはマイブログにレビューあり)
がははははは
小夏さん!
楽しみにしてたのですか。私は公開時まで知りませんでしたさ。
郡山って…地球ですか? 太陽の近く?(笑)
いけませんねえ、こんな面白すぎる映画を公開しないで。
「普通じゃない」しか観てないって、やっぱり普通じゃないですか? そんな気がしてました。
「28日後…」、28日も待たずに、これから観ますよ。
こんばんは
ボーさんもハマられましたか。
私も、なかなか面白かったです。
しかし、ボーさんがダニー・ボイルを今までご覧になっていなかったとはビックり。なんでまた?^^;
私は、この人は好きなのは、『トレスポ』と『28日後・・・』くらいです~。
>とらねこさん
あまり期待していなかったぶん、いい意味で裏切られました。
途中で、おかしな展開(?)に暴走気味になるのも、よろしいんじゃないですか、と思いました。
ろくにダニー・ボイルを観てなかったのは、興味を引かれる映画を作ってなかったからですが、このあと「28日後…」は観ました。
ボーさんの記事読んで、またしてもいちいち「そうそう!」と
頷いてしまいました。
「観念的で」「2001年宇宙の旅」「突き放し加減をキープ」「強引に進めていって、話にブレがない」「主役は太陽」・・・
まさにそう!それです!言いたい事すべていってもらってます!
ボイル監督は「トレスポ」「ミリオンズ」等も好きです^^
ボイル監督、あまり観てないですが、そのうち、もうちょっと作品探索してみたいですねえ。
観ましたよ
ボーさんの言う通り、特異な存在位置の作品でした。
SFでも、パニックもあるしホラー要素もあるし、
ジャンル分けし難い作品だけど、引き込まれるものがありました。
そして主役は太陽でしたね~圧倒的迫力の映像でした!
太陽に魅入ってしまった男たちの話だと思いました。
>YANさん
ユニークな作品というのは、ハマると印象深くなりますよね。
ハマらないと、ヘンな映画ということに…。
太陽は、すごかった! あれを一番に描きたかったんだなあと思いましたし。映画監督って、ステキな商売ですね。
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