「アイズ ワイド シャット」(2回目) - 2007.06.30 Sat

初めて観たときには、ニコールの最後の言葉が、つまり監督が言いたいことではないか、と思った。
夫婦生活の肯定。
今回見直してみて、新たに感じたことも。
トム君が、いろんな誘惑に直面しながら、いくら浮気してみようと思っても、どうしても、うまく事は運ばない。
考えてみれば、彼が浮気に走ろうと思ったのも、妻ニコールの性的妄想に刺激を受けたからだ。
彼女によって彼は、性の冒険(?)に走り、彼女の電話によって危機を免れ(あとで娼婦がどうなったかを知れば分かること)、彼女に仮面が見つかったことで、秘密の冒険は終わり、夫婦で仲良く○○○○しよう、と終わる。
結果的にトム君は、ニコールの掌(てのひら)の上で遊ばされていたといってもいいような印象も。男なんて、こんなもん?
キューブリックは、案外、保守的な性生活を勧めたかったのかもしれない。
大事なのは「愛」である。それも最も身近にある、小さな単位での愛。ということに、たどりついた。ということなら、なかなか面白い。
トム君とニコールは、この映画の頃は夫婦だった。夫婦共演ということでも話題の映画になったが、やがて離婚してしまったのは、ご存知のとおり。
完璧主義者のキューブリックは、イギリスでの撮影に1年以上も主演者を拘束した。なんで、そんなに時間がかかるのか、よく分からないが…。ニコールのほうは、トム君より出演場面が、かなり少なかったように思うし。
キューブリックが友人に話したところでは、トム君とニコールが好きなようにやったせいで駄作になった、とも言ったとか。もちろん真偽のほどは分からない。
仮面舞踏会というのも、イメージ的に少し陳腐な気はする。かといって、では代わりにどんな場面にするのか、と言われれば、答えに窮するところ。
「アイズ・ワイド・シャット」とは「目を大きく閉じて」ということ。「アイズ・ワイド・オープン」(目を大きく見開いて)の逆だ。
目を閉じて考えること、夢、妄想の世界。
夫婦間の些細(ささい)な考え方の違いや、危ない世界などには目をつぶれ、という意味でもあったりして?
ニコールの後姿ヌードや乳首が透ける下着姿、ヤク中の女性のヌード、舞踏会でのヌードなど、エロティックなシーンが楽しめる、巨匠の遺作である。
(6月24日)
EYES WIDE SHUT
1999年 アメリカ作品
監督 スタンリー・キューブリック
出演 トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、シドニー・ポラック、ジュリエン・デイヴィス、マリー・リチャードソン、リーリー・ソビエスキー、ヴィネッサ・ショウ、アラン・カミング
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アイズ・ワイド・シャット@映画生活様、映像全般を楽しもう(ブログペットのグループ)
評価☆☆☆(3点。満点は5点)
● COMMENT ●
疲労困憊?
>小夏さん
まがまがしいとか、いかがわしい、みたいなものの雰囲気を感じ取っておられたのでしょうね。
としたら、キューブリック監督、大成功!?
これは解釈がひとつではない映画だと思うので、観た人なりの感想が出てきていいのではないかと。
キューブリックも、超有名夫婦俳優を起用しておきながら、グチを言ったとすると、トムとニコールという個人の存在の大きさが強すぎた、ということなのでしょうかねえ?
こんにちは。
3回も観て居られるボーさんの豊富な知識に基づくレビューを拝読して、納得することが多かったです。
私も同じような所感ですが、スタンリー・キューブリック監督の遺作にしては少し軽い感じも受けました。
>ascapapaさん
ありがとうございます。
まったく知らないと、けっこう、びっくりするでしょうね~。
エロっぽいのを見たくて3回も見たので、ほめられたものじゃありません。(苦笑)
結果的に遺作になってしまいました、もっと映画をつくってほしかったですね。
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で、内容ですが・・・、一度ではよくわかりませんでした。(爆)
けど、DVDだけはしっかり所持してますから、いつでも再チャレンジ可能。ふふ。
>トム君とニコールが好きなようにやったせいで駄作になった、とも言ったとか。
個人的趣味としては、旦那様の役はトム君よりもうちょっとイメージが定着していないマイナーな男優さんを起用したほうが良かった気はする、けど。